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序
ぎらぎらと、ぬらぬらと輝く、視界の奥を汚すような色をした、溶けて硝子みたいになった大地。
草木の残りかすすら見て取ることが出来ない、赤黒い世界の果てみたいな景色。
啜り泣く声が聞こえる。
だから、私は言う。
「——、ごめんね」
物凄い罪悪感。
今更懺悔したところで、何かを取り返せるわけでもあるまいに。きっとこの言葉は謝罪なんかじゃなくて、自分を許すためだけに使われる、最高に底意地が悪くて意地汚い言葉だ。
この後に残るのは、一人と一人の小さなお別れ。何も気に病まなくていいし、私なんかもっと早く切り捨てて逃げ出していれば良かったのだ。なのにこのお人好しは、こんなになるまで、泣くまで、私を離そうとはしなかった。
でも、だからこそ、今回が本当に最後のお別れ。
ぎらぎらと、ぬらぬらと輝く、視界の奥を汚すような色をした、溶けて硝子みたいになった大地。
草木の残りかすすら見て取ることが出来ない、赤黒い世界の果てみたいな景色。
これが、私の最後の光景だ。