オークに敗北した転生女剣士の日常
女剣士アスカは転生者である。
交通事故であっさり死んで異世界に転生した彼女はオークの集落を襲撃し、あっさり敗北した。
そして今、彼女はあるオークの家に連れてこられ生活をしていた。
彼女が身に纏う衣装は露出の多い踊り子が身に着ける様なものでとても煽情的であった。
時計をちらっと見る。そろそろこの家の主が帰ってくる時間だ。
恐らく今日も『求められる』のだろう。最近は毎日そうなのだ。
緊張で胸が激しく鼓動する。
そうこうしていると予想通り、『レヒ』が戻って来た。
彼の身長はアスカよりもはるかに高い。
アスカ自身、170cmと女性としては身長が高めだがそんな彼女が小さく見える程である。
「えへへへ、オデ、今日もたっぷり溜まっちまっててよぉ。下の方だってパンッパンッだぁ」
下の方を見て息を呑んだ。
確かにこれは……パンッパンッになっている。どうにかしないといけないやつだ。
「……そうみたいね。帰ってきたらその……いつもの……よね?」
「おおっ、わかってるじゃねぇか。えへへへ……嬉しいなぁ」
小さくため息をついてアスカは寝台の方へと向かう。
そして……
□
「あだだだだ、アスカさん。もうちょっとやさしくしてぐれぇぇ」
「ああもうっ!大の大人が子どもみたいに悲鳴上げるんじゃないわよ!!」
「だ、だっでぇぇぇ!!!」
硬い寝台の上、レヒはアスカから整体マッサージを受けていた。
彼女の両親は整体師であり彼女自身も整体師を目指し勉強をしていたのだ。
「レヒ!本当にあんたって人は、何でこうも毎日毎日オーバーワークしてくるのよ!脚の方なんて洒落にならないくらいパンッパンッになってるじゃない!無理しすぎなのよ!!!」
「だ、だっで折角アスカさんがオデを選んでくれたんだ。頑張って不自由ない生活をさせてあげないと」
「今の生活でも十分!頑張りすぎてあんたが身体を壊しちゃったら意味ないでしょうが!!」
「あだだだだだ!!!」
そして1時間に及ぶ施術の後……
「おぉっ、身体中のコリがほぐれたぞ!やっぱアスカさんはすげぇな。このままもう一回働きに行けるくらいだぁ!!」
「行ったら殴るわよ?」
「はい……」
何やかんや勘違いでオークの集落を襲撃し捕らえられたアスカを待っていたのは若いオーク達による婚活アピールだった。
半ば呆れつつも彼女はこのレヒという男を選んだ。
薔薇を口に咥えて格好をつけてみたはいいが棘が刺さって涙目になっていた男だ。少し鈍くさいが心は優しく、そんな所に惹かれた。
「ところでレヒ。わたしをみてどう思う?」
「えへへへ、きれいな嫁さんだなぁ」
「ありがとう……じゃなくて他によ!その、例えばだけどこう……わかるでしょ?」
魅せる角度を変えて露出の多さをアピールしてみる。
少し恥ずかしいがこれくらいしたら流石に察してくれるだろう。
「あの……アスカさんの生まれ故郷の文化はよくわからねぇけど、寒かったりしねぇか?風邪ひかないでくれよ」
ダメだった。
紳士的ではあるが察してはくれていない。
「はぁ…………そうじゃなくて!こういう服装見てあんたはムラムラとかしないわけ!?」
「ええっ!?そ、そんなムラムラだなんてその……あの……」
「あのねぇ……わたしはあんたの何よ?」
「えっと……嫁さんだよな?えへへ」
「そうよね?お嫁さんよね?もうあんたと結婚して半年よ!その間、全く手を出してこないじゃない。そろそろこう、子どもが欲しいなぁとか無いわけなの!?」
その言葉を聞きレヒの顔が耳たぶまで真っ赤になってしまった。
「こどっ……そ、それってつまり……あわわわわ、まっでくれ。オデ、心の準備が……と、とりあえず文通でお互いの気持ちを確かめ合ってから次のステップに進んでいくのが……」
「このヘタレオークゥゥゥゥゥッッ!!!」
異世界ニルヴァーナ。
この世界に暮らすオークという種族は男性しか生まれない。
そこで他種族の女性にアピールして結婚、子どもを産んでもらうのだが…………全体的に紳士でありそして………無茶苦茶『シャイ』なのだ。