五話 贖罪
まぁ、そんなわけで……私の未熟な行いのせいで、お姉様を沢山傷つけてしまったというわけです。
……お姉様は、私のことを優秀な妹だと何度も褒めてくれたけれど……。
本当は、全然そんなことないの。
お姉様を独り占めしたくて馬鹿なことをしたし、何度も空回って傷つけた。
そんな、ただの未熟な子供でしたわ。
____だから私は決めたのです。
お姉様が本当の本当に幸せになるその日まで、絶対に結婚はしないって。
だって、人の幸せを何年もかけて壊し続けてしまった私が……なんの痛みも伴わずに幸せになる権利なんて、ないでしょう?
……本当は、お姉様に叱ってもらえたら楽になれたのかもしれない。
けれど、それだと結局ただお姉様に甘えているだけだもの。
……まぁ、同じくお姉様を傷つけたユージン様は、ちゃっかりお姉様と幸せになっているわけだけれども……。
散々殴られていたし、結婚してからずっとお姉様のために努力していたのを見ていたから……私からは何も言いません。
でも、この思いと苦しみを一人で抱え続けるのはなんだか難しくて。
……あと、一人だけ抜け駆けして幸せになっているお義兄様への意趣返しも込めて……。
私は、お姉様を主人公にした物語を、小説としてこの世に残すことに決めたのです。
『たくさんの人に、お姉様が愛されますように』
『たくさんの人に、お義兄様と私を叱ってもらえますように』
……そんな気持ちを込めて。
だから、自分のことを美化したりは絶対にしませんでした。
その甲斐もあって、私__『ビビ』の小説をよんだご令嬢や貴婦人達は、「なんて酷い男なの!」とか、「妹も無神経だわ」って怒ってくれているらしいわ。
そして、お姉様はたくさんの人に愛されて、同情してもらえていることも……。
なので、これは私なりの贖罪というわけです。
……お義兄様のことを勝手に悪者にしてしまったことは、悪いと思っていますけれど……。
でも、実際やったことは全て本当ですし……お義兄様も私も、やっぱり自業自得というわけで。




