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011 まさかのライバル?!

 それから、なんとなくローグトリアムに避けられるようになったジェシカは、大きなため息を吐いていた。

 会っても話はするが、ローグトリアムがなんだかんだとジェシカを避けるのだ。

 

 どうしたらいいのか考えたジェシカは、エゼクを頼ることにした。

 何故エゼクを相談相手に選んだかと言うと、先日からアンリエットは、ガウェインと共にラブラブ旅行に出掛けていて、不在だったからだ。

 もし、アンリエットがいれば、一番に相談した事だろう。


 

「ねぇ、エゼク教官。好きな子に避けられてるんですが、どうしたらいいですか?」


 訓練の合間に、そう何気なく言われたエゼクは盛大に吹き出していた。

 

「お、お前……。急に何を?」


「聞いてください。この間、念願の初デートをしたんです。それはもういい感じで、チューもしそうな感じだったんですが、急に慌ててその子帰っちゃったんです……」


 なんとなく、聞き覚えのあるシチュエーションに背中に汗をかきつつ、エゼクはジェシカに問いかけずにはいられなかった。

 

「その、子ってさ……。雰囲気に飲まれてキスしそうになって、我に返って慌てて帰ったとか?それで、なんとなく気まずくて避けるようになったとか……」


 そう、エゼクも先日、ローグトリアムとキスしそうになってから、なんとなく気まずい空気が二人の間に漂うようになっていたのだ。

 そんな、自分とジェシカを重ねつつ、そう言ったのだ。

 ジェシカは、珍しく肩を落として言った。

 

「ですよね……。私も段々そう思えてきて……。はぁ、ローグちゃん……。好き~。お嫁にしたいよぉ」


「ははは……」


 ジェシカのそんな嘆きを聞きつつ、相手の子の名は、ローグというのかと思っていたエゼクは、ジェシカに同情しつつも、自分が同情出来るような立場ではないことに頭を抱える羽目になったのだった。

 

「はぁ。ローグトリアム……」


「ああ。ローグトリアムちゃんと結婚したようぉ」


 そう言って、同時に言葉を発していた二人は、同じ名前が出たことにお互いの顔を見合わせていた。

 

「は?今なんて言った?」


「えっ?エゼク教官、今何て?」


 二人は長い間、見つめ合っていた。

 周囲がドン引きするくらいに、射殺さんばかりの表情で睨み合っていたとも言える。

 

「まさか、エゼク教官……、ローグちゃんのこと好きなんですか?」


「お前こそ、リアムとデートしたのか?」


「しました!!しましたとも!!手を繋いで歩きました!!膝枕してもらいました!!キスしそうになりました!!」


「なっ!!俺だって……」


 そこまで言って、キスはしそうになったが、手を繋いだこともなかったエゼクは、口を噤んでいた。

 それを見たジェシカは、嬉しそうに言ったのだ。

 

「負けませんよ。でも、私の方がリードしているみたいですね。ふふん。結婚式にはエゼク教官を是非ご招待させていただきますわ!!」


 そう言って、ジェシカは走り出していたのだった。

 置き去りにされた形のエゼクは、まさかジェシカと同じ人を好きになってしまったことに驚きを隠せずにいた。

 そして、ジェシカの話に出るローグトリアムと自分の知るローグトリアムの違和感に気付くことはなかった。


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