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プラスワン!  作者: とん★ちん
プラスワン!
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プラス1!

~プラス1!~




世の中には俗に言う勝ち組と負け組というものが確かに存在していて、私はどちらかといえば負け組街道まっしぐらの状態なのだけれど、高校生になって同様に恋人がいない友達とひたすらだべるだけの毎日にそれなりの愛着をもつようになった今日この頃。


私自身の自己分析では、私の容姿は美的ランキング中の中くらい、いわゆる普通ってやつだ。


今まで、好きになった人は2人ほどいて、付き合ったことがあるのは1人だけ。


1人目は中学2年のころで、そのころはまわりの男子が気になりだして付き合うことが一種のパラメータにもなっていた時期だ。


もちろん長くは続かなかったのだけれど。


好きになって何を思ったのか電話で告白して、付き合うことを了承されたのだが。


了承されて、まいあがったあげく、しばらくそのまま電話で3分ほど会話をしていると、


「ごめん。やっぱ無理。」


なんと、付き合って3分で振られてしまったという私の苦い経験ランキング2位だ。


それでもなぜ2位かというのは、振られてしまったあとの話になる。


私が付き合ってから3分で振られたというのがなぜか中学校中に広まってしまい、『最速振られ女』と不名誉も甚だしいあだ名をつけられてしまったのだ。


うん。ダントツで1位だね。


これ以上苦い経験はないとみた。


そんなこんなで、付き合ったことがあるといっても、3分で振られてしまっているので、男性経験はおろか、男性免疫不全(命名は私)に陥っているといっても過言ではない。


そんな私のまわりに集まるのは、中学時代から一緒の友達のみならず高校のクラスメイトの女子数名と親友1人。


親友以外はだれも彼氏はいない。


私が彼氏を作らない人だとこいつらは思っているらしく、なぜかこの親友を除いた数名のリーダー的な立ち位置に治まっている。


冗談じゃあない。私だって彼氏ができるのならほしいのだ。


ただ、中学時代の苦い思い出をまだ引きずっているのは確かで。


そんな私に彼氏ができることもなく。


そして私は高校2年の春を迎え、ひと月がたったのだった。



.***.***.5月某日.***.***.



「起立、注目、礼。」


「「ありがとうございましたー。」」


高校の、というか学校の日常風景。


チャイムの音がなって、授業中の張りつめたソレから周りの空気が緩むのが私はたまらなく好きだったりする。


あの妙にほっとする感じは他では味わえないと思う。


一日を乗り切った~!って気がするのだ。


しかし、いまはその空気を味わっているどころではない。


先生の事務的な連絡事項を聞き流しながら、私はある重要な案件を抱えていた。


机の引き出しに隠すようにして置かれていたそれは、封筒だ。


『一ノ瀬 愛美様へ』


封筒にはそう書いてあった。


な、なんだこれは、俗に言うラヴ、い、いやラブレターってやつか?!


いやいやまてまて、私的美的ランキング中の中(むなしくなるので以下 パンピーとしよう)の私が人から好意をよせられるはずはない。


案外、千夏あたりのいたずらかもしれないじゃないか。


千夏は、私の数少ない中学からの親友にして、彼氏持ちという貴重な存在だ。


その千夏のいたずらというのが一番しっくりくる。


唯一彼氏もちなのに私の親友という意外性No1の彼女は、この程度のいたずらくらい平気でやってのけそうなものだ。


しかし、私の大胆な予想は封筒の裏を見たときにとんだ空振りに終わった。


『今井 智也』


い、今井智也いまいともや、君??


どこのどなた様かすぐわかるある意味でこの高校の有名人だ。


男子の美的ランキング(私の独断と偏見)では5本の指に入る爽やかな顔をしたイケメンだ。


しかし、無口&人見知りも激しいという面があり、イマイチ(今井プラス智でイマイチ、ということらしい)、と言われている。


その見た目から、入学当初告白する女子が大量に出現したが、だれひとりとして了承されず、加えて断りかたもひどかったとの噂が一時期流れていた。


たしか彼のクラスは2-Bだったような・・・。


イケメンはチェック済みよ!


我ながら空しいチェックである。。。


でも、私のクラスは2-Dなので、彼と接する機会はほとんど皆無といっていいはず。


そんな彼から、わざわざ手紙?


封筒はしっかり封がされているので、筆箱からハサミをとりだして、そっと開封してみたが。。。


・・・・。


な、なんで私こんなに緊張してるんだろっ?!


まだラブレターかどうかもわからないのに、心臓のドキドキはもう隠せない。。。


よ、よし。


まずはトイレだ。


トイレに入って、ゆっくり読もう!


ここだとだれにのぞかれても文句はいえない。


そんなこんなで、HRを終えたまだ騒がしい教室をそそくさと抜け出し、封筒を握りしめたまま個室に入る。


心を落ち着かせて・・・・。


・・・・。


















私は勢いよく個室を飛び出すと、封筒をぐっしゃぐしゃにした。


信じられない信じられない!


なんと、その封筒には。


中身が、なかったのである。


to be continued.

まぁ、今井君は中身を入れ忘れちゃったんでしょうが、愛美はからかわれたのだと勘違いしている模様。

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