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異世界戦争[双子の地球 黒土]  作者: 鯖の味噌煮缶
第1章 小白争奪戦編
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5話 遅刻魔と無能大佐


             1


『...着いた、か。さて、王城はどこだったか』

 ゲートでスワーム大共和国の首都、虹来(こうらい)に到着した、浩介とドル。当のドルは足早に王城を目指すが、浩介はというと、

「おいおいおいおい!なんだよこの街は!?まるでファンタジーの世界みたいだなおい!」

『初めての景色なのは分かるんだがな、もう少し声を抑えれないか...?周りの人々がお前を不審な目で見てるぞ』

 現代日本ではお目にかかれないほど美しいファンタジーの世界の街の景色に釘付けになっていた。

「うわっ....カメラ持って来れば、この景色をいつでも見られたのにッ...!なんて誤ちをしてしまったんだ俺はッ!!」

『そんな事で泣きそうになるな、情けないぞ。お前それでもイチモツついてんのか』

「うるしゃい!!現代日本の文化が分からんポンコツに言われたくないやい!!」

『な、なにおう!?』

 もはや周囲の視線なんぞどうでもいいと言わんばかりに喧嘩を始めた浩介とドル。そんな幼稚な彼らを止めるべく、一人の軍人が立ちあがった!

「おいそこ!騒ぐんじゃない!住民の迷惑だろうがッ!」

「...あの」

「ん、なんだ」

『もしかして』

『「俺(私)らの事言ってます?」』

「当たり前だわボケ!...これ以上騒いだら、このオリバ...子供とて容赦しないぞ!」

 大人らしく警告を発する中年、オリバ。しかし、そんな彼を横目に浩介は、

「ほーん...あっそ。やれるなら、やってみればー」

「ぐっ、年下に舐められるなんて何たる侮辱...許せん!」

「ハァ...お前な大体その風船みたいな身体してるから舐められるんだよな。もうちょっと痩せれば良いのに」

「んなっ!?」

 自身が健康的な身体な事を良い事に、思いっきりオリバを馬鹿にしていた。

 流石に我慢の限界がきたのか、オリバは腰回りに収めている剣を取り出し、最後の警告をした。

「いいかこれが最後だぞ!もう騒ぐな...次騒いだら、お前の首は無いと思え」

「ハァ...だから今言ったじゃん、やれるもんならやってみろってな。ちょうど能力の腕試しがしたかったんだ、かかってこいや!!」

「あぁん!?そこまで言うんならやってやろうじゃねぇか!!」

 騒ぐどころか完全に戦闘態勢に入った浩介。オリバもそれに応じ、両手で剣を掴み、ジリジリと距離を詰めている。そして、

「だらぁぁぁぁ!!」

 個性的な声をあげながら浩介に突っ込んだ。

 しかし、浩介は冷静にオリバを躱し、背中を押して体制を崩し、怯ませる。その隙に一気にオリバに急接近し、彼の手の平に自身の手の平から手加減して生み出した炎を触れさせる。

