レイン姫の事情
ふと、疑問が浮かんだ。
何故、こんな姫さんが大声出しているのに誰もこないんだ?
「おい、姫さん」
「……なに?」
「ここにはあんたの護衛とかはいないのか?」
「いないわよ」
「何故だ?あんたは姫、しかもこの世界におけるトップ5にはいる国の姫であるはずだ。護衛が一人もいないのはおかしすぎる」
「………」
「…答えろ」
「………私は確かにこの国の姫だわ。だけど正妃の娘ではないの。しかも、私は六女で、王位継承権は14番目。誰も私になんか目もくれないのよ」
「母親は?」
「とうに死んだわ。何者かに犯され、殺されたのよ。私には、友達も、家族も、一人もいないのよ……」
「………」
こいつにもいろいろ事情があるのだな。
しかし、
「何故だ?それなら何故この国を守ろうとするんだ?この国に恨みこそあれ、友達も恩もないじゃあないか」
「それは……国を守れば、私も認められて、友達や家族や大切な物もできると思ったの」
………バカだ。
召喚陣なんて物を作る天才の癖にバカだ。
「バカと天才は紙一重とはよく言ったものだ」
レインは泣いていた。そして、地面を見つめて拳を握りしめていた。
「だって…私は…ただ…友達が…」
「涙を止めろ」
「!!!!!」
俺はレインを姫魔法で泣き止ませた。
「あんたが使えなくなったら困るんだよ。俺がな。だから教えてやる。泣くな。泣けば悲しくなる。泣きたくなったら、俺に話せ。そしたら自然と涙も止まるはずだ。常に平常心でいろ。それが、強く生きるコツだ。」
静かにレインは頷いていた。