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006 筋肉令嬢の初恋

 ローグトリアムと知り合ってからのジェシカは、以前に増して筋肉を鍛えることに夢中になっていた。

 そんなある日、ジェシカはエゼクにあることをお願いしていた。

 

「エゼク教官!!もっと筋肉を鍛えたいです!!」


 ジェシカの熱量に押されたかのようなエゼクは、仰け反り気味の体制になりつつもジェシカを諭していた。

 

「君は十分鍛え抜かれていると思うが……?」


「いいえ!!まだまだ足りません!!私、守りたい子ができたんです!!あの子を守るために体を鍛えて、あの子を幸せにしたいんです!!」


 まさかの返答に、エゼクの目は点になっていた。

 エゼクは、恐る恐るジェシカに問いかけたのだった。

 

「き、君は、好きな人ができたということなのかな?それで、その男性を守りたいと?」


 ジェシカはと言うと、頬を赤く染めて照れながらもサイド・チェストをキメて胸筋と剥き出しの三角筋を強調しつつ言ったのだ。

 

「はい……。私、あの子の笑顔を守りたいのです。あっ、それと教官、あの子はとても可愛らしい少女ですわ」


「そうか……?!は?しょ、少女?!」


「はい。それが何か?はっ!!教官であっても、あの子は渡しませんからね!!」


「いやいやいや!そう言うことじゃない!!」


「はぁ~。聞いてください。あの子ったら、子犬のように可愛らしくて、笑顔がとても眩しいのです」


 そう言ってうっとりとするジェシカは、エゼクの苦悩する表情を全く見ていなかった。

 そして、言いたいことを言ったジェシカは、「昼食に行ってまいりますわ~!」と言い残して、エゼクを置き去りに、全力疾走で食堂に向かったのだった。

 

 その場に残されたエゼクは、自分の常識がジェシカの筋肉まみれの思考に破壊されていくのを感じていたが、素直な気持ちを口にするジェシカを羨ましくも思っていた。

 

 

 一方、食堂に駆け込んだジェシカは、今日も今日とて可愛らしく食堂で働くローグトリアムにめろめろになっていた。

 

「ローグちゃん、そろそろ私とお出かけしましょうよ!ね?デートして、一緒に食べ歩きを楽しみましょう!!」


 そう言って、最近愛称で呼ぶようになったローグトリアムに絡んでいたのだ。

 ローグトリアムも、困った表情ではあったが嬉しそうに表情を緩めていた。

 

「ジェシーのお誘いは嬉しいよ。でも、俺は……」


「大丈夫です。私が払いますから!!ローグちゃんと一緒にお出かけしたいのです!!」


 なんだかんだ、ジェシカの誘いを断り続けていたローグトリアムだったが、ニコニコと笑顔で滅気ずに誘い続けるジェシカにとうとう折れていた。

 

「いや、そう言うことじゃなくて……、はぁ。分かったよ。でも、俺、日が暮れる前には家に帰らないといけないんだけどいいか?」


 ローグトリアムのその言葉を聞いたジェシカは、表情をぱっと明るくさせてから白い歯を見せて笑って言ったのだ。

 

「はい!もちろんです!!日が暮れる前にお家に送りますから!!」


「いや、そうじゃなくてだな……。はぁ。まぁいいか。ジェシーが嬉しそうなら俺も嬉しいからさ」


 こうして、ジェシカの熱意が功を奏して初めてのデートをすることが叶ったのだった。


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