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今回は見せられないよ☆な部分の描写をできるだけ省いてあります。
大人の事情って奴なので、許してください。
気づいたときには既に遅く、背中に手を回したそれは俺を離そうとはせず、安堵している。
今までの俺なら世間体や常識や、その他もろもろの柵とやらに縛られ、兄妹だからと言って妹を突き放したのだろう。
けれど、それさえもーーどうでもいいと思えてしまう。
妹を俺は、一人の女としてしか思えなくなっている。
ーーいつまでも触れていたい。
ーー俺のものにしたい。
ーー誰にも渡したくない。
こんなにも俺に一途で、可愛くて、愛おしいと思えてしまう人がいるのだろうか。
俺は彼女のくびれた胴あたりを自らの方に引き寄せて、口づけをする。
ーーお兄ちゃんから、私を求めてくれるなんて。
なんて、幸せなのだろう。
幸せという言葉さえも安っぽいチープで安価な単語に思えてしまう。
お兄ちゃんが私を必要としてくれる。
ただそれだけで、今までの苦労が報われた気がした。
キスをされた際に嬉しさの余りに失神しそうになり、普段なら出さない恥ずかしい色欲に塗れた声を私は出してしまった。
顔が真っ赤になる。
それなのに、お兄ちゃんの激しさは増していく。
そして、お互いがお互いを貪るようにーー私達は一つになった。
ココロもカラダも全部、全部ーーーー。
儚く散りゆく花火のような余韻に浸る。
でも、不思議と悲しくはなく充実感や幸福の類に分類される喜びで満ちていた。
ーー心が満たされている。
ぽっかりと空いた心を埋めてくれてる相手が、こんなにも身近にいるなんて思いつきもしなかった。
「お兄ちゃんがあんなに激しかったなんて。私ーー知らなかったよ」
「あぁ、自分でも驚いてる」
互いの愛を確認し合ったのちに、俺はーーーー。
「俺達が兄妹じゃなかったら、どうなってたんだろうな」
ふと、口にしてしまった。
兄妹だから何年も同じ家で生活し、様々なことを共有してこれたからこそ今があると思えてしまう。
だけど、そうじゃなかったらどうなっていたのだろうか。
妹は誰からも好かれ、憧れ、焦がれ、愛されるのだろう。
そんな妹ーーいや、椎名志奈はどうして俺を選んでくれたのだろうか。
愛を確かった相手を疑っていると思うと、自分の惨めさで情けなくなる。
「私、お兄ちゃんしか愛せなかったと思う。今までも、これからも」
「悪い、疑うようなことを言って……」
「ううん。私だって、嫌がられるか心配だったんだよ」
少女は正直な心の丈を囁きかける。
そして二人はーー濡れたベッドで寄り添うように眠りについた。




