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「アイリス!お前との婚約を破棄する!」

今日は王立学園の卒業式です

恙なく式は終わり、卒業記念パーティーの会場へ来賓や生徒皆が移動し、席に着くかつかないかの時でした

突然、10年前から私の婚約者であった卒業生の第一王子が前に飛び出し、一つ年下の私の妹の肩を抱き高らかに宣言なさいました

「お姉様」

無理やり連れてこられたのか、制服のままの妹は救いを求めるように震えながらこちらに手を伸ばしていますが第一王子はしっかりと押さえ込んでいるようで逃げる事は叶わぬようです

「お前はこのアイラにいつもいつも辛く当たり虐めていた!俺は何度もその場面をみた!お前など王妃に相応しくない!

俺はアイラと結婚する!!」

「お姉様!!」

席に着いた卒業生や来賓も生徒もみな固唾を飲んでこの茶番劇を見ています

「承りました」

「そ、そうか」

あっさりと了承したので拍子抜けしたのか第一王子の勢いは削がれたようです

「アイラをこちらへ まさかこのまま王宮へ連れて行くなんてことは有り得ませんよね?」

アイラは第一王子の拘束が緩んだ隙に腕を掻い潜って私の方へ走って逃げてきました

「お姉様!」

「大丈夫?アイラ 怪我はない?」

「肩を掴まれてとても痛いのです」

「お医者様に診ていただかなければ」

妹の手を取り退出の許可を得てわたくしは妹を連れ寮を出て王都の侯爵家タウンハウスに戻りました

タウンハウスでは騒ぎを知った父と母が待ち構えており、妹は主治医が診ています

「アイラ、第一王子とのことだが、お前には苦労をかける」

「お父さま、アイラはイヤです あんな乱暴で話もできない王子となんて!」

「ごめんなさいアイラ」

わたくしは妹が可哀想でなりません

「彼の方の下賤の血がやはりあなたを選んだのです」

「お姉様は悪くないのです!でも、でもやっぱりいや!」

母は静かに涙を流していました

「わたくし達のせいであなたたちにこんな苦労をさせるなんて」

「お母様」

「大丈夫だ アイラは絶対に助ける このままあの王子の好きにはさせないよ」

お父さまはわたくしたちには滅多に見せない、おしごとの時の顔で宣言なさいました

「王宮から下賤の血を排除する それがあの時、あの場所で下賤の血が王族を汚すのを手をこまねいて見ていただけの私たちの務めだ 今は違う 今度こそ正す」

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