桜の坂
小学校に入学する日初めてこの坂を通った。
お父さんとお母さんと妹と一緒に。その坂の桜の木の下で写真を撮った。ここに来るまでちょっと大変だったけど、きれいな桜を見て心が気持ちよかった。
これから毎日ここに来れるうれしさが満点で。
妹とここに来れる日を楽しみでいっぱいです。
毎日歩いた。前と上をだけを見て。2人が背中を押してくれているから。私が歩く先を見ているから。
歩く。進む。前を向く。側溝が目に入らないように。
草木で季節を感じないように。くよくよせず前に進んでいく。
この坂を登る最後の日。まだ桜は咲いていない。
もう1年桜は見れない。来年こそ大丈夫。
私が進む先は、決まっているから。
前を向いたら、妹がいた。上を見ても妹がいる。
私の進む先は私たちの目的地だったらしい。
妹は家を離れた。来年こそ大丈夫。
私は今坂の前にいる。お別れを告げに来た。
もう2度と登らないでいいように。
前を向かない。自分を見て。進んでいく。