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異世界とりっぷ先の村で神様になる話

作者: ゆいらしい

トリップ先は、どこかで聞いたことあるようなゲームです。

「…あぁ、神様。どうか、この荒れ果てた地を救って下さい。」



わたくし、児玉萌は困惑中です。

萌はどうやら神様になってしまったようなのです。


何故なら神様が


「萌、お前には神様となってもらう。」


と、萌に言ってきたからです。

萌が神様、ですか…なかなか人生どうなるかわかったもんじゃありませんね。


萌は今までの人生、合計12年間殆ど引きこもり状態にいたのです。今では外で遊ぶことなんてありません。3歩歩いたらそれだけで筋肉痛です。


萌はしてぃーがーるなのです。


だから、最近ラノベで流行っている異世界とりっぷを現実におこなわれても萌は困惑してしまうだけなのです。


この神様に連れてこられた異世界を見てみてください。


パソコンとか携帯とかネットとか電子的なものは一切ない辺り一面穏やかな畑です。


あれあれ?


大人気げーむ“おいでよ、動物と村”の風景となんだか似ているような…


萌は引きこもりのげーまーですから、勿論一度はそのゲームをプレイしてます。


でも、萌には友達がいないのですぐにそのゲームはしなくなりました。そのようなゲームは友達がいないと楽しくないのです。友達と通信をするから楽しいのです。……なんだか、悲しい話になってしまいましたね。話を戻しましょう。




「萌は何をすれば良いのですか?」


困惑中の萌はとりあえず話を聞いてみることにしました。



「神様にはこの荒れた土地を元の美しい土地に戻して欲しいのです。」



荒れた?もう一度、風景を見てみます。




……!……なんていうことでしょう!さっきまで、美しい田舎の風景だったこの土地が荒れ果てていました。



草がぼーぼーです…あぁ、見てください。あそこになんて、ラフレシアが!


萌はびっくりしてます。


「では、神様。お家をご用意しておりますのでそこにお住み下さい。」


萌がびっくりしてて何も考えられない状態なのを良いことに私にお願いしていたこの村?の人々は萌をどっか知らない人のお家へ連れて行きました。こんなの誘拐です。萌はがっこーに登校していませんが、知っています。きっと、この人達はロリコンなのです。



……って、文句を言いたかったのはやまやまですが萌は何も言いませんでした。言えませんでした。萌は引きこもりなのです。親がお仕事中で別居してて、仕送りを送ってくれることを良いことにゲームを買って、小学生にしてニート生活を送ってるニートなのですから、他の人とお話しするのが苦手なのです。そもそも、人と言葉を交わしたはいつ以来でしょう。


「…ありがとうございます」


萌のお家になるらしいお家に連れてきて貰った萌は一所懸命声をしぼって御礼を言いました。


「気にしないで〜。お金はとるから。」


⁉︎


「萌は小学生ですので、お金は持っていないのです。」


誘拐じゃなくて、詐欺だったのですね。やはり、世の中甘くはないのです。


「…え?お金無いの?


なら、神様が私達の願いを叶える度に借金を減らしていくなんてどお?」


異世界に1人。一人ぼっちは慣れてるけれ、萌が1人で過ごすことが出来てるのは放任主義で子供より仕事、な親の仕送りのおかげなのです。萌、単体は無力なのです。


…………もはや、萌には承諾するという選択肢しかありませんでした。














萌が畑仕事に慣れるまでとてもとても長い時間がかかりました。どれぐらいの時間なのか正確な時間はわかりません。この“お花村”には時計が無いからです。朝、目覚めたらお仕事をして暗くなって疲れたら寝る生活です。萌が生きてた前の世界では、きっとありえない生活でしょう。


ところで

最近、ユーグ君という男の子が“お花村”に引っ越して来ました。


いいえ。引っ越して、というと語弊を生じさせてしまうかもですね。そもそも“お花村”というのも萌がトリップ先のこの土地を表す為に名前をつけただけのものなのです。それに“村”というほどこの土地は賑わいがありません。まだまだ土地は荒れたままなのです。(流石にラフレシアは無くなりました。)だから、住人も殆どいないのです。


萌を神様として、住む所を貸してくれてるアロエさん。なかなか気さくなおじさんです。アロエさんが私に畑仕事の方法を教えてくれました。


アロエさんのおくさんのリースさんはとっても優しい人で、萌がお仕事してるとおやつのお菓子を作って分けてくれるのです。


大人だけじゃなく子供だって住んでいます。特に、パイナちゃんやキウイ君と萌はよく遊びます。もちろん、ゲームじゃありません。お外で走って遊ぶのです。


萌には、それが新鮮で楽しいのです。今度、ユーグ君と遊ぶ約束もしています。


萌にはたくさんの借金があるので、お仕事だって頑張っています。ちゃんと休憩時間に遊んでいるのです。……そうえば、萌はいちおう神様として呼ばれたのに普通の住民と同じように畑仕事してるだけで良いのでしょうか?


