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『ツインソウル物語1』“そして同じ人に恋をする”  作者: 大輝
第12章《美貴の結婚》
12/18

そして同じ人に恋をする12

【美咲家】


「ゆりを外に出すんじゃないぞ」


「貴方、そんな事仰っても、いつ迄も家に閉じ込めておくわけにもいきませんでしょう」


「外出する時は、誰か付けてやれば良い」


【ゆりの部屋】


洸貴さんどうしてるかしら…?


今は、仕事中ね…メールは出来ないわ。


幼稚園にも行かせてもらえないんだもの、どうやって会えば良いの?


「ゆり、ちょっと良いかしら?」


「お母様、私、いつになったら自由になるの?」


「お父様が会社に行くようになったら、お母様がちゃんとしてあげるから」


「……」


「そんなに暗い顔をしないで…窓の外を見てご覧なさい。薔薇の蕾が膨らんで来たわね…大丈夫、あの花が開く頃にはきっと」


優しく肩に手をかけて、そう言うと母は部屋を出て行った。


あの花が開くまで…?


桜の季節からずっと会ってないのよ。


早く会いたい。


数日後、あの薔薇の花が開いたわ。


母の言った通り、父が会社に行き始めると、監視の目も緩んで来たの。


また幼稚園に行けるようになったけれど、病み上がりの父が早く帰ってくるので、私も真っ直ぐ家に帰らないといけなくて…


【公園】


「あ、おじちゃん来たよ。美咲先生、早く早くぅ」


将君が私の手を引っ張って、彼の所へ連れて行ってくれるの。


この時間しか会えないんだから、って、皆んな理解してくれていて…


「もう行かないと、子供達待ってるだろ?」


「明日は、お散歩の時間無いから、明後日ね」



そして、6月吉日…


【船上】


「バージンロード歩くの嫌だな」


「パパの代わりなんだから、仕方ないでしょ、泣いたりしないでよ」


「誰が泣くか」


「もっとこっち来て、良く見てよ」


「良いよ」


「ほら、洸ちゃん。ちゃんと見てあげなさいよ」


「ね、叔母ちゃま、酷いでしょ?あの、長い間お世話になりました、っていうのやられるの嫌だ、って、昨日から逃げ回ってるのよ」


叔母に引っ張られて、美貴のそばに連れて行かれた。


「ああ…綺麗だよ、とっても」


「ありがとう…もう、なによ。泣いたらメークが落ちちゃう」


そして…僕は美貴をエスコートしてバージンロードを歩いた。


【船のデッキ】


ブーケトスだ…女の子達が一斉に手を伸ばす。


「次は、お兄ちゃん達の番よ」


え?僕の所に飛んで来た。


受け取ってしまった…どうしよう…


「あ、男の人が取るのルール違反よ。ゆりちゃんに投げたのに、お兄ちゃんたら」


【帰りの車】


「素敵な結婚式だったわね」


「うん」


「私、プロヴァンスの教会で、式を挙げたいの」


「……」


「あ…」


プロヴァンス…オレンジ色の屋根が見えた…ここは、丘の上…ツイン…レイ…?


ここで彼女と暮らしていたのか…


僕はまた過去世を思い出していた。


「寂しくなるわね」


「え?うん…近くに住むんだ。僕が心配だから、って美貴が聞かなくて…拓真も、会社に近くなるから、って言ってくれたからね」


「良かったわね」


彼女のお父さんが倒れてから、中々会えなくて、美貴はまた結婚式を延期する、なんて言い出すし、大変だった。


お父さんの体調がもどり、普通に出社するようになって、また、以前のように会えるようになって来たんだ。


そして美貴は、予定通り式を挙げた。


本当に、嫁いでしまったんだな…



【神緒家】


今日は仕事が終わって真っ直ぐ帰った。


玄関の鍵を開けて家の中に入る。


「ただいま、お腹すいた…そう…だった」


美貴は拓真と新婚旅行で、ヴェネツィアに行っていたんだった…


もう、ゴンドラに乗ったかな…?


日が沈む時、ゴンドラに乗ってkissをした2人は、永遠に結ばれる…と言う伝説の橋…


その橋の下を通りかかる時、ゴンドリエーレが「今だ」と言ってくれるんだ。


そんな話しをしたら、美貴のヤツ、新婚旅行は絶対ヴェネツィアね、って…


冷蔵庫を開けると、色々な食材が入っている。


買っておいてくれたんだな…


ビールが無い…


飲み物は重いから僕が買うのがうちのルール…って、僕が決めたんだった。


ハイネケンが呑みたいな…買いに行くか。


【近くのスーパー】


あれ?…あれは…


買い物を終えて両手に袋を持っている。


「持つよ」


「びっくりした」


「何でここで買い物?」


ゆりさんの家は、この駅から3つ目の僕の会社が有る駅だ。


「貴方が一人だから、お夕食作ろうと思って」


冷蔵庫に食材が一杯有る事は、黙っておこう。



【神緒家のキッチン】


「美味しそ」


「すぐ出来るから、ビール呑むなら、サラダ」


「おっ」


さっき買って来たハイネケンを呑みながらサラダを食べていると、料理を運んでくれた。


オムライスに、唐揚げに、マカロニのチーズクリームサラダ、キノコのスープ。


「オムライスが好きって、前に美貴ちゃんから聞いてたから」


「うん。美味しい」


美味しい料理が有ると、ビールが美味しい。


【リビング】


ブラームスの第1シンフォニーをかけた。


ソファで聞いていると、後片付けを終えて来た彼女が隣に座った。


「ブラームスね」


「彼がクララ・シューマンに恋したのは有名な話しだけど、クララが彼の気持ちに応えたかどうかは、確かな物が残って無いんだ」


「そうなのね」


「深い信頼関係は、クララが亡くなるまで続いたけれど、アガーテと言う恋人が居たりして、一途にクララを思い続けた訳じゃなかったんだね」


「……」


「僕は、一途が良いな」


「本当かしら?」


「信じてないな」


「信じたい…」


よしよし、と彼女の頭を僕の肩に乗せた。


今はこうして居るだけで良い。


一緒に居られれば、それだけで良いんだ。



【洸貴の会社】


その日僕は拓真と一緒に会社を出た。


今日は、僕の家で3人で食事らしい。


らしい、と言うのは、拓真に美貴からメールで「2人でお兄ちゃんの家に帰って来て」だそうだ。


【神緒家】


2人が結婚してから、どちらかの家で食事をする事が多くなったけど、新婚の邪魔をするのもいい加減にしないと…


なんて思いながも、3人で楽しく食事をした。


【玄関】


「料理…作ってみるかな」


「え?出来る?」


「やってみるよ」


「じゃ、レシピ作っておくね」


「じゃあな、洸貴」


「おう」


「明日サロンに来て」


「何で?」


「つべこべ言わなーい」


2人が帰ると、途端に寂しくなる…


僕にばかり構ってないで、早く子供作れよ。


僕は子供好きだけど、妹の子供は特別可愛いだろうな。



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