婿養子な俺の義弟
初めてのR15です。このぐらいいいのかな???
どうだろう??
異世界へトリップ。
それは未知のファンタジー世界であり、ぼっ、俺たちの様な日陰っ子が、一度や二度はその世界で大活躍する妄想にトリップしたことがあると思う。
ぼくっ、俺も前は、その一人だった。
電車に揺られながら、ラノベを読んでは自分が主人公になって活躍していることを妄想していたんだ。
西洋の童話を絵に描いたようなお城に、優しい王様。
神官と呼ばれる者たちに必要とされての召還儀式。
最初は、戸惑いながらも勇者として己の使命を受け止める。
そして、集まった仲間と共に魔王を倒すために旅立つ。
旅の途中、様々な困難と危険なバトルっ。
最初は、反りが合わず揉めることも多かった面々が、お互いを認め合い、助け合い、仲間と築き上げる信頼関係。
ついにたどり着く魔王城。
ラスボス・・・魔王との戦い。
壮絶な死闘の上、仲間たちは皆傷つき倒れていく。
立っているのは、魔王と勇者のみ。
剣と剣が混じり合う音のみが辺りに不気味に響きあい、ボロボロになりながらも互いの力を認め合う。
魔王がニヤリと笑い、勇者も釣られたようにニヤリと口角を上げた。
そして、最後の一撃。
勇者が先に倒れ、魔王がゆっくりと勇者の前に立ちはだかる。
「****、******」
最後の言葉を口にした魔王がゆっくりと目を閉じ、その場に倒れ込んだ。
大剣を杖の様に突き刺し、立ち上がった勇者は雄たけびを上げた。
そして、倒れ、傷ついている仲間を助け、囚われていた姫を助ける。
無事に王様の元へ帰り、姫と幸せになりましたとな。チャンチャン。
ぼっ、俺は読んでいた”勇者伝記”をぱたりと閉じた。
そう、これはすべて俺自身に本当に起こった事だ。
高校時代、電車のホームで大好きな作家の新刊を読んでいる時に、誰かのバックが当たり線路へ落ち・・・地球での16年間の人生の幕が下りた。
次に目を覚ました時、魔法陣の真ん中で白いRPG丸出しの神官服の集団に囲まれていた。
「ゆ、勇者様っ!!やったぞ、ついに勇者様が私たちの願いに答えて下さったっ!!」
「王、王陛下に、報告をっ!!」
バタバタと慌てふためく神官服を着た人たちを他所に、ポカーンと開いた口が閉じられず、僕はこの状況が掴めないでいた。次に現れたのが、金色に様々な宝石をあしらった冠を頭に付けた、王と名乗る銀髪に深いブルーの瞳をした気品と美に溢れた年配の男性だった。
「おぉっ!!勇者よ、よくぞ我々の願いに答えてくれたっ!!積もる話もあるが、今はどうぞ御ゆるりと休まれよ。」
王と呼ばれる男性が目で合図すると、僕は絢爛豪華な部屋へと案内された。初めて見るリアルなメイドさんに心の中ではガッツポーズ何かもしていた。この時は、まだ自分が壮大な旅に出るとは思ってもいなかったんだ。
次の日の朝、神官服を着た綺麗な男性に呼び出され一緒に王への閲覧の間に赴いた。そこで聞かされたのは、自分が勇者として呼び出された事。囚われてしまった”姫”達を救い出して欲しいという事だった。僕は、戦闘の経験も旅の経験もなくて無理だと言ったが、あなたは勇者ですの一点張りで聞き入れてはくれなかった。僕は、魔王討伐隊の一員として名乗りを上げた、剣士、黒魔導士、白魔導士、魔獣召喚士、弓士の6人で旅に出された。異世界トリップチートか、召還チートか分からないが剣士や魔導士に修行を強制的にさせられると僕は、メキメキとその腕を上げていった。ひょろりとした身体がいつの間にか、腹筋が6つに割れ、三角筋がぼこりと膨れ腕が太くなり、身長もニョキニョキと伸びた。一番、チビで旅立ったが魔王城を出るときには、旅の仲間の誰よりも高くなっていた。嬉しくなって、こっそりマッスルポーズをしていたら剣士に見つかってしまい、瞬く間に勇者ポーズとして全土に広まってしまった。
剣士と魔導士に鍛えられながら魔族の影響で困っている村々を助けながらする旅は、正直スリル満点で楽しかった。魔獣に襲われている村、龍鬼神と祀られている神は実は魔物で、花嫁として年端もいかない生娘を生贄として差し出せと強制されている村、遺跡に眠る嘘つき双子亡霊の声の謎・・・今まで経験したこともない冒険をこの仲間たちと乗り越えていった。そして、仲間である白魔導士のアルファと恋に落ちた。普段は白いローブを被っている彼女は、長い銀色の美しい髪の毛に、地球の深海を思わせる青緑の瞳をしたキレイな人だ。ちなみに、この星に海はない。すべて湖だ。
誰よりも責任感が強く、後方支援である彼女は、両手を握り締めて祈りの言葉を唱えながら一緒に戦ってくれた。僕は彼女を守りたい一心でさらに剣の腕をあげ、魔術の腕を磨いた。
彼女は、僕を召還した国の王女でもあった。王女と勇者。ありきたりの展開だったが、僕は真剣に彼女を好きになっていた。彼女も僕を真剣に好きだと言ってくれた。でも僕たちはお互いを意識しながらも関係を深める事はしなった。魔王との戦いに集中するため・・・ッというより、もしかしたら魔王に敗れて死んでしまうかもしれない恐怖から一歩踏み出せないでいた。
それでもキス、はした。人生で、初めてのキス。ファーストキスだった。柔らかくて幸せキスに舞い上がって、真っ赤になりながら真夜中にベットの上で足をバタバタしていたら剣士に枕で殴られうざがられた。
数か月後、仲間と力を合わせて魔王の城にたどり付いた俺たちは、魔王を倒し”姫達”を救った。国中に感謝され、王に感謝され、英雄として崇められた。王様が褒美として何でも望むものを言った。
だから、俺は、王女を求めた。
王様は頷き、王女との結婚を認めてくれた。俺は、人生で一番幸せの時に酔いしれていた。
でも今宵は、満月。
魔力が活発になり、疼きだす。
カーテンが夜風になびき、俺への訪問者を隠した。
「・・・・アイル。」
「ふふふ。・・・バレてた??」
「当たり前だ。お前の魔力は独特の色を発している。」
「ふふふ。さすが、”勇者”様だねぇ~。」
「何の用だ。」
「ねぇ・・・分かってるでしょ??」
アイルと俺が呼んだ人物こそ、魔王城に囚われていた”姫”の一人で、アルファの実弟だ。
「今夜は、満月。魔力が溢れ出し身体が疼く夜。僕が、どうしてここに来たのが分かっているんでしょ??お義兄さん。」
「・・・アイル。こういう事は....
