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怪しい私の夫  作者: WAND
8/22

08

まだ冬の寒さが残り油断できない朝の気温。

もう少し布団の中に隠れたいところだが、キッチンでひまりが料理をしている音を聞いた以上、怠け者ではいられない。

怠惰に侵され、5分の地獄に落ちる前に、いち早くベッドから起き上がり、出勤準備を始めた。


「.......」


疲れで独り言すら出てこない。

何も言わずにシャワーを浴びて服を着て携帯電話を持ってカバンの中の中身を確認するためにカバンを開けた。

今日は思ったより重要な日だ。

その理由はまさに…。

「コミックストーム」と呼ばれる行事に参加するために計画を話し合う日だからだ。

コミックストームとは、創作活動をしている有能な人材が集まり、自分の作品を世界に知らせたり、自分の作品を好きなファンに会ったり、交流する重要なイベントです。

コミックストームとは、創作活動をしている有能な人材たちが集まり、自分たちの作品を世界に知らせたり、ファンに会ったり、交流する重要なイベントだ。

特に陰の世界で活動している私たちにとって、コミックストームは日向の暖かさを味わえる数少ない機会の一つ...!

だからコミックコンベンションだけは絶対に見逃せない。

私は悲壮な気持ちでもう一度必要な資料をきちんと用意したかどうかを確認するためにカバンを開けた。

充電が完了したラップトップと充電器。

うーん!完璧だ。

わずか私が高校生の時は紙で印刷して重く持ち歩いていたが、今はその必要がない。

ラップトップに全部入るし、厚みも薄くて軽いし、性能も良い!

しかも性能も優れている!

たった10年余りの時間が経っただけなのに、このように世の中が変わったことにもう一度感嘆し、カバンを閉めようとした瞬間、カバンの中の小さなポケットから何か見慣れない白い物体が目に飛び込んできた。


「これは何だろう…?」


碁石の大きさの丸くて白い物体。

なぜこれが私のカバンに入っているのかわからず、記憶を辿っていたその時、2日前、ドラマを見ていた時、ヒマリに言われた言葉が思い出された。


「追跡装置なんて...やっぱり政府のエージェントは怖いね...。」

「あ、私たちにもそんなのあるよ!」

「え? 本当?」

「うん!エコーっていうんだけど、紛失しやすいものに付けておくと、その位置を追跡できるんだって!私も買っておいたよ〜!」

「後で見せてくれる?」

「もちろん〜!」


明らかだ。

これはあの日、ひまりが見せてくれたあのエコーだ。


(ひまり...私がカバンをなくすのを恐れて入れておいたんだね...。)


ひまりはいつも私の面倒をよく見てくれる。

そんな彼女に報いるために私もそれなりに努力しているが··· ちゃんと夫の役目をしているかどうかはわからない。

たまには文句を言ってほしいのだが、ひまは多くのことを我慢しているように見える。

それが私のための配慮ならやめろと言いたいが···

それは努力している彼女に失礼な発言かもしれないので言わない。

だから私はせめてお金儲けでも続けられるように努力しているところだ。

これは大部分が家長たちの悩みだろうと思う。

おそらく多くの父親が孤独に見える理由がこれだろう。


私はひまりが見つけやすいように、エコーをベッドサイドテーブルの上に置いた。

ひまりの好意はありがたいが、ややもすると私の職場の位置を発覚される可能性があるため、今回だけは彼女の好意を断らなければならない。

心が引き裂かれるようだが仕方がない。

これは私がひまりとの関係を今のように維持するためにしなければならない血の決断···!

私は涙をこらえながら部屋を出た。


「ほら! これ、お弁当!」


ひまりが渡す愛が込められた弁当に向かって伸ばす手が罪悪感で重い。

エコーを隠しておけばよかったかな…···と後悔してみるが、もう遅い。

その上、隠して発見されれば、かえっておかしな誤解を招くことになるだろう。

だから返すことで必要ないという意思表現を確実にした方が最善だ。


(ひまりの好意が必要ないと受け取らないでほしいんだけど...。)


私は心配を飲み込みながらひまりに感謝の言葉を伝えた。


「いつもありがとう、ひまり。そういえば、今日はちょっと遅れるよ。」

「え?すごく遅いの?」

「まだわからない。 運が悪ければ夜勤確定ではないか··· かなり遅れそうだったら電話するよ。」

「うん...。」

「じゃあ、行ってくるね?」

「うん! 行ってらっしゃい!!」


ひまりのさわやかな見送りに支えられて、私は作業室に向かった。


*


「いったい何だ、このむちゃくちゃな企画案は!!」


修平の怒りに満ちた叫び声が作業室に響いた。

私とひよりは物を壊したゴールデンレトリバーのように秀平の顔色をうかがった。


「登場人物の形をした水鉄砲? LEDの付いた鞭!? それに··· 振り回すたびに保存されているうめき声が出る!? 一体こんなものを誰が買うというのか!!! いや··· その前に私が確かに簡単に製作して運搬しやすいものを思い出して来いと言わなかったか···… こんなものをどこでどうやって作るつもりなんだよ!!」


