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光のルミナス

「レオン団長、その人誰?」 


大勢の子供達がゼインとレオンを囲む。


「俺の友達だ。夏の間、俺の家にいるんだ。皆仲良くしてくれ」


レオンが子供達に頼むと「わかった」と元気よく返事する。


レオンが大人達と話があると言って建物の中にはいっていくと、子供達がゼインの手を取り、こっちこっちといって引っ張っていく。


建物の中にいるレオンと目が合い助けてくれと目で訴えるが、伝わらなかったのか手を振ってくる。


「(ゼン、あの調子なら大丈夫だろう。子供達と仲良くなりそうだ)」


やはり、レオンにはゼインの訴えが伝わっていなかった。


 



「ねぇ、お兄さん。お名前は何ていうの」


「レオンとはいつから友達なの」


「どうやって知り合ったの」


「レオンって恋人はいないの」


子供達が一斉に質問する。


最後のだけは俺には関係ない質問だなと心の中で呟く。


どの質問から答えるべきかと悩んでいると「こら、あんた達そんな一辺に質問しない。一人ずつしなさい」とゼインを助ける女性。


「ミレーユおばさん」


子供達が女性の名を呼ぶ。


「こら、おばさんじゃなくお姉さんと呼びなって言ってるだろ」


子供達にそう言うが、お姉さんって年じゃないと反論する子供達。


そういった子供達に拳骨をくらわし笑顔を向ける。


この女性は見た目とは違って怖い人という印象を受ける。


「あんた、レオンの友達かい」


「はい」


さっきレオンも友達と言ってくれたので、少し照れながら返事するゼイン。

 

友達とは何かは知ってはいるがよくわからなかった。


四季の神々とは同じ使命を命じられた同志ではあるが友達かと聞かれたら違うと答えるだろう。


他の神々も友達と呼べる存在ではないし、夏の妖精達も自分の世話をしてくれるがそういう存在ではなかった。


なら、レオンはどうなのかと友達といわれる条件に当てはめてみる。結構満たしているので友達といえるだろう。


昨日出会ったばかりだが、ゼインは生まれて初めて友達といえるかは微妙だが、それっぽい人ができたことに幸せを感じていた。


「そうかい。私の名はミレーユだ。よろしくね」


ゼインに優しく微笑むミレーユ。


「私はゼンです。こちらこそよろしく」 


ゼインもミレーユに微笑む。


「私はユリアナ」


「僕はジョン」 


「僕はアレン」 


「私はエルザ」


二人が自己紹介していると子供達も自分の名前をゼインに名乗っていく。


全員が名乗り終えるとルイと名乗った少年が絵本を持ってゼインに近づいてくる。


「ゼンお兄ちゃん絵本読んで」


ルイは手に持っていた絵本をゼインに渡す。なんの本かと題名を見ると『光の王ルミナス』と書かれていた。


子供達にも愛されているなんて流石は王だと感心し、もう一つの絵本の題名も確認しようと見るとそっちには『夏の王ゼイン』と書かれていた。


「おぉ」


なんとも言えない声がゼインの口から漏れる。まさか、自分について書かれている本を持って来られるとは思ってもみなかった。


ルイの顔を見るにこの本が好きなのだとわかりゼインも嬉しいが、自分の書かれた本を自分で読むのは恥かしいし嫌なので最初に渡された『光の王ルミナス』を読むことにした。


「こっちを読むよ。それでいいかい?」


そうルイに尋ねると嬉しそうに頷く。


周りにいた子供達もゼインが絵本を読んでくれると嬉しそうに周りに集まる。


「じゃあ読むよ。光の王ルミナス…」


題名を読み本をめくって内容を朗読していく。





昔々、それは人類や神々が誕生するさらに昔の話。


一人の少年がこの世界に誕生しました。


少年は真っ白な世界にただ一人存在し何万年もの長い年月を一人彷徨っていました。


だけど、その少年はある時自分が何者なのか何のために生まれてきたのかをある日突然理解したのです。


その日から少年は自分の務めを果たすために力を使いました。


まず最初に真っ白だった世界を色鮮やかな世界に変えました。空、雲、太陽、木、花、大地、海と呼ばれるものを創りました。


少年は変わった世界を見て喜びました。


美しい。なんて美しいんだ。


これを自分の手で創り上げた。なんて素晴らしい力。


自分の力を理解してても実際に使ってみたら想像以上で感動した。



次に少年が創り上げたのは自分と同じ存在。神を創造した。


少年は髪の色、瞳の色、肌の色、他にも似たような存在と異なる存在を大勢誕生させた。


少年は神々に力と知識を与えこの世界で暮らすよう指示をした。


神々は少年の言うことを何でも素直に聞いた。



その次に少年が創り上げたのはありとあらゆる生物。鳥、魚、動物、虫、そして人間。


人間は神々と姿形は似ているが一つだけ異なった。それは力。


神々は少年には遠く及ばないが人間にはない特別な力がある。


そのため少年は神々をつれて上に登ることを決意し、新たな世界天界を創った。


神々は何故自分達は彼らと一緒に過ごすことができないのかと問うたが少年がそれに答えることはなかった。


少年はわかっていた。力のあるものとないものが一緒に暮らせばどうなるのか。


少年は神々からあらゆる生命を守るため四人の神々を選び新たな名と力を与え人間達を守るように命じた。




少年は神々の王だけでなく全ての生命の王となった。


少年は子供達に名を与えたが自分の名を自分に与えていなかった。


少年は四人の神の前で名を教えそう呼ぶよう命じた。


「我が名はルミナス。光の王ルミナス」


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