表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4


今日も定位置で、カチカチカチ。

椅子に座り、8本の腕でキーボードを叩く。


でも、8個もある目のうちの1つだけがデスクトップ。

その他の7つの目で、ななめ向かいの先輩を見た。


(今日もバレてないよね…)


きっと、クモの自分に見られてイイ気分な人間はいない。

だから、コッソリ見る。


(…はぁ、眉間にシワ寄せてても先輩可愛いなぁ…。朝は寝坊しちゃったのかな。化粧ばっちりなコンタクトもいいけど、今日みたいな薄化粧の眼鏡も可愛いなぁ…。)



カチカチ、チラチラ。

あくまで、あくまで控えめに。



――人間社会に受け入れられたとしても、自分はクモ。

可愛い猫や犬ならまだしも、部屋に現れたら悲鳴を上げられていたクモだ。


世間に僕の事が嫌いな人間がたくさんいるのは分かってる。


それなのに会社は雇ってくれて

(君は真面目だし勤勉で他の社員の手本だよ)


周りのみんなも優しくて

(いつも頑張ってるな。無理はするなよ。)


とっても親切で

(ほら、コレ食べな!コレも!美味しいよー!)


そんな周りにどう返したらいいか、どうしていいか分からなくて縮こまっていると、人が去った後もいつもずっと傍にいてくれて、話を聞いてくれてたのが先輩だった。



(――あっ、先輩どこ行くんだろ…)



「…女性陣はそろそろ化粧直しか。打ち上げ遅れないよーに!」


隣の席の森野君が笑いながら、前半は僕を見ながら、後半は席を立った女性陣に投げかける。



今日は大きなプロジェクトが終わっての打ち上げだ。

皆で励まし合い頑張って。

いつもは避けて断る飲み会だったけれど、みんながあんまり熱心に誘ってくれたから。



まさかあんな事になるとは…分かってたはずなのに、嬉しくて見えないフリをしていた。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