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Versus  作者: 沙流芭 凍裏
7/8

桐生霞VSアルマンド・カストロ

桐生霞は、目の前の男の不気味な気配に間合いに踏み込めずに躊躇していた。

先程までの禍々しい殺気が今は嘘のように消えているのだ。


「ふふふ。来んのか、ならばこちらから行くぞ。」


「異教徒は、我が神に代わり、この神の使徒であるアルマンド・カストロが

 葬り去ってくれよう。そして、その血肉と頭骨は我が神の身元に捧げよう。」


白いフードに覆われた男は、ポッカリと空いた二つの穴からギラギラとした

双眸を覗かせながら呟いた。


ザシュッ

霞を左右から交互に十字型の細長い剣が襲う。


霞はギリギリのところで鋭い剣戟を見切るとバックステップで躱す。


更に男が踏み込み、十字剣で突きを入れてくる。


ギンッ

霞はトンファーで、十字剣を左右に弾いた。


神父は、手首を返すと更に踏み込んで、切り込んできた。


霞が、大きく背面飛びをすると手をついてしゃがみこんだ。


男が十字剣を船床に突き刺すと、懐に両手を突っ込んだ。

懐から手を抜き出した次の瞬間、一瞬キラッと光る複数の刃物が見えた。

合計にして8本の十字架、その十字架の先端は鋭く削られていた。

アルマンドが両手を左右に振りかぶった瞬間、光の束が霞めがけて一直線に

飛来した。


恐ろしいことにアルマンドは、十字架を投擲した瞬間、床にさした十字剣を

抜き、霞との距離を詰めてきていた。


大きく飛んで避ければ、十字架状の刃物は避けられるかもしれないが、

距離を詰めるアルマンド神父に対して無防備な姿勢を晒す危険性があった。


霞は左右に握ったトンファーを正面で回転させると、飛来する合計8本の十字架

を全て叩き落とすと、次にきたアルマンド神父の十字剣での突きをも鋼鉄のトンファーで受け止めていた。


正面のアルマンド・カストロ神父が笑みを浮かべたように一瞬思えたが、

次の瞬間霞は床に膝をついて崩れ落ちた。


「なっ何…。」

両足の太ももに痺れを感じ、目を移すと霞の太ももには黒い十字架が突き刺さっていた。


「異教徒の女よ。なかなか優れた反射神経を持っているが、経験が違うわ。

 このアルマンド・カストロ、今まで315名の異教徒をこの手で始末して

 きたのだ。」


「暗器の一種か?全く見えなかった…。」


霞がそう呟いた瞬間、神父の白い革靴の爪先が霞の鍛えられた腹部にめり

込んだ。口の中に酸っぱい胃液を感じ、前のめりに床に手をついた瞬間、

神父は霞の両手の甲に十字剣を突き刺した。


「まだ殺さずにおいてやる。お前は他の異教徒をおびき出す餌だからな。」


あたりにアルマンド・カストロ神父の嘲笑が響き渡った。



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