先週の金曜日、なかなかコミックストームに出品するグッズに関する意見が詰められなかったため、週末の間にアイデアを考え出すのが課題だった。

ひよりのプレゼンが終わり、私の番が来た時、眉間がくしゃくしゃになった修平の表情を見た私は、何か間違っていることを直感した。

私は人生最大の傑作を準備してきたと思ったので心配いらないと思ったが、残念ながら修平の考えは違ったようだ。

相次ぐひどい発表資料に次第に忍耐心を失っていった修平は、結局爆発してしまった。


「でも、ある程度ユニークじゃないと、みんなは興味を持ってくれないんじゃないの?」


私の言葉を聞いた修平の眉間に深い皺が寄った。

修平は何も言わず、苛立ちに満ちた視線で私を見つめた。

それは無言のプレッシャー。

バカなことはやめろという意味だ。


「あの...私は一生懸命準備したんですが…。」


ダークサークルが濃く降りてきたひよりの顔を見た秀平の片目が震えた。


「お前··· 誰が見ても一晩中ゲームばかりしてきた格好じゃないか...!?」

「え··· あ、違いますけど? 私は週末の間ずっとこれを準備していて...!」

「ほう~?私がギアネットに君のIDが接続しているというアラームを確かに見た気がするけど、それは私の勘違いだったのかな? それも朝の5時まで一度も接続をやめたことがなかったようだが…··· それも週末を出すようにね!!」

「え!?どうして!?」 確かオフラインモードにしておいたのに!?」

「ほぉ~?ただ言ってみただけだけど、本当だったみたいだね......。」

「あ、修平さん、それはちょっと卑怯じゃないですか!?」

「うるさい!!!悪いのはお前の方だろうが!!」

「チッ!こうするなら簡単に、いつものようにアクリルスタンドかハガキでも作ればいいのに!」

「私がそうしようと言ったのに反対したのはお前たちだったんじゃないか!」


確かに修平の言葉通り、普通にグッズを準備しようという意見に反論したのは私たちだった。

前回のコミックストームの時、他のブースで準備した派手なグッズが思い浮かんで闘志が燃え上がったのだ。

それでグッズの注文製作を後回しにしてまでグッズに対する意見をもう少し集めようと言った。

修平はこれを煩わしく思ったが、私たちの意見を尊重して今日まで機会を与えたのだ。

それで彼が怒るのも理解できる。


「お前ら...今日はモデルが来るまでこれだけ作業するのだ。いいな!?」

「は, はい...。」

「まったく...!」


不平を言いながら作業室のドアを閉めて出て行く修平。

きっとコーヒーを買いに行ったのだろう。

彼はストレスが溜まると、階下にあるカフェでショットをたっぷり入れためちゃくちゃ苦いコーヒーを飲むので間違いない。

私とひよりは真ん中のテーブルに集まった。

そして力を失い、倒れた木のように机に倒れ込んだ。


「あ...私の水鉄砲...。」


ひよりは自分のアイディアが棄却された事実を受け入れられないようだ。


「あの水鉄砲のことなんだけど…本当に人気ありそうだから思いついたの?」

「え?先輩も気に入らなかったんですか?」

「あ、そうじゃないけど、ただ気になって… あはは…。」

「もちろんです!最近はユニークさが大事なんですよ!? 漫画に登場する女性主人公が水を噴き出しているように見えて、ちょっと興味深くないですか?」

「ふむ… もう一度考えてみたら、そうかも...。」

「そうですよね!?作りさえすれば絶対に大ヒットなんですよ!? とにかく、修平さんは年をとったせいか、こんな斬新な考えは受け入れられないんですよ。」

「ははっ!ちょっと真面目なやつだね!」

「いつもの考えですが、修平さん…··· 執事のように見えませんか?」

「ふっ-!!」


私もいつもの考えだったので、ひよりの言葉に笑いが出るのをやっと防いだ。


「黒いスーツに長髪。 それに眼鏡まで···! 白い綿の手袋さえはめたら純度200%の執事んですよ!?」

「プハハッ!!きっと家に帰ったら、仕えているバットガイが待っているはずよ?」

「アハハハハッ!! あ…… まあ、私は修平さんのファッションがすごくおしゃれで素敵だと思うんですけどね。」


急に言葉を変えるひより。

その上、姿勢を直して椅子に直立することまでした。

忍び寄る不吉さ。

私はホラー映画で、怖くてどうしても首を回せない主人公のように、そのまま固まった。

私は目でひよりを見た。

何も言っていないが、私が聞きたい言葉が伝えられたと思う。


(修平…… 後ろにいるの?)


