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013

「あなたはあなたで、そんな如何いかがわしいタイトルをよくも平然と大きな声で叫びましたね。

 アホとしか言いようがないです。しばらく息をしないで頂けますか?」


 大輔はホームドラマのジョンみたいな素振りで、反論をする。


「おいおい、お前はエロ本のタイトルを叫ぶ男の気持ちも理解してやれねーのかよ」

「えぇ、わかりませんね。

 そんなのわかるぐらいなら、あなたの頭蓋骨にヒビを入れるまで、この灰皿で殴り続けてますよ」


 エロ本のタイトルを叫んだ当の本人は至って真面目であったのだが、お二人からしたら冗談やおふざけの類なのだろう。


 やはり、エロ本のタイトルを叫ばせる相手にロクな人間はいないのである。逆もまた然りであるのだが。


 この状況下で唯一まともな分類に入るであろう薄氷アリスから、唐突に話は切り出された。


「さっきの供述に間違いはありますか? いい加減茶番に付き合っている暇はないので」

「あぁ間違いはないけど……」

「けど、なんですか?」

「エロ本に興味あるのかなって、まさかそっちの」




 とてつもない風圧が俺の横顔を駆け抜けた。




「あなたがここの木偶の坊と同じだったら、マグナム弾やナパーム弾で蜂の巣にできたのに……残念です」


 いつもクールというか、お人形のように顔色一つ変えないため、どれくらい憤怒されているかは謎なのである。


 それとは全く関係ないのだがーー木偶の坊と呼ばれた方が既に火刑に処されたのに平然と生きているのが不思議で仕方ないのだけれど。


 今は触れることさえできないであろう。


「喋ることもできないぐらい低脳なんですね。

 そんなダメなあなた方に説明しなくてはいけない自分が呪われているとしか思えません」


 自分が言った言葉に彼女は戸惑いを見せた。

 そんなに可愛い少女なのに何を悩むことがあるのだろうか。


 俺は自分の悩み事を処理するができず、エロ本にしか逃げ道がないダメンズからすれば高嶺の華である彼女が悩むことなんて……あった。


「気づいたようですね。この事件は異能力者によって引き起こされていると」

「あぁ、はい」


 全く気付いてないのだけれど、空返事をしてしまった。


「前々から、心臓が破裂した死体の事件がいくつかあったんです。足取りを掴むことがまだできていませんが、いずれも同じ犯人によるものでしょう」


 彼女は、徐に何枚かの写真を取り出した。

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