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アスター


「話は変わるんだが、子供達の遊べる場所を作らないか」


本当に変わったな、とさっきまでの暗い話からよくこの話をもってこれたなと感心してしまう。


「ーーいいじゃないか。子供達も喜ぶだろう」


自分達の件と子供達のことは別。


同時進行でどちらもやろうとするレオンを尊敬する。


自分ではできない。


自分だったら子供達のことを考えられただろうか。


復讐のことしかきっと考えなかった。


片方は剣を持ちもう片方は思いやりの心をもつ。


そんなレオンだからこそリヒトはついていくと決めたのだ。


「本当か!?リヒトもそう思うか!?」


子供のような喜ぶ。


「どんな遊び場がいいと思う?」


「団長はどんなのを考えてるんだ?」


リヒトにそう聞かれ自分が考えた遊び場を説明する。


リヒトはレオンの説明を聞きその遊び場を想像する。


レオンが考えた遊具。


保護者が見守れる場所。


花が咲き誇る磯鮮やかな場所。


最高だ。


その一言に尽きる。


自分の子供の頃にあれば毎日そこで遊んだだろう。


「……って感じなんだがどう思う?」


不安そうに尋ねる。


リヒトは「最高だ!作ろう!」そう言おうとしたが、「最高だよ!団長!素敵なアイディアだ!きっと皆喜ぶよ!」とレオンに抱きつく男。


「ーーアジュガ!?」


いきなり抱きつかれ後ろを振り向く。


二人が待っていた男がいた。


いつ来たのかわからず驚きを隠せない。


「アジュガ、いつここにきた?」


リヒトが尋ねる。


「んー?たしか、『本当か!?リヒトもそう思うか!?』って団長が言ったときかな」


結構前からいた。


話しに夢中になりすぎて全くアジュガの気配に気づかなかった。


「いや、そんな前から居たんなら話しかけろよ」


「かけたよ。ノックもしたけど二人共話しに夢中で全然俺に気づかないんだもん」


仕方ないから待ってた、と。


これは自分達が悪いと謝る。


「でもさ、団長のアイディアいいけど何か物足りなくないか」


「アジュガもそう思うか?」


「ってことは、団長もそう思ってたのか」


「ああ。でも、何が足りないのかわからなくて」


三人で何が足りないのか考えるもわからない。


「よし!こういうことは本人達に聞こう」


「「本人達?」」


リヒトとアジュガはレオンの言っている意味がわからず首を傾げる。


「ああ、使うのは子供達だろう。勿論大人が使ってもいいが、目的は子供たちの為だ。大人目線でわからないのなら、子供目線になるしかない。今更子供目線になるのは難しいだろう。なら、本人達に聞くのがいいと思ってな」


