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プラスワン!  作者: とん★ちん
プラスワン!
4/13

プラス4!

智也と健人が待ち構えている喫茶店に、愛美と千夏が向かう様子を描きます。

今回は主人公一ノ瀬愛美視点です。


時系列(プラス2!&プラス3!<プラス4!<プラス1!)

「メグ~!!」


HRを終え、教室が帰りのムード一色で騒がしくなった直後に親友の千夏が、あろうことか私の胸に飛び込んできた。


ぎゅううううっ


「い、いたい、いたい!千夏、離れてっ」


「ええ~メグつめたぁ~い」


そういって千夏は離れてくれた。


ええ、ええ。ごめんなさいね!痛いんですよ。


だって私、千夏と違って胸がないもんね!!


クッションって表現は、我ながらばからしいと思うが、私の胸は千夏の衝撃をやわれげてはくれなかった。


ふんだ。世の中Bカップくらいあればいいんだい!


千夏はたしか・・・D、だったかな・・・。


うぅ、なんて空しい差なんだろう。


「ほらほらメグ! そんなことより私がこの前見つけた洒落た喫茶店! あそこいこ!」


「うん、いいよ~」


洒落た店など、私のような地味子がいけるような場所ではないのだろうけれど。


まぁ今日は流行の最先端をいく千夏が一緒だし、私が隣に立っていてもお客さんは見向きもしないはずだ。


いつもどおり、普通が一番!!


空気になっていればいいのだ。


ふっ。私が中学時代に培ったスキル(エアーマンと命名した)は伊達じゃないのだ!


高校に入学してからというもの、今までこのエアーマンスキルのおかげで大して目立つこともなく、周りに同化するように生活してきた。


効果は実証済みで、私の周りには千夏以外みんな私にちかい人達が集まってくる。


ただ1人茶髪の千夏を除けば、私達ははまさに黒髪パンピー集団の塊だ。


隠すなら森の中ってね!


まぎれれば怖いものなどないっ


「千夏、案内よろしく~ ん?」


携帯を取り出し、千夏はだれかにメールを打っているようだった。


「ん、これでよし。いこっか!」


「噂の彼氏か~?いいな~。いいかげん紹介してよ千夏~。」


「いずれね♡」


「おうおう、ラブラブのようですなぁ、うらめしいうらめしいっ」


私は千夏の彼氏を見たことはない。話だけなら、千夏に毎日のように聞いているのだけれど。


千夏の話から推測する限りでは、イケメンで性格もよく、面倒見もいい男の人、という印象かな。


千夏はそういう素敵な出会いが出来ていいな~。


出会いと言えば、私はこの間、千夏の家に遊びに行った帰り、少女マンガを買いに本屋にいったのだが、置いてある場所がわからなかったため近くにいた店員さんに聞いたところ、その少女マンガの場所まで連れて行ってくれた。


さらに、そこに在庫の本が置いてないとわかると、本棚の下の引き出しをあけて、在庫を取り出してくれたのだ。


えらく感動し、この本屋さんすごい!!店員さんのレベル高いよっ?!と思って礼を述べたところ、その店員さんが急に私の名前を聞いてきた。


せっかく感動していたのだが、いきなり名前を聞かれたこと、それに加えて私はその時千夏の髪留めによってデコまるだし状態で帰宅するという罰ゲームを受けていたこともあって、顔を凝視してくる店員さんに対して一応名前を答えた後、すぐに飛んで帰った。


あの本屋の店員さんは、私服でもおっけーなのかなーとおもいつつも、名前を聞いてくる不審な店員さんみたいだったし、残念だけどあの本屋にはもういかないことにしたのも新しい記憶である。


私の出会いなんて、所詮その程度だ。


はぁ~私も千夏みたいな出会いがほしいよぅ。。。


いやまぁ、パンピーの私には無理だけどねっ と苦笑する。


知らず知らずのうちにそれが顔に出ていたのか、


「なに1人でニヤけてんの?バカがばれるよ?」


と千夏に爆笑された。


その背中めがけて、肘から突進をしたのは言うまでもない。






しばらく千夏のあとについて進んでいくと、周囲に下校途中の学生が多くなってきた。


この方向は駅に向かっているようだ。


さすが千夏だな~。私はこっちのほう、あまりこないからさっぱりわからない。


私立高校が近くにあるせいなのか、駅前は学生や帰宅途中のサラリーマンでごったがえしていた。


その駅前の一角にある本当に洒落た喫茶店に私達は入っていく。


「千夏はさすがだね~。ここに堂々と入る勇気は私にはないなー・・・。」


「そうでもないっしょ。あ、ほら。あそこあいてるよ!」


そういった千夏の後ろについていき、席に座る。


落ち着いた雰囲気がなんともいえない、すごくいい喫茶店だ。


学校帰りのカップルも、何人かみかける。


うわ、男2人で来てる人もいる?!


