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017 アンリエットとガウェイン

 女性は、男性に強く抱きしめられながら落ち込んだ声で言ったのだ。

 

「ガウェイン様、ごめんなさい……。頂いた髪飾りを落としてしまって……」


「そんな物より、エティの方が大切だ!はぁ、エティが無事でよかった……。ところで、その子は?」


 そこまで言った男性は、ようやく側に居たリアムに気が付いたのだ。

 女性は、嬉しそうに男性に言ったのだ。

 

「聞いてください。この子、とってもいい子なんです。私のために髪飾りを探すのを手伝ってくれたんです」


 女性の言葉を聞いた男性は、表情を優しいものに変えて、リアムに言ったのだ。

 

「君、ありがとう。エティのために力を貸してくれて。何かお礼を……」


「そんなつもり無いですから!!結構です!!」


 そう言って、必死に首を振るリアムをよそに、女性は男性に言っていたのだ。

 

「ガウェイン様、この子、昔の私のように何らかの魔法が掛かっているみたいなのです。この子の様子から解除は難しいようで……。知り合ったのも何かの縁です。この子の力になりたいとわたしは思います」


「エティは、相変わらず優しいな。そんなエティが俺は大好きだよ」


「くすくす。わたしもガウェイン様が大好きですよ」


 そう言って、二人は仲睦まじい様子で何かを相談しだしていた。

 

 その女性と男性は、アンリエットとガウェインと名乗ったのだ。

 そして、ガウェインの強い視線にさらされたリアムは、金銭面で困っていることをついつい言ってしまっていた。

 

 すると、ガウェインはこう言ったのだ。

 

「それなら、訓練所の食堂で働けばいい。この前欠員が出たところだったんだ。長年勤めてくれた女性が、地方で暮らす娘夫婦と一緒に暮らすことになったと言って辞めてしまって、困っていたんだ」


 初めは断ろうとしたリアムだったが、話を聞けば聞くほど条件の良すぎる話に聞き入っていたのだ。

 今よりも勤務時間は短く、給金もいい。決まった休みも取れる、そんな好条件だった。

 昼間は、ローグが働いてくれていて、夜しか動けないリアムは、ずっと心苦しかった。

 二人で暮らしているのに、生活費はローグが稼ぎ、自分は何もしないということに。

 だからという訳ではないが、好条件の働き口についつい返事をしてしまっていたのだ。

 

 この事が、ローグとリアムの運命を変えるとも知らずに。


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