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18.王妃様のお茶会に招待されました

王都に向かう馬車の中、雪化粧した風景を窓から眺めている。


馬車の中は暖房の魔道具で暖かいけど、私の心は途轍(とてつ)もなくどんよりジメジメしている。


なんでって? はぁ……


洗礼式の2週間後まで(さかのぼ)る。

お父様の娘である私が洗礼式を迎えたことで、自領の貴族だけでなく他領の貴族からの釣り書やお茶会の招待状がたくさん届いた。


え、お茶会? 私まだ5歳なんだけど。って聞いたときはお父様の爆笑くらいあり得ないって思ったわ。

でもお父様はこのくらい予測していたらしく、断りの返事をしておくよう既にお母様に言っていたそうだ。

グッジョブ!


それで解決したとばかり思っていた私が浅はかでした。


そのさらに3週間後、王都にいるお父様から私宛に手紙が届いた。

グラエムから「お一人でお読みください」って渡されたとき、何そのサプライズって思ってドキドキしながら手紙を読んだら、笑顔のまま固まったよね。


『ディアナへ


2ヶ月後に王宮で開かれる王妃様主催の茶会にディアナが招待される。もうじき王宮から招待状が届くだろう。気が進まないだろうが出席するように。ノアも招待されるから安心しなさい。

出席する際は魔力を遮断しておくように。茶会には「女神の化身」の血筋の家が3家出席する。王族であるユアン殿下とベリエ公爵家の長男長女、シュツェ侯爵令嬢だ。特殊なスキルをもっている可能性がある。魔力感知ができる者もいればディアナの膨大な魔力の気配に驚くだろう。遮断の仕方がわからないようならグラエムに聞きなさい。

読んだらこの手紙は燃やしておくように。


父 ジュード』


自室のソファで読んでいた私は、固まったまま崩れ落ちた。

そして目を(こす)る。目を擦ってはまた手紙を読むを3回繰り返した。


何度読んでも「王妃様のお茶会」って読めるんだけど、見間違いかな? 見間違いであってほしい。ていうか他の貴族は断ったのにどうして……あぁ、王族だからか。そうよね、いくらお父様でも断れないよね。

しかも「女神の化身」の血筋が3家って……はぁ、胃が痛い……


それとこの「魔力を遮断」ってどういうことだろう。わからなければグラエムに聞けって書いてあるから今聞いてみよかな。忙しいかな。


私はベッドサイドに置いてある呼び鈴を鳴らした。


しばらくしてノック音がした後、シェリーが部屋に入ってきた。


「お呼びでしょうか」


「シェリー、グラエムを呼んできてくれる?」


「かしこまりました。お待ちください」


そう言ってシェリーが部屋を出た後、そう時間が経たない内にグラエムが部屋に来た。


「グラエム、お父様からの手紙を読んだわ。ねぇ、これって『王妃様のお茶会』って意味で合ってる?」


一縷(いちる)の望みをかけてグラエムに尋ねたけど、希望虚しく「ええ、そうですよ」と返ってきた。はぁ……


「当日はノア様もご一緒ですから、そう気負わずとも大丈夫ですよ」


「……うん、そうだよね、お兄様が一緒で良かったわ。それともう一つ聞きたいんだけど、魔力を遮断するってどういうことかな?」


「そうですね……極稀に魔力を視認できるスキルを持つ者だったり、魔力の性質から属性がわかるスキルを持つ者がいるので、魔力を遮断することで自身の能力を隠すことができます」


そんなの持っている人がいるの!?

はっ! 手紙にあった特殊なスキルってこの事? 確かに私の魔力がバレたらヤバいわ! ナイスお父様!


「どうやって遮断すれば良いの?」


「簡単です。お腹部分にある魔力の器に全て魔力を仕舞うのです。そうすれば魔力が遮断状態になります」


「……それって簡単なの?」


「苦手な方もいるようですが、ディアナ様は魔力操作ができていますので簡単にできますよ」


魔力操作? ああ、指先とか体の細かい部分に魔力を込めたりするやつかな?


「わかったわ、やってみる」


私は目を閉じて、お腹部分に口の開いた袋があるのをイメージする。そしてそこに体内を流れる魔力を少しずつ入れていく。


全て入れ終わると、意識すれば体内を巡っていた魔力がなくなっていた。


「どうかな?」


グラエムが視線を一瞬違う方向に向けた後、すぐに私に視線を戻した。


「きちんと遮断できているようです。魔力の気配もなくなっていますよ。この状態でいると魔力感知をされず、魔獣も寄って来なくなります」


私は目を丸くした。


「へぇ、そうなんだ。ありがとう、グラエム」


「礼には及びません。私はこれで失礼しますが、手紙を燃やすことをお忘れなく。では」


グラエムが部屋を出た後、もう一度手紙を読んでから魔法で燃やした。


「女神の化身」の血筋。ベリエ公爵家は確か何代か前の王様の弟が臣籍降下して公爵になったんだっけ。王族はもちろんだけど、目をつけられないようにしなくちゃ。シュツェ侯爵令嬢も警戒しておこう。

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