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町の案内 4


「お待たせー、はい、どうぞ」


グラデーションになった飲み物の中に輪切りのレモンが入っているのと蓮の花びらが入っているジュースをそれぞれの前に置き最後にゼインと同じ飲み物を置いてレオンの隣に座る。


「はぁー、やっぱりうまいな」


レモネードを飲みうっとりした表情をする。


「美味しい」


初めて飲む飲み物に少なからず抵抗があったが一口飲むとそのおいしさに虜になる。


「そうでしょう、そうでしょう。これ私の自身作なのよ」


リリーは自慢げに胸をたたく。


「それなのに、あんたは」


ロータスジュースを選ばなかったレオンをジロリと睨む。


「二杯目は飲むつもりだよ」


慌ててリリーの機嫌をとる。


レオンはロータスジュースも好きだが、レモネードも好きなのでこの時期になると両方頼む。


「なら、よかろう」


夏になるとレオンがレモネードを飲む理由を知っているので、嬉しい反面、寂しくもある。


三人は料理ができるまでいろんな話をした。


ほぼ、リリーが理想の相手は何かを聞いてきた。




「リリー、料理を運んでくれ」


厨房からリリーを呼ぶ。


「はーい。今行くわ」


そう返事をするとリリーは厨房の中へいく。


料理のいい匂いが二人のところまでする。


レオンは厨房の方を見ながら幸せそうな顔をする。


ゼインはそんなレオンの表情がおかしくてついクスクスと笑ってしまう。


何でゼインが笑っているのかわからず首を傾げる。


「はい。おまちどうさま」


リリーがどんどんできたての料理を机の上に置いていく。


見た目も匂いもよく食欲がそそられる。


机いっぱいに並ばれた料理はどう見ても五人分以上の量がある。


「(人間いつもこの量を食べるのか)」


あまりの量に若干引いてしまう。


レオンの方を見ると少年のように目をキラキラと輝かせて料理を見ている。


ハルとリリーが席につくと「じゃあ、食べようか」とリリーが言う。


「いただきます」


レオンがそう言うと二人もそれに続く。


ゼインは皆の真似をして「いただきます」と言う。


レオンは肉、ゼインは魚をそれぞれ口に運ぶ。


「「美味しい」」


同時に感想を言う。


レオンは満面の笑みを浮かべ、ゼインは驚きを隠せない表情で手と口を動かす。


レオンにとっては結構な頻度で訪れる店なので美味しいのは知っている。


ゼインは四百年ぶりに昨日から人間と関わりはじめた。


昔自分のために人間達が作ってくれた料理も美味しかったが、今食べている料理も美味しくて幸せな気持ちになる。


「ハハッ、それは良かったわ。いっぱいあるからたんとお食べ」


ハルは黙って料理を口に運んでいるので、リリーがかわりにお礼を言う。


「当然じゃ、わしが作っておるんじゃからな」


ハルは照れているのか顔を隠す。


料理を褒められるのは嬉しいが恥ずかしい。


「相変わらずハルさんが作る料理はどれも最高だよ」


口一杯に料理を含んでそう言うレオンの姿はリスみたいだった。


「だって、良かったわね」


ニヤニヤとハルを見ると「当たり前じゃ」と小さく呟く。


そんなハルの姿を見て二人は笑う。


ゼインだけは何で二人が笑っているのかわからず首を傾げてその光景を眺める。


「黙ってくっとれ」


そう言うとハルは厨房に戻っていく。


「相変わらず照れ屋なんだから。私も手伝ってくるわ。デザートはいつものあれでいい?」


「ああ、それで頼むよ。ゼンは何か食べたいのはあるか?それとも俺と同じでいいか?」


メニューを机の上に置く。


「レオンが今から食べるのはどれなんだ?」


「俺が今から食べるのはスペシャルメニューだから載ってない」


「美味しいのか」


載ってないメニューがでてくることに驚くもレオンが食べるくらいだから美味しいのだろう。


「ああ、最高に」


「では、私もレオンと同じものを食べてみたい」


「リリーさん。いつもの二つでお願いね」


「わかったわ。できるのに時間がかかるから残りはゆっくり食べてね」


食べ終わる頃にだせるよう急いで準備に取り掛かる。


「ふぁい」


レオンは口にいっぱい料理を詰め込み、またリスみたいになっていた。


その姿が可愛らしくてついゼインは微笑んでしまう。



「ふー、お腹いっぱいや」


レオンは自分のお腹をポンポンと叩き満足気な顔をする。


「ゼン、ここの料理はどうだった?気に入っ

てくれたか?」


「とても美味しかった。気に入ったよ」


レオンとは違い美しい所作で料理を口に運んでいた。


レオンに比べたら食べた量は少ないが軽く三人分は食べていた。


「そうか。なら、また一緒にここに来よう」


太陽のような眩しい笑顔を向ける。


自分の好きな人達の料理を美味しいと言ってもらえて少年のように喜ぶ。


「ああ、また連れてきてくれ」


もう二度と人間と約束などしないと決めていたのに、ゼインは無意識にそう言ってしまう。




「お待たせ。はい、スペシャルスイーツだよ」


リリーがデザートを二人の前に置く。


「何度見てもすごいな」


「ああ、本当に凄いな」


レオンの言葉にゼインも同意する。


リリーが持ってきたデザートは本物の蓮の花と間違えるくらい完璧に再現されている。


これはどうやったら作れるのだろうか、とまじまじとデザートに穴が開くくらい見ているゼインがおかしくて、つい二人はぷっと笑ってしまう。


そんな二人の笑いなど気にならないほど目をパチパチさせて見続ける。


神力を使えば蓮の花など一発で作れるが、何の力もない人間がどうやってこんな繊細で美しいものを作れるのか不思議で仕方ない。


「ほら、食べよう」


フォークをゼインに手渡し、自分のも取りデザートを食べる。


「うまい」


幸せな顔をするレオンをリリーは満足気な顔をする。


ゼインはデザートにフォークをさして中がどんな風になっているか見てから食べる。


「美味しい」


「だろ」


ニッと無邪気に笑う。


「はい、これ」


ハルがロータスジュースを二人の前に置く。


「「ありがとう」」


レオンとゼインが同時にハルにお礼を言う。


「ーーうん、やっぱり美味しいな」


デザートとジュースを交互に口に含む。


レオンはあっという間に最後の一口くらいの量になると少し悲しそうな顔をするも、口にいれると幸せそうな顔をする。


あまりにも表情がコロコロと変わるので、自分に仕える妖精達の子供みたいだなと思ってしまう。


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