「うるさいなぁっ!!お義兄さんは、黙って僕に従ってればいいんだよっ!!それに・・・ほら、ここは気持ちいいっ事だって、知ってる・・・・ね。」
「っ」
アイルは俺の股間に手を伸ばし、ズボンの上からやんわりと撫で上げてきた。アルファと同じ綺麗な銀色の髪が月のの光を浴びて、頭から髪先に向けてゆっくりと艶やかな黒髪へと変わっていった。丸かった耳の先端が細長く尖り、空を思わせるきれいな青色をしていた瞳が、瞬きをしたその一瞬で月の光を思わせる黄金色に輝きを変えた。
いつ見てもサナギから孵化する蝶のような変化に、思考をすべて奪われていく。アイルは悪戯っぽく笑いながら舌を出すと唇をゆっくりなぞりながら舐めた。その幼い姿見に艶が乗り、ぞわりと背中が栗毛立つ。
アイルは、俺の首に精一杯の背伸びをしながら腕を回しキスを求めてくる。アルファの事を思ったら拒否しないといけない。でも、ごめん、俺には出来そうにない。
出来そうにないんだ・・・・・。
「アイル、キスだけ・・・・だ。」
「ふふっ。キスで僕を満足させられるなら、ね。」
アイルの言葉と共に吐き出される熱い息が、俺の脳まで浸食され衝撃を受けたように揺れ始める。ダメだ、ダメだと否定の想いとは裏腹に、俺は・・・俺より、20㎝も下にあるアイルの顎先に手を当て上を向かせる。一瞬、怯えるように目を震わせ、耳がヒクヒクを動いたが、すぐに色欲な熱を含み俺を射抜いてくる。心臓の鼓動が五月蠅いぐらいに主張してくる。無意識に動いた親指で、ぷくりとした厚めの唇をなぞり、その弾力を味わった。
「んっ」
「アイル・・・・」
「お義兄さんっ、して・・・・」
名前を呼ばれ、求めらえるまま唇を奪った。その柔らかい感触が唇に触れ、俺の理性を簡単に焼き切っていく。もっと、もっと、とアイルを貪りたくなる。その衝動を必死で押さえ込み、肩ごと唇を乱暴に離した。
「ハァッ、アイル・・・もぉ、いいだろう??」
「はんっ。冗談??僕がそんなもんで満足するとでも思ってるの??」
嘲笑うようにアイルは、俺の襟元を強引に引っ張り下げると唇をぶつけるように重ねてきた。かちりと歯と歯が当たる音と共に痛みが走った。イラつく様に舌打ちをされ、静止の言葉を発しようとうっすらと開きかけた口の合間から舌を突っ込んできた。
「んっ・・・・」
その柔らかい舌の感触に、身体がビクつき声が漏れた。
アイルはキスが、下手だ。
強引で、強情で、それでいて・・・・受け身。
俺の口の中に突っ込まれた舌は、小刻みに震えているようで体温は低い。それでもその舌は、吸い上げ絡め合いたいほどに甘く、俺を官能的に刺激してくる。必死に抑え込んでいた欲情がいとも簡単に堤防を破壊つくし、湧き上がってくる。
背伸びをしなければ、俺に口づけすら出来ないアイルの小さな身体を優しく包み込んだ。耳がビクビクっと忙しなく動き、俺の抱擁に拒絶の色を示す。
だが、俺はもうアイルを離してやることは出来ない。やっぱり止めたと言われても、嫌だ、嫌だと泣き喚こうが、キライだと言って罵られようが、叩かれようが、止めてやることが出来ない。
自分の黒く蠢く欲望が怖い。
アルファにも抱いたこともない激情が俺を支配する。
アイル・・・・ごめん。
もうお前のすべてを奪うまでは、収まらない。
俺のすべてをお前に注ぐまでは、収まり切れない。
俺でさえ、持て余すこの熱情の塊をまだ幼いお前に、叩き込むだろう。
許してくれ。
それほどまでに、お前は俺を平気で狂わせる。
いかがでしたでしょうか。コメントなど頂けたら幸せです。