戦場で最後を直感した兵士のように悲壮に目を閉じてうなずくひより。

私たちは厳しくて恐ろしい先導部の先生に向き合った不良学生たちのように頭を下げた。


「コーヒー...買ってきた。」


私の前に置かれるコーヒーが入った紙コップ。

焙煎したコーヒー豆の香りが紙コップを突き抜けて伝わった。

私は震える手でコップをつかみ、平然と微笑んで秀平の方を向いた。


「あ、ありがとう! うまく飲むよ! あはははは...。」

「ああ、いいアイデアを思いつくには必要だろう。」


穏やかな声で話す修平はコズミックホラーそのもの。

彼の顔を見る勇気がない。

今度はひよりに向かって歩いていく修平。

ひよりは順番を待つ死刑囚のように、ひたすら修平の次の言葉を待つ。

ひよりの前にもカップが一つ置かれた。


「コーヒーが苦手って言ってたから、ホットチョコで買ってきた。これでいいよね?」

「あ...はい!やっぱりさすが修平さんは繊細ですね!」

「ふっ...これくらいは基本だよ...執事ならね...!そうでしょう?」

「ひぃぃぃぃぃぃ!!! 」


どうやらさっき私たちの会話を全部聞いてしまったようだ。

私たちに飲み物を配って自分の席に戻って着席する修平。

両側に私たちを置き、その中央に座った修平は自分のコーヒーを飲んだ。


「何やってるんだ、脳みそを燃やせよ。お前らに許されたのは、まともなアイディアを練ることだけだ。」

「はい!!!」


一斉に答えた私たちは、何も言わずにインターネットで資料を探し始めた。

派手なキーボードの音が部屋に響き渡ったその時、修平の電話が鳴った。

修平が電話に出るために外に出ると、私たちはその瞬間、締め付けられたコルセットを脱いだような息を吐き出した。


「死ぬところだった…。」

「完全にくたくたです…。」

「修平 ··· 冗談として受け入れたんだろうね?」

「修平 さんじゃなくて アルフレッドじゃないですか?」

「ハハハ!!もう取引先と恋するときアルフレッドさんと紹介しようか?」

「いいえ、アルフレッドなんて。 修平さんの名前でいたずらするのは良くないと思います、先輩。」


ひよりのあの反応。

今回も後ろに修平がいるに違いない。


「……修平。落ち着いて聞いてみて。 これは…。」


カチャッ!

突然、ひよりがお茶目な顔で私の写真を撮った。

訳がわからず、首を横に傾げる。

私はひよりを見つめ、説明を求めた。


「はっはっは〜! 先輩のバカ顔確保完了~!」


やられた。

普段からいたずら好きな奴なので、油断していると彼女のいたずらに引っかかることが多い。

どうやら今回のいたずらは、先ほどのハプニングに触発されたようだ。


「ひより、お前...!」

「お前たち··· もう退勤しなさい。」


突然聞こえてくる修平の声に私は再びびっくりした。

ところで退勤だなんて···

時間はまだ午後3時。

普段の退勤時間までなら、少なくとも3時間は残っている状況だ。

それに今日はモデルたちとのミーティングにコミックストームに対するミーティングまで計画されていたので退勤時間はかなり遅くなる予定だった。

そんな忙しい日に早退とは···

何かが起こったのだ。


「どうしたの?」


私の質問に修平はため息をついた。


「今日来る予定だったモデルが急に急な事情ができてミーティングを延ばさなければならないようだと言っている。それに印刷所で問題が生じたようで、私が行ってみなければならないようだ。 まったくこいつもあいつも... 今日はうまくいくことがないね。」


穏やかな声に込められた静かな怒り。

いつものひよりなら即座に歓声を上げて作業室を出て行っただろうが、今だけはじっと修平の様子を伺っている。


「何してるんだろう? 解散しろ。 今日の日程は全部キャンセルだ。 早く退勤する代わりに、明日までにきちんとした企画案を出してくるように。分かった?」

「はい!!」


私とひよりは訓練を受けた軍人のように一斉に答えた。


「じゃ、先に出てみることにしよう。」


修平が席を離れて、私とひより二人だけが残った状況。

緊張が解けた私たちは、空気が抜けた風船のように机にうつぶせになった。


「ふあ~どういうことかわかりませんが、早く退勤できてよかったです。」

「そうだね··· 今日の 修平はすごく怒っている状態だったからね…。」

「修平さんが先輩のように甘くなればいいのに…。”

「おいおい... 先ほど少し失礼なことを言われたようですがか?」

「先輩。」

「うん?」

「好き......。」


急にささやき声で話したのでよく聞こえなかった。


「うん?」

「ですか?」

「何だって?」

「寿司は好きですか?」

「寿司?急にどうしたの?」

「私も今度知ったのだが…… おじさんがこの周辺に有名な寿司屋を運営しているそうです。 幼い時に何度かお会いしたことがあるが... 何しろ昔なのでよく覚えていないが··· 今日は早く退勤もしただろうし... 私と一緒に...... 行きますか?」


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