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48.ルナ神殿

ルナ神殿もうちの領地のウィルゴ神殿のようなゴシック建築のような造りだけど、大きさは全然違う。王都の神殿だからたぶん一番大きいと思う。敷地も広いし。敷地の中には神殿だけでなく、救護院や読み書き計算が学べる手習い所、神官の宿舎、結婚式場などがある。それはどこの神殿も同じだ。


神殿は時間は決まっているけどいつでも礼拝できるように礼拝堂の扉が開け放たれている。この国は月の女神の信仰が厚いので、人々の出入りが多い。


私は別に熱心な信者とかではないけど、たまに息抜きで神殿に行く。もちろんお忍びで。なんだか落ち着く気がするのよね。


私は礼拝堂のずらりと並ぶ長椅子の適当な場所に座り背中をもたれ、祭壇の月の女神像を眺めた。


ふふ、何度見てもあまり似ていないわね。本物は腰を抜かすくらいもっと美女なんだから。まぁ似ていないのは女神様だけじゃないんだけどね。


私は礼拝堂の両側の壁に6体ずつ並ぶ星の眷属神の像に目を向けた。


6歳の時かな。フェリクス大叔父様の授業中、私はこの星の眷属神が前世で身近だった12星座と同じであることに気づいた。あの夢で星の眷属神を見た時、どこかで見覚えがある気がしたのはそのせいだった。星座が擬人化されていたのだ。そして面白いことに、この国の地図を見ると各領地や神殿の配置が黄道十二宮星座の順と似ているのだ。うまいことできてるなって思わず感心しちゃったわ。


あの夢の中で星の眷属神は全員いたけど、ちゃんと見たのは会話をしていたウィルゴとリブラとレオだけ。ウィルゴは乙女座、リブラは天秤座、レオは獅子座だ。風貌からもそれがわかる。


私は立ち上がって眷属神の像たちに近づいた。ウィルゴ像の隣にリブラ像がある。この像の並びも黄道十二宮の順なのでどの像が何座を表しているのかがわかるのだ。


想像で像を作った職人はこれまた想像で色付けしたんだろうけど、リブラの像が私が夢で見た通り髪も瞳も紫で塗られているのは、初代国王が紫の瞳でリブラの月の大満月に生まれたから、職人はリブラ像を紫にしたんだろう。本来理由は逆なんだけど、色は間違っていない。


ということは他の「女神の化身」たちに関係する像もそうなのかな。


「女神の化身」の血縁はベリエ家とシュツェ家。ベリエ家の「女神の化身」の名前はレナードで、ピスケスの月の大満月に生まれた。ピスケスは魚座だ。ピスケス像は反対側にあったので、私はそちらに移動した。


ベリエ領の神殿はアリエスという名前で牡羊座なんだけど、生まれにはあまり関係ないみたいだ。


ピスケス像は桃色の瞳に長い海色の髪をした人魚で、岩に座って歌を歌っているような女神像だ。リリアの瞳も桃色だ。確か「女神の化身」の先祖返りと言っていたわね。


3人目の「女神の化身」である冒険者カイルはアリエスの月の大満月の生まれで瞳の色は蜂蜜色だったそうだ。ピスケス像の隣にある男神のアリエス像の瞳も蜂蜜色だけど瞳孔は羊のように横長だ。髪も羊の毛みたいにふわふわしていて、頭には羊のようなくるっと巻いた角が付いている。


冒険者のカイルは結界を張り直した後シュツェ家の養子になったため、シュツェ家は「女神の化身」の血筋となっている。ちなみにシュツェ領の神殿はサジテールという名前で射手座を表している。


像の職人は「女神の化身」の瞳からその生まれの星の眷属神の瞳の色を決めたようだけど、たぶんリブラと一緒で理由は逆だ。「女神の化身」は大満月の月に該当する星の眷属神と同じ瞳を持って生まれる。私の知る限りだと、今のところ眷属神と同じ瞳を持っているのは国王とユアン殿下とリリアだけ。


友達のリリアとは何度か会っているけど特殊スキルを持っているような感じがしない。でもスキルは公表しないのが普通だから隠している可能性もある。5歳で初めてあった時の警戒心よりかは薄れてきているけど油断はできない。そうなると国王陛下もユアン殿下も何らかの特殊スキルを持っていると考えて良いわね。はぁ、夏に殿下の誕生パーティーで社交デビューしなくちゃいけないんだけど、今からもう気が重く感じる。


考えに(ふけ)っていると、2号から念話が届いた。


《ミズキー、リリアたちもう帰ったから部屋に戻ってきても大丈夫だよ》


はぁ、やっと帰れる。


〈オッケー、じゃあ戻るね〉


私は人気のないところで転移をするため、神殿を出た。


……ん? リリア()()……?

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