真恋
掲載日:2019/05/24
今まで、人を本気で好きになることなど無かった。
恋愛に対して真剣に悩んでいる人を見て、鼻で笑うような有様であった。
けれど、あの人に出会って変わってしまった。
初めての感覚だった。
あの人の為なら、自分の全てを投げ出してもいい。そう思えるほどに、あの人を好きになってしまった。
私の心にはいつでもあの人がいる。
朝起きた時も、昼間考え事をしている時も、夜寝る前も、ともすれば夢の中でさえ。
しかし、この恋心は報われることはないだろう。
それを理解していながら、どこかで淡い期待を抱いている私がいるのだ。
それが何よりも苦しく、私の胸を強く締めるのだ。
気がつくと、目尻には涙が浮かぶ。
鏡を見れば、酷く醜い顔になっているであろう。
そして何より醜いのは、私の心だ。
恋心とは、俗に素敵で綺麗なものという印象を持つ。
だが、私のこの恋心は、酷く薄汚れていた。
只々、純粋に好きという気持ちが膨らんだこの真心は、私にとって見るに耐えない醜悪なものだった。
この醜き純愛を、私は真恋と呼ぼう。