「っ!?あっつつつ!?」

「いや弱すぎでしょ。何してんだよ、隙だらけじゃねーか」

「はぁ!?んな訳ねーよ!その、あれだ!怪我させないように手加減してたんだよ!」

「へー言い訳するすんか」

「んな事はどうでもいいわ!俺は今から本気だすからな。死んでも知らんぞ!」

 小物感が拭えないオリバ。

「本気、ねぇ。分かった。俺もマジになるわ。」

「え、それは聞いてな

「お前だけ本気だすのはずるいよな?」

 そう言って間に浩介の右拳に爆炎が纏う。炎拳の構えだ。その爆炎を見て、恐怖したオリバは一気に態度を変えて、ヒートアップしている浩介に話しかける。

「えと、あのその、謝るので、ね?その炎を俺に放つのはやめてもらえませんか?」

「嫌だ。このまま放つ!くらえっ炎ッ

「いやぁぁぁぁあ!!だだ、誰か、あ、おい、プラッシュドール!俺を助け

『私か?...嫌だな』

「!?じゃじゃあそこの市民!」

「嫌です」

「なんでだよぉぉぉぉ!?」

「拳ッ!!」

 周りにも見捨てられたオリバに極大な炎が近づく。俺の人生呆気なさすぎるだろっ!!とオリバは膝を地面につける。

だが、オリバは天に召されなかった。何故なら、


「やめい!!」

「んなっ!?爆炎を素手で、止めたぁ!?」

「あ、貴方様は...!ルピー王!!」

 ルピー王というスワーム大共和国の主人が颯爽とオリバの前に立ち、片手で爆炎を受け止め、空へ放ったからだ。

「はじめまして、爆炎を操る異世界人よ。うちのオリバが世話になったな...。我が名はルピー•アルート。この国の王をしている」

「は、はぁ。千布浩介、です」

「敬語じゃなくてよい。...それはそれとしてなのだが、」

「はい?」

 ルピー王の温かみを帯びていた目が一気に冷たい目に変わる。

「浩介よ。うちの軍人をよくも殺そうとしてくれたね?」

「あ、いや、別にそういうわけじゃ...!ただ、能力の腕試しをしようとしただけで!」

「言い訳は王城で聞こう。この事に関しての処遇を決める」

 王の威厳を間近で体験した浩介は、冷や汗が止まらない。


「うぇーい!ざまぁみやがれ!人様を能力の練習台にした罰だ!」

「オリバ。お前も一緒に来なさい」

「え、なん

「事情があったとはいえ、仕掛けたのはお前だろう?それに、浩介に騒ぐな、周りの迷惑だと言った割には、自身も十分周りに迷惑を掛けていたじゃないか。軍人としてとても情けない」


 まともな正論を言われ、オリバは何も言い返せず、ただただその場にへたれ込んでいた。


             2


「さてと」

 ルピー王は浩介とオリバを見回し、玉座に腰掛けた。因みにドルは専用の待機室でくつろいでいる。

「あの、ルピー王。その、処遇というのは...?」

「安心しろ浩介。もう決まっておる。千布浩介、オリバ。お前たちは今から小白(こはく)に行ってもらう」

「こここ、小白っていうと、戦場の最前線となっている、あの小白ですか!?」

「小白?」

「知らんのか!?小白っていう街はな、今ロンリー大帝国との戦争の中心となっている街の一つに数えられるぐらい激しい戦いが繰り広げられている街だぞ!?」

「いや俺この世界の人間じゃないから知るわけないだろ」

 以前オリバは小白から10キロ北に離れた大白(だいはく)という街で防衛線を張っていた。しかし、ロンリー側の大攻勢により近くの大黒(だいこく)もろとも消し飛ばされ、小白まで撤退した。その時オリバは王城に出向いていたため現場にはいなかったが、そのロンリー大帝国の攻撃の激しさは知っている。

「オリバよ、お前の言いたい事は分かる。こんなガキを戦場に送り込むなんてどうかしてる、と言いたいのだろう?だがな、これは千布浩介への試練なのだよ」

「「試練...?」」

「さっき言った通り、小白は激戦区の一つだ。普通の凡人だったら私は送るつもりはない。しかし、浩介、お前はドルと契約を交わした以上、能力を行使できるだろう?お前がどの位の実力なのかを確実に確かめるために小白に行って戦ってもらう...それが試練だ」

「いやいやいや、それで俺死んだらこの国も俺の家族も損ですよ...?ちょっと考えが行きすぎているのでは...?」

「もうこの国にはそんな余裕を見せる時間などないのだ。...これは国規模の大きな賭けだ。それ相応の設備も用意しようじゃないか」

 国規模の大きな賭け。浩介はそれを聞き、自分が如何にこの国にとって重要な人材だという事を自覚する。

「...因みに俺が断ったりしたら?」

「一週間もしない内にロンリー軍に戦線を突破され、スワーム大共和国は滅びるだろうな」

(...そんな事になったりでもしたら、俺があの時ドルに言った、この国から笑顔を取り戻す、っていう事に反するし、俺が異世界(こっち)に来た意味が無くなるな...)

「...分かりました。行きましょう。ただし、帰れるとは限りませんよ?」

「そう心配するな。死なせない為にも、さっきそれ相応の設備を用意すると言ったのだよ」

「あの」

「なんだねオリバ」

「な、何で俺も小白に行くんですか...?試練だったらコイツ一人だけでいいじゃないですか!」

「そりゃあ...なぁ」

 行く気が無さそうな情けない軍人に対して、ルピー王は割と辛辣な事を言った。


「さっきあんな馬鹿らしい事したし、何か、その、お前は後方での勤務が多かったから...経験も兼ねて...的な?」

「ふ、ふざけんな!なんで俺だけ扱いが雑なんだよッ!!」


 そんなこんなで千布浩介とドルは、激しい戦闘が行われている街の一つである、小白に試練もとい派遣される事になった。



 劇中で浩介はオリバに炎拳を放っていますが、あれは殺そうと思ってやっていたわけではなく、直前で寸止めして怖がらせようとしてやっていたのです。

 結果ルピー王が、浩介がオリバを殺そうとしていたと勘違いして、当の浩介が、地獄の戦いが繰り広げられている小白に送り込まれてしまったわけです。

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