005
ーー俺が化物だって?
たしかに、女の子の魅力ーーそれも、天然物の金髪女子高生なんて、そうそう見られるものではない。
多少ーー特定の人物を何度も射殺しようとしている部分を除けば、黄金の丘に佇む天使のような美しさは化物ーーいや、怪物級だ。
それを、眼という己のレンズに必死焼き付けようにした辺り、高校男子の底なしの女子に対する興味ーー変態性は下賤な化物だろう。
「……………………」
こんな、数行に渡って男子高校生の実態と生態を晒すのが、この話の根幹だったのか。
それで楽しんで頂いた読書様がいたとしても。
あるいは、作者がそれぐらいしか書く脳がなかったとしてもーーーー。
俺は問われている問題は別であると断言できる。
彼女は言った。
「何、アホみたいな顔してるんですか。
あなたも同じ化物なんですよ。自覚を持ってください」
ーーあなたも同じ化物なんですよ。
男子高校生の女子に対する飽くなき好奇心はたしかに怪物級だ。
けれど、問題の本質は違う。
俺も同じ化物だと、目の前の殺戮天使は仰っているのだ。
つまりーー俺は拳銃で撃たれたとしても生きられる人間ーーーー。
たしかに宇宙は広いし、どっかの惑星から原因因子が来る可能性があるかもしれない。
だが、俺は俺としての精神を保っているし、人をーーーー。
これ以上、頭の中で問答を続けたとしても結果で出ないと諦め、殺戮天使様に事情を説明してもらうことにした。
「どうして、俺が化物なんだよ。
俺は拳銃で撃たれてもピンピンしてる化物じゃないぞ。
ところで、ここはどこなんだよ。家に帰れるんだよな?」
ギロリと、社会に対して何の生産性もない廃棄物を見るような蔑んだ目で、発言を停止させた。
天照なら、これを喜んでご褒美だと歓喜で気絶しただろうが。
もっとも拳銃を向けられているーー当の本人は全くもって絶望しかないのである。
「また勝手に喋ったら射殺しますが、どうされますか?」
俺は爆発間近のダイナマイトを振り払うが如く、首を横に振った。
「分かればいいんです、分かれば」
サディスト天使は、キューピットの矢を用いて恋を成就させたような満足げな笑みを浮かべて、両手に囚人用であろう手錠を掛けてきた。
「へっ?」
「何マヌケな声出してるんですか。マヌケなのは外見と中身だけで充分です。
今から、あなたに起こった出来事を説明しますので、黙ってそこに座ってください」
俺は拒否権もなく、手錠を掛けられたままイスに座らされた。