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46.依頼完了報告

ブルーホーンディアを討伐した後、サーペントとユニコーンを倒した。


BやAランクの区域に行かなくてもCランク区域にAランクの魔獣がうようよいた。知っていても実際にその状況を目の当たりにすると驚いた。


今日はこれでもういいかなと、あまり乗りたくないけど転移できる程魔力が残っていないので、乗合馬車に乗って王都に戻った。MPポーションの飲み過ぎもあまり体に良くないからね。帰りの馬車には私の他に誰もいなかったし、疲れていたから馬車の揺れで少し寝れるかなと思ったけど、やっぱり眠りを誘う程の心地の良い揺れではなかった。


お昼を少し過ぎた頃だからか、ギルド内は閑散としていた。


私は依頼完了受付のカウンターに進んだ。2つある内の1つに、茶色の髪を肩までおろした理知的な女性がいた。私が近づくと、少し照れたような笑顔を向けた。


「こんにちは。いかがなさいました?」


「……? 依頼が完了したので手続きに」


あれ、ここ依頼完了受付だよね? 看板もそう書いてあるし。


「え! もう終えられたのですか? Aランクの魔獣の討伐ですよね?」


「そうだが」


初対面だけどミヅキのことはもう知っているようだ。2人目のSランクだからもう職員全体に周知されているのかな。


私は驚いている女性職員にとりあえずギルドカードを差し出した。


「確認しますね」


登録時にも依頼受付時にも見たような透明な台にギルドカードを置いた。すると、台に文字が浮かび上がっているのがカウンター越しからでも見えた。


「えっ……す、すごい! この3体、全てあなた一人で!?」


私は頷いた。この魔道具はギルドカードを読み取るとその日の活動内容がわかるようになっているみたい。魔道具は全部見た目が一緒なのにそれぞれ性能が違うなんて。魔道具ってどうやって作っているんだろう。


「魔法使いなのに短時間でこれらを一人で……Sランクってすごいんですね」


感心した眼差しを私に向ける。


「あ、すみません、報酬ですよね! すぐ準備しますね!」


そう言って女性職員はささっとカウンター奥の部屋に消えた。


そしてしばらくして、「お待たせしました」と戻ってきて、報酬の金貨3枚をカウンターに並べた。


おお! 初めて自分で稼いだお金……! 感無量だわ。


私はそれを受け取ると黒のズボンのポケットに手を入れ、収納魔法でしまった。


「もし素材があればこちらで買い取ることもできますが、どうしますか?」


あ、そうだった。じゃあとりあえず、持っていてもしょうがないやつを売ろうかな。


素材はポケットから取り出すには大きすぎるので、マントの内側に手を入れて、あたかも魔道具屋で売っている収納袋から取り出したかのように収納魔法で素材を取り出した。


カウンターにサーペントの牙を置く。蛇皮はほとんど燃えてしまったので森に置いてきた。あとユニコーンの角もことりと置く。ユニコーンの角は状態異常の回復薬になるから精製する能力がない私が持っていてもしょうがない。


目の前の女性職員の顔が引き攣る。


「状態が良すぎる……」


主に体部分を攻撃したからね。まあ、これしか素材が残らなかったっていうのが正しいかも。


「あら? ブルーホーンディアがないようですが。魔石の角は高く買い取れますよ」


「いや、これだけで良い」


せっかくの魔石だからね。使い道がたくさんありそうだし。


「そうですか、残念です。ではまたの機会にぜひお願いしますね。それでは買い取り金額を計算しますので、少々お時間を頂きます」


私は待っている間に、依頼ボードの反対側の壁にずらりと並ぶ棚に足を向けた。そこに置いてある地図がふと目に入り、何とはなしに手に取った。


地図はローレンの森の地図だった。ランクの区域ごとに色分けされている。森の中央辺りは黒で塗りつぶされていた。Sランクの魔獣がいる場所を示しているのだろう。


もう少しAランク魔獣の討伐経験を積んでからSランクに挑戦してみよう。今のところ、Aランク魔獣が縄張りを超えて来ているから討伐する必要が急務だし。次はどの辺りに行こうかな。今日はシュツェ領方面に進んだから次はヴェルソー領方面にしてみるか。


次の活動の予定を決めていると、「ミヅキさん、お待たせしました」とカウンターから声がかかった。


「サーペントの牙2本と、ユニコーンの角1つを合わせて1金貨と24銀貨で買い取らせて頂きますがよろしいでしょうか? すごく状態が良いので高めに設定させて頂きました」


「それで構わない」


正直金額はあまり気にしないので、女性職員にお任せだ。


「ありがとうございます。では、手続きはこれで以上となります。またのご依頼をお待ちしておりますね!」


テキパキと進めてくれた女性職員にぺこりと頭を下げてギルドを出た。さすが王都のギルド、職員の教育が行き届いている。ギルマスはあんななのに。


どこからともなくお肉の焼ける良い匂いがする。まだ屋敷に転移できる程魔力が回復していないし、お腹も空いたから屋台で買い食いをして、ちょっと用事を済ませてから帰ろう。

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