「さすが団長!それがいいよ」


アジュガがレオンを褒め、リヒトも「それがいいだろうな」と同意する。


「なら、善は急げだ。早速聞きに行こう」


アジュガが部屋を飛び出す。


「あっ、おい、待て。その前に報告だろう」


リヒトが慌てて声をかけるがアジュガの耳には届かなかった。


「仕方ない。話は後で聞こう」


リヒトの肩に手を置き諦めよう、と。


二人はアジュガの後を追うように部屋を出る。


一階に降りると何故か団員達が集まっていた。


何事かと近づくとアジュガがレオンが子供達のために遊び場を作ろうと考えているので、全員意見を出すようにと頼んでいた。


団員達もレオンの考えに賛同し協力させてほしいとアジュガに申し出ていた。


勿論今は仕事中なので、それ以外の時間のときに手伝いたいと。


まずは、遊び場がどんな風だったらいいか自分の意見を紙に書いて提出するようお願いする。


「仕事が早いな」


「だな」


二人はそっとその場を離れ、外でアジュガが来るのを待つ。


「お待たせ〜。じゃあ、行くか〜」


御尾を伸ばしながら今にもスキップをしそうな勢いだ。


「お!そこの少年達いいところに」


五人の少年が座って何かをしているのを見つけると声をかけ近づいていく。


「アジュガさん」


一人の少年がアジュガに抱きつく。


「相変わらず元気でよろしい。お前達も来るか」


両手をバッと広げると四人の少年もアジュガに抱きつく。


「ここはアジュガに任せて俺達は親の意見を聞くとしよう」


子供の相手は間違いなくアジュガが一番上手い。


大人三人だと少年達も緊張するだろうからとその場を離れる。


「俺はこっちに行く。リヒトはそっちをお願いしてもいいか」


「ああ、問題ない。二時間後に集合でいいか」


「それがいいな。アジュガはここにいるだろうから集合場所はここにしよう。じゃあ、二時間後に」


「わかった」


二人は反対方向に進む。


レオンはとりあえず、よく買い物をする人達から話を聞くことにした。


「あれ?レオン団長。どうしたんすか、こんな時間に。珍しいですね」


この時間のレオンは大抵団で書類仕事か鍛錬をしている。


休みの日も基本この時間には来ない。


「ハイデか。ちょうどいい。意見を聞かせてくれないか」


「いいすっよ」


きょとんとした顔で担いでいた米を地面に置きながら了承する。


レオンの頼みなら聞かないわけにはいかない。


「実は……」


レオンは子供達が楽しく遊べる場所を作ろうと考えているが、どういったのがいいのか意見を聞きたい、と。


今考えている遊び場がどういう感じか説明する。


自分達だけでは見えていない部分もあるから何か有れば意見があれば言って欲しい、と。


「……最高っす。何すかその遊具!!俺が遊びたいくらいっすよ!!」


興奮してレオンの肩をガッと掴み激しく揺する。


「そう言ってもらえて嬉しいよ」


揺すられながら礼を言う。


暫くされたままの状態だが、ふと何か気づいたのか動きを止める。


「レオン団長。今気づいたんすけど、遊び場の周りに柵を作ったらどうっすか?」


「柵を?」


何故柵を作るのかわからず首を傾げる。


「そうっす。ここはよく馬車が通るっしょ。子供達は楽しいことに夢中になりすぎると周りのことが目に入らなくなるじゃないっすか。俺もそうだったんで、よく親に怒られてたんすよ」


何故か堂々と誇らしげに言う。


「だから、危ないんじゃないかな〜って思ったんすよ。柵があればどんなに夢中になっても馬車とぶつかる可能性は低くなると思うんすよ」


ーー確かにその通りだ。


ハイデの的を射た発言に感心する。


馬鹿っぽい話し方で馬鹿だと思われがちだが頭は良い。


よく、年寄り達にどうしたらいいか意見を求められているし頼りにされている姿を見かける。


「ハイデ。ありがとう。その考えは思いつかなかったよ。仕事中に邪魔して悪かったな。後でまた買いに行くよ」


「大したことしてないっすよ。遊び場ができるの楽しみにしてますね。俺も遊びたいんで大人ができるのも作ってください」


ハイデと別れた後もレオンはいろんな人に声をかけられ、ついでに遊び場のことを尋ねた。


皆遊び場ができるのを楽しみにしてくれいろんな意見を出してくれたが、ハイデ以外は自分達が考えたのと大して変わらなかった。


「そろそろ、二時間経つか。戻るか」


アジュガのいる場所まで戻ろうとすると後ろから声をかけられる。


「団長、面白いことを思い付きましたね」


フードを深く被って顔が見えない。


体もマントで隠れている。


誰が見ても怪しい男がそこにいた。


周りの人達は誰だ?と不審な目で二人の動向を見守る。


「アスター!帰ってきたのか!」


レオンがアスターに嬉しそうに近づくのを見て大丈夫そうだと思った町の人達は仕事に戻っていく。


「ああ、ついさっきな」


フードを外す顔を晒す。


団に行ったがレオンは今町にいると聞いて捜しにきた。


「そうか。無事で何よりだ」


見た限り怪我はしていない。


「ああ、問題ない。どこも怪我していないからな。今団長達がしようとしていることの話を詳しく聞きたいところだが、それより今すぐ報告しないといけないことがある」


険しい顔でそう告げるアスターの顔からただ事ではないと察し、急いで団に戻る。


リヒトとアジュガも一緒に話を聞く為団長室についてくる。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

この作品はムーンライトノベルズにて掲載します。

お手数をおかけしますが続きはそちらで読んでいただけると嬉しいです。


作品名も春夏秋冬〜黄金の蓮に込めた想い〜から春夏秋冬〜神に愛された男〜に変わります。


ご迷惑をおかけしますが、これからもよろしくお願いします。


十月以降に投稿する予定です。

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