まぁ、特にアロエさんも何も、言ってないから良いのでしょう。


確か、アロエさんが萌にお願いしたことは「荒れた土地をなんとかして欲しい」でしたっけ?


それなら、萌が畑仕事を頑張っているから結果おーらいでしょうし。


「……いつか、お花が一杯の美しい風景になったらいいな。」


そうなったら、きっと……


「モエは花、好きなのか?」


萌がポツリと家の中で呟いていた言葉は、いつのまにやら私の家に入っていたユーグ君に聞かれていたようなのです。


私もここに来るまでは、不思議だったのですがここの住民は当たり前のように人の家に入るのです。萌の世界でしたら、住居不法進入で捕まってしまいます。……でもまぁ、萌も慣れてしまったので特に気にしませんけどね。


「うーん。どうだろ?」


「なんだよ、ソレ。」


「……だって、お花が一杯の村になったら色々な人がこの村に来てくれるかもしれないでしょう?」


そうです。萌はお花が好きで、お花をたくさん植えてるのではないのです。萌は、たくさんの人にこの“お花村”に訪ねてきて欲しくてお花を植えてるのです。


「ふーん、変なの。そもそも、ここ村って程の場所じゃねーし。」


やっぱり、変なのでしょうか?それに「村じゃない」…最近になってここを訪れたユーグ君が言うのですからとても客観的な意見なのでしょう。


「…でもさ、確かに俺たちが住んでる場所が“村”に戻ったらすげーよな。」


戻ったら?ということはここも元々は村だったのでしょうか?


「この世界は、本当は最初全てが村で出来ていてすげー綺麗な場所だったんだぜ?だけど、次々と多くの“元々村だった場所”が神様に見放されてしまったんだ。そうなってから、その土地は荒れていったんだ。」


この世界?

次々と?

神様?


なんでか、とても印象的にその言葉が萌の中に残りました。


「ユーグ君…」


「なぁ、モエ。俺、前にもお前に会ったことあるんだぜ?手紙交換したり、一緒に地面に落とし穴を掘って悪戯したり、……びっくりした。なのに、いきなりモエがいなくなって…。他の村にいるのかもしれないと思って、あちこち引っ越しを繰り返してたんだ。……ずーっと会いたかった。」




……あぁ、わかった。


萌にはここが、この世界が何処だかわかりました。萌は確かに神様と呼ばれる人間ですね。



「ユーグ君、ごめんね。ごめんね。


今度こそ忘れない。前よりもずっと、ずっと綺麗な村を作るよ!


それに、今度は萌のお友達を連れてくるね。そしたら、一緒に遊んでくれる?」



「もちろん!モエのいう花がたくさん植えてある、綺麗な、人がたくさん訪ねてくる……そんな村に俺を住まわせてくれよな!」








気がつくと、萌は元の世界にいました。家にはやはり萌一人しかいないようです。でも、今は不思議と寂しいと思いません。


萌は親から貰ったお金で……ずっと前に買ったゲームをすることにしました。



「……やっぱり、このゲームだったんだ。」



私が今ソフトを開いたゲームは“おいでよ、動物と村”です。


このゲームは、以前に、萌がまだお外に出ていてお友達がいたころにハマっていたゲームです。


このゲームは、いわゆるコミュニケーションゲームでゲーム内の仮想空間でのんびり村でのスローライフを楽しむという内容です。


そのゲームの中で、萌はいつも遊んでいた友達がいました。名前は、ユーグ君。萌が実際に会った時は人間の姿をしていましたが、……そうそう、ユーグ君は犬の姿をしているキャラクターでしたね。ゲームのタイトルからわかる通り、村の住民は全員動物なのです。アロエさんが狸。リースさんは……もしかして、プードルではないでしょうか?あぁ、パインちゃんは意外ですね…



やっぱり、今ゲーム上で見てみると萌の村はまだまだ綺麗ではありません。萌があの世界で一番最初に見た美しい風景は、萌がこのゲームにハマっていたころの風景なのでしょう。


自分の村の大きな変化(花を植えたり、村に物を置いたり)は神様ゲームのプレイヤーである萌にしか出来ません。



つまり、村の風景は萌のセンスやプレイ時間等にかかってるのです。


プレイ時間を伸ばすのは、ちょっと前の萌には余裕でしたが今は違います。萌は、学校に行ってこのゲームの布教活動に勤しむことが今の目標です。……色々な村の神様を復活させて、萌はたくさんの住人と遊びたいのです。





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