いざ、異世界へ その1
「はあはあ......くそっ、なんで俺の技が効かねぇんだよ!おかしいだろ!」
「あのー、あなた本気で戦ってますか?」
俺は今、この世界に転移してきて初めて会った村人と戦っている。
なんで俺が村人と戦っているかって?
......聞かないでくれ、思い出しただけで恥ずかしくて――、あーすみませんでした、すみませんでした、すみませんでしたーーーー!!
空陸海剣※
下校時間になったのでこれから自宅に帰ろうと思う。
俺は毎日通っている高校の校門を歩いて出た。
さーて、今日は家に着いたら何しようかな。
昨日中古ショップで買ったゲームを遊ぶか?いや溜まっている今期のアニメを 見るべきか?それとも観てないゲーム配信の動画を観るか?
うーん、どれもいいな。
俺は喜々としながらスキップしている。
傍からみたら変な人と思われると思うが俺は気にしない。
迷惑行為じゃなければ俺はどんなことでも堂々とするのだ!
スキップしながら下校するのは迷惑行為じゃないよな?たぶん。
すれ違う人たちが化け物を見て驚いてるかのような顔で俺を見ていた。
俺は堂々としているが内心恥ずかしい。
やっぱりさっきの堂々とするという話はノーカンでっていうことでスキップを辞めた。
おっ、あの子めちゃくちゃ可愛いじゃん!
自分の前を歩いていた同じ学校の女子生徒が青信号になるのをスマホをいじりながら待っている。
小柄で黒髪のロング、透き通るような白い肌、パッチリ二重で大きく輝いている瞳
誰が見ても認めるようなような美少女だった。
多分俺は今、間抜けなサルのような顔をしていると思う...
うわーあんなにかわいい子が同じ高校にいたのか。
どうしよう、話しかけようかな?でも俺はそんなに勇気がある奴じゃないし......
よしっ、話しかけるのはやめよう。
ここで変な印象を持たれたらまずいからな。
さーて家に帰ったらなにしよう――!?
物凄い勢いでタンクローリーが横断歩道に近づいている。
彼女は青信号になった瞬間、左右をろくに見ずに横断歩道を渡っていく。
このタンクローリー、もしかしたら信号無視するんじゃないか?
俺は何も考えずに女子生徒に向かって駆け出した。
そして俺は女子生徒を突き飛ばした。
あっ、俺死ぬのか。
今まで生きてきた思い出が走馬灯のように去来する。
幼稚園、小学校、中学校、そして高校の記憶が
お父さん、お母さん
俺、人の役に立つことができましたよ。
いつもいろんな人に迷惑をかけてたけど、死ぬ直前に人を助けることができました。
あーこれで終わりか……
もっと色々なことをしたかったな……
自分が 死ぬのを悟った瞬間、俺は白くて何もない空間にいた。
……は?ここどこだ?
俺は突然の事で何がなんだか分からない。
やっぱり死んだのだろうか。
けど身体に変化がないからまだ生きているのか?
そんなことを考えていると目の前に突然女の人が現れた。
その女の人は 透き通った美声で俺に話しかけた。
「そうです、貴方はまだ死んでいません。貴方がトラックに引かれる瞬間、私が作ったこの空間に連れてきました。」
とてつもない美貌。サラサラ、ツヤツヤとしていて透き通った白くて長い髪。
くっきりとした二重瞼と長いまつげ。
瞳は宝石のように輝いている。
透き通るような白い肌。
肌の露出が少ないくて、ぶかぶかの服を着ているのでスタイルはいいのか悪いのかが分からない。
歳は同じくらいかな?
そういえばさっき俺が突き飛ばした女子高生に少し似ているような……。
「えっ、俺まだ生きてるんですか?っていうか、何で俺がまだ生きているかどうかを考えているのが分かったんですか?」
「私は女神ヒュージュ、女神は相手が考えていることも見通すことができるんですよ」
女神様は微笑みながら右手の人差し指を自分自身の顔に寄せた。
えっ恥ずかしっ、俺がさっき考えていたこと全部ばれてるってこと!?
俺は赤面になっているであろう自分の顔を手で覆った。
恥ずかしくて直視できねぇよ......
