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17.私の生活サイクル

「女神の化身」の血筋は王族の他に領主貴族のベリエ公爵家とシュツェ侯爵家がいるってことだけど、領主貴族はヴィエルジュ家含めあと10家ある。王都セレーネを中心に12の領地があり、それぞれ12の領主家が統治している。領主貴族は公爵、侯爵、辺境伯と高位貴族しかおらず、12人の当主はそれぞれ役職の大臣に就き、議会の発言権も高い。


私の理解力が高いことを良いことに、大叔父様はどんどん知識を詰め込んでくる。ここで話されている大陸言語であるアルセイデス語は転生チートで読めるし、数学も前世と同じ十進法で助かるしで、授業がどんどん進んでいく。でもその中で一番面白いのはやっぱり魔法学だ。最初は魔力の込め方とか詠唱の仕方とか基本的なことを教わっていたんだけど、実践で大叔父様に無詠唱がバレてからは魔法理論とか魔法陣の書き方とか難しい内容にシフトした。


そして午後のティータイムを終えた後は晩ご飯の時間まで自由時間だ。その時間、私は騎士団の訓練場に併設している魔法訓練場で魔法の練習をしている。正直この時間が一番楽しい。


訓練場はテニスコート3面分くらいあって、遠く離れた的に魔法を打っていくことができる。横一列に等間隔で並ぶ5つの的は全部魔道具で、魔法で壊しても元に戻る仕様になっている。魔法で(えぐ)れた地面も四隅に設置された魔道具でまっさらな地面に元通りになるし、放った魔法が明後日の方向に行かないよう防護の魔道具も備わっている。こういった設備はお金のある貴族の屋敷には必ず備わっているそうだ。そしてこれらの魔道具を作ったのが魔塔主である魔法師団長だというから、魔力が桁外れに高いだけじゃなく、魔道具を生み出す発想と技術力もずば抜けているかなりすごい人だと改めて認識した。この国に普及している生活魔道具もその人が作ったみたいだし。前世にあった家電みたいな魔道具も作っているなんて、とても興味深い。いつかその人に会ってみたいと思った。


と、まぁ、私の生活サイクルはだいたいこんな感じだ。


洗礼式前の、部屋にこもったり庭園を散歩したりしていただけの生活とは全然違う。私が活動的になったことに、お母様やお兄様、屋敷の人たちは皆目を丸くしていた。だって私には10年後までにやるべきことがあるから、時間を無駄にできないのだ。それなのに……


今日も自由時間に護衛騎士のハインとレイに見守られながら、私は魔法訓練場で的に向かって魔法を放つ。

最初は当てるのが難しくて5m離れたところから始めたけど、2ヶ月経った今は50m離れたところから的に当てられるようになった。


護衛の2人は、私の上達の早さと魔力量の多さと3属性と無詠唱に終始苦笑いを浮かべていた。


私が公で使えるのは火と風と土の3属性だけ。今はもうそれらの初級魔法は全てマスターした。中級もあと半分くらいで網羅(もうら)できる。魔力値は洗礼式時の16000から17100に増えた。ちょっと微妙だよね。増やすために魔力が枯渇するまで魔法を使っているけど、女神様が言っていた通り本当に地道だ。しかも枯渇したときの疲労がものすごくて、初心者がフルマラソンを完走した状態になる。毎回レイに抱えられて訓練場から屋敷に戻っているんだけど、その度にお母様とお兄様に心配されるからだんだん枯渇まで魔力を使うのに抵抗を感じてしまっている。


これじゃ目標の15万なんて果てしなく遠い道のりだわ。何か効率よく増やせる方法はないかな。

はぁ、魔力値を早くどうにかしないといけないのに、なんで……はぁ……


悶々としながら魔法を打っていると、徐々に空が暗くなってきた。


火属性魔法の中級『火炎(イグニス)』の橙の炎が轟音(ごうおん)をたてて的を破壊する。

魔力値が残り1200と、疲労を感じ始めたところで私は今日の練習を終わりにした。

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