表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/16

十六話 変わらないもの

 あのデビュタント事件が起きてから、私とユージン様は以前より会わなくなった。


 というよりは、私が何かと理由をつけてユージン様の誘いを断っていたのだ。


 ユージン様のことは、変わらず誰よりも好きで、その想いは変わらない。


 だからこそ、これ以上惨めな思いをしたくなくて、敢えて自分から離れたのだ。


 ビアンカには、何度も「本当にそれでいいのですか……?」と心配されてしまったけれど……。


 どうしても参加しなければならない舞踏会の時は……ユージン様のエスコートで入場して、一度だけダンスを踊った後は壁の花になっていた。


 なのに、なぜか私が離れれば離れるほど、ユージン様から届く手紙の頻度は高くなっていった。


 最初は数ヶ月に一度だった。

 それがデビュタントから一年経った今では、一週間に一枚届くようになったのだ。


 手紙の内容はいつも同じ。


『元気にしているか』

『また君のクッキーが食べたい』


 ____わからない、ユージン様の考えていることが……。


 あなたはビアンカが好きなのでしょう?

 なのに、なぜ私に構うの?


 ……いえ、そんなの簡単なことじゃない。


 私達は幼い頃からの婚約者で、今更婚約破棄をしてビアンカに乗り換えるなんて、体裁が悪いものね。


 それくらい、私もユージン様もビアンカも、大人になってしまったということなのだわ。


 昔みたいに、もう無邪気にお茶会をすることはできない。

 それくらい、私達は変わってしまった。


 ……けれど…………。


「……『君のクッキーが食べたい』、ね……」


 変わらないものも、あるのかもしれない。


 決して心で結ばれることはなくても、違う形で……パートナーとして結婚をすることなら、出来るのかもしれない。




 そう思って、一年間ずっと断り続けていたお茶会を、十七歳になった私は初めて承諾したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