「あのー、俺これからどうなるんですか?まだ生きているってことは元居た場所に戻るんですか?」
「戻りたいんですか!?でも貴方に頼みたいことがあるのですが……。」
女神様は悲しそう顔をした。
「えっと、頼みごとって何ですか?俺にできることなんですか?そうだったら引き受けてもいいんですが……。」
俺がそう言うと女神様は悲しそうな表情から明るい表情へと変わった。
女神様からの俺への頼みごとってなんだ?
全く見当がつかないんだが。
「はいっ、貴方でも大丈夫ですよ!私がいますので!コホンっ、では言いますね、貴方に魔王を倒してもらいたいのです!お願いします、田中剣さん」
「まっ、魔王!?俺が魔王を倒せって!?そ、そんなの無理に決まってるじゃないですか!俺運動神経悪いし、趣味もゲームをしたり、アニメを観たりすることですよ!ごめんなさい、無理です!」
俺は魔王と聞いた瞬間パニックになり早口になってしまった。
確かに俺はそういうファンタジー物は好きだ
だが当事者になりたいとは一度も思ったことはねぇ
「おっ、落ち着いてください田中剣さん、私が貴方に強力な武器と能力を授けます。それがあれば魔王とも互角以上に戦えると思います」
「チート武器&チート能力か……。いや互角以上じゃだめですよ!圧勝できないなら俺は戦いたくありませんーー!!」
俺は泣きながら女神様の頼み事を拒否している。
女神様の頼み事を断ろうとしているの世界で俺だけじゃないのかな。
「おっ、落ち着いてください、貴方には神器 空陸海剣を授けます。この剣はあらゆるものを切断することができますよ!空間を斬ることもできます!」
女神様はどこから取り出したのかが分からないが、刃が漆黒で、持ち手が銀色のブロードソードを俺に手渡した。
「カッ、カッコイイ!えっ、この剣で何でも斬れるんですか!スゲーー!でもちょと重いですね。あと名前もダサいし……。」
「他にも武器がありますよ!この神器 月光龍の大弓月光龍も強いですよ!この弓で矢を当てた部分が壊死、崩壊するんですよ!」
またしてもどこから取り出したのかが分からないが、大きくて銀色と黒色の弓を俺に手渡した。
「でっか!あれ、矢は無いんですか?」
「この弓はですね、自分の生命エネルギーを使うことで矢を作ることができるんですよ!弓を使う時に矢が出てくるのをイメージしてください!そうすれば矢を放つことができます!試しに撃ってみてはどうですか?」
女神様は俺の後ろを指さした。
えっ、試し撃ちしていいのか!?
俺は女神様に頷いた。
えっと弓に矢があるのをイメージすればいいんだよな。
俺は弓の弦を引いて矢があるのをイメージしている。
おっ、本当に矢がでてきた!
純白に輝いている矢が弓にセットされている。
「んっ!!」
俺は力いっぱい引いていた弦をはなすと、矢が目視出来ない速さで放たれた。
「はっ、速っ!速すぎて視えなかったんですが。この弓も良いな……。」
俺は剣と弓をもらって嬉々としている。
この二つがあれば魔王にも負けないんじゃないか!?
「他にもありますよ!この神器 ダガルスの鎧も強いですよ!この鎧を着るとどんな攻撃もへっちゃらです!物理攻撃、魔法攻撃に物凄く強い耐性を持っているんですよ!」
女神様は一点の曇りもない真っ白な中世ヨーロッパの騎士の鎧みたいなものを自分自身の横に立たせている。
「あのー、この鎧ってどうやって着ればいいのでしょうか?頭とか外せないんですけど。」
「この鎧は自分が鎧を着ていると強くイメージすることで着ることができますよ!」
俺は言われた通りに自分が鎧を着ていると強くイメージした。
するといつの間にか俺は鎧の中にいた。
「この鎧、重量感がありそうな見た目だったけど、いざ着てみるとものすごく軽いですね!まるで何も着ていないかのような感じ!高くジャンプすることもできますよ!これもいいですね!」
俺は鎧を着ながら周囲を跳ね回っている。
「お次はこちら、究極の無限銃(アルティメット インフィニティ ガン)です!この銃は物凄い威力を無限に撃つことができるんですよ!」
女神様は銀色のハンドガンを俺に手渡した。
えっ、まだくれるの!?
主人公の名前は 田中正和
中肉中背、黒髪
前髪は少し長めで、それ以外はショート
アホ毛がある
高校の偏差値は64
成績は下位
趣味 ゲーム、漫画、アニメ、etc.