ど、どういう関係なんだろうか。


ぼ、ボーイズラブってジャンルにはまだ手をだせていないのだが・・・。


まわりの友達で好きな人が多くて、たまに話についていけなくなる。


親友だけあって、やっぱり千夏といるときが一番落ち着くなぁ。


そんなふうに思っていると、千夏が思い出したように話しかけてきた。


「ねね、メグってさぁ。なんでそんな風に前髪を不自然に伸ばして額隠すわけ?っていうか、額だけじゃなくて、目もかくれちゃってんじゃん。」


千夏さんや。そんな風にずけずけとストレートにいったら私でなくとも傷つきますよ?


「だって、私的分析では、私のおでこってすごく広いし。」


「そんなことないでしょ。」


「そんなことあるよ~。千夏みたいに活発な性格にもなれないから、まぁいってしまえば・・・」


「周りに溶け込むスキル、エアーマン状態なわけね?」


「そそ(笑)わかってるじゃん、さすが千夏っ」


っとけらけら笑う私を前に、ギラギラした千夏の眼があやしく光る。


「私さぁ~この間、メグがうちに来た時に気がついちゃったんだよね~。」


「な、なにに?」


「メグは、前髪をきちんとわけて、デコ隠さないほうが絶対かわいい!!」


「ええ~おでこ見せるの恥ずかしいもん・・・。」


「問答無用!この間の罰ゲームは継続中であるぞ!?」


ちょ。千夏さん、それはなくないですか!


いくらなんでも2日も前のことを掘り返されても困る。


それにここは人目も多いし、やっぱりはずかしいもの。


「いいのかな~。最速振られ女のあだ名が高校でも流れちゃっても~?」


「ええっ!!それだけはご勘弁を千夏様っ」


これは私たち2人だけの時の冗談トークだ。


みんなでいるときに決してこの手の冗談を言ってこない千夏に私は感謝すらしている。


本当にいい親友をもったものだよね私。


「さぁ、やるといったらやるの!そこになおれメグ!!」


あ、あれ?いつもはこれでおわるはずがっ!! 本当にやるの!?


前言撤回。


私の親友の腹の中は、実はデビル様かもしれません。


千夏がどこか一瞬遠くの方を見たような気がしたのだが、すぐにこちらに向き直ると、結局2日前と同じ状態にされてしまったのだった。


「・・・うん。私って、すごいいいところを発見するの、上手なのよね~」


「ほんと、このお店すごくいいね!さっすがっ」


「どあほう!」


意味もわからずデコピンされた。。。


「ちょ、ちょっと千夏!今おでこ全開なんだから、赤くなったらどうするの?!」


「メグはもっと自信もったほうがいいと思うな~。私ね、メグにお似合いの男性を前から探していたんだけど、うちの高校に結構ぴったりの奴がいたのよ。それでメグになんとかそいつと話してもらおうと思ってさ。」


「結構です!!!!」


私は鏡を取り出すと、やっぱり赤くなってしまったおでこを隠すように髪留めを乱暴にはずし、元の状態へと戻す。


「あーもう。メグはすぐそんな髪型にする~。」


「おでこ広いのは嫌なの!」


「バカだなぁメグは。個性ってのはうまく引き出してやるだけで、人の印象ってのは全然かわるものなんだよ?」


ただし千夏に限る。ってこともあるんだよ。


私はこの時、愚かにもそんな風に思っていただけだった。


離れたところに男同士で座っている片方の男性が、千夏の彼氏で。


今日、千夏と千夏の彼氏が協力して動いていたことなど。


この時の私は、知る由もなかったのだった。



to be continued.

メグの隠された美少女面を、最初に発見したのは親友の千夏ということになります。


察しの通り、千夏と健人は恋人同士で、このときすでにお互い協力して動いていました。

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