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 一人で帰宅する際に、肉 解体 道具とスマートフォンのプライベートブラウズモードを用いて検索したがーーーー。

 結果は猟師がイノシシの解体方法を解説するものばかりで、今の俺が知りたい情報ではなかった。


 イノシシの解体を見て何も感じないのに、人の死体だとあんなにも恐怖を感じるのかと同時に、どうしようもなく不思議に思えた。


 けれど、それらの情報では問題の解決方にはならないと思い、別の検索ワードで調べることにした。


 死体 解体 道具


 検索結果の中に『バレない死体処理』というタイトルのスレットがあり、世の中の暇人達が実際の事件や推理小説。

 または自信が考えたアイデアを書き連ねていた。


 そこには布団圧縮袋などの大きな袋に入れて密封をし、ガス抜き用のチューブの先端に活性炭や消臭剤、消臭ジェルで腐敗ガスを濾過するば問題ないと書いてあった。


 普段、このようなサイトで暇を潰している人間を時間を無駄に浪費する類の人間をバカにしてきたが、人生最大の問題を一つ解決できるのだ。


 なんとお礼を言えばいいか分からなくなる。


 その他のサイトで見た様々な解体方法の知識を用いて、作業の順序を組み立てる。


 死体の隠し場所は屋上の屋根裏にすることにした。


 父親が建築家だったらしく、自らの腕を誇りたいのか趣味の部屋にしたかったのか施錠ができる小部屋が一つある。


 事件以来、金目になる物の大半を売りに払ったため、空き家に等しくスペース自体も然程ないので適所だろう。


 そうなると、問題は袋の大きさまで死体を解体しなくてはならないということだ。


 ホームセンターで購入した大きめのノコギリとトンカチ、それに太枝切りバサミがあればできると思ったが、それの骨は厚く、腕一本を切断するだけで全身から脂汗が滲みでる。

 まるで、目の前の肉の塊が生きていた頃じゃないか。


 ついさっきまでは死体を見ただけで全身の力が抜け、体の三半規管が麻痺したような脱力感に苛まれたというのに体は慣れ、バイト先でレジ打ちをしたり、商品を並べることと同じ感覚になりつつある。


 ーー落ちるとこまで、落ちたんだな。


 もう笑うことすらなく、肉の解体作業に入る。

 血抜きをしたおかげか返り血がないのが唯一の救いだなんて、安堵さえしてしまった。


 首のない死体に対して、もはや人間を扱うという感情なくし道具に成り果てたそれの肢体を切断し、圧縮袋に入れて空気を抜き、チューブの先に消臭ジェルを取りける。


 何度か同じ物を作り、それを目的の場所まで運ぼうと風呂場から二階へ向かおうとした。


「お兄ちゃん……何してるの?」


 ふいに掛けられた懐かしき言葉が耳に入り、俺は我に帰る。

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