表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】異世界転生スラム街からの成り上がり ~採取や猟をしてご飯食べてスローライフするんだ~(web版)  作者: 滝川 海老郎
第一部 スラム街の家と採取生活

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/59

34.ノイチゴ

 木曜日。


 今日も朝ご飯を食べたら出発だ。


 ミーニャを連れ、スラム街を抜けて草原の様子を見に行く。


「お、やっぱり、なってる、なってる」


 草原にはぽつぽつと間隔を空けつつ、赤い実がなっていた。


【ノイチゴ 植物 食用可】


 二週間前はまだ白い花だった。

 それが一斉に実になろうとしている。

 まだ完熟になり始めで、今日あたりからしばらく収穫できそうな感じになっている。


 問題はスラム街の草原は、子供たちの縄張りであり毎年ノイチゴだけは、みんなで採って食べるという習慣があることだった。


 このノイチゴを集めてジャムにすれば、かなり儲かる。

 しかしみんなに声を掛ければ、ジャム作りが露見するし、代金の分配もいる。

 勝手に自分だけで取れば大顰蹙(ひんしゅく)を買うことは間違いない。


 ということで切り株のある草原は諦めようと思う。


 しかしどういうわけか、抜け道があった。

 それは道を渡った川岸の平地にも、草原ほどではないけど、ノイチゴはなっているということだ。

 子供たちは食べたいには食べたいが、そこまでして取りに行くほどでもないということなのか、なぜかこちら側の分は基本スルーしている。


「ひっそりと川岸の平地のノイチゴを集めます」

「はーい」


 そうと決まればラニアを迎えにいこう。


「ラーニーアーちゃーんー」

「は、はーいっ」


「川岸でノイチゴを集めてジャムにします。子供たちにばれないように、そそくさと」

「わ、わかりました」


 ということでスラム街を通って街道を渡り、南側の川岸へ。


「なってる、といえば、なってるね」


 確かに草原ほどたくさんはなっていない。

 しかし集めればかなりの数になるのは間違いない。

 切り株の草原より、川岸のほうが広い。


 前世のおかげで、算数は得意だ。

 心の中でそろばんをはじいた。


 ひとつのイチゴの低木に到着。

 さっそく摘んでいく。

 一か所に何個もなるので、一度見つけるとそれなりに採れる。


 また次のイチゴの低木に移動、摘んでいく。


 合間に採れるタンポポ草なども採取しつつ、どんどん集めた。

 潰れる前にミーニャとラニアの分を定期回収する。


「はい、エド」

「エド君、どうぞです」

「ありがとう」


 別に俺が貰うわけではないけど、なんとなくお礼を言う。

 ミーニャは俺によろこんでもらえるのをよろこびとしているので、すごくうれしそうだ。

 ラニアも多少なりとも、そんな感じはある。

 お金になるというのも、これが集まればジャムになるというのも、うれしいのだろう。


 赤とオレンジのノイチゴが大量に集まった。

 色は違うけど、一緒にしてしまう。


 午前中ぎりぎりいっぱい、今日の分は集め終わった。

 かなり採れたと思う。

 アイテムボックスも残り容量も減っている。


「はい、ミーニャ、ありがとう、終わりにしよう」

「うにゃあ」


「ラニア、ありがとう。終わりだよ」

「はいです」


 それぞれ声を掛ける。


「家に帰ってお昼を食べたら、ジャムにしよう」

「やったっ」

「楽しみです」


 いやあやっぱりジャムは格別だ。

 しかも美味しいのはわかっている。イチゴだもんね。

 ストロベリーじゃなくてラズベリーに近いけれど、イチゴジャムとパンとの相性は前世でも保証済みといえる。


 家に帰ってきて、いつものように野草のお昼ご飯にする。


「さて、ジャムを作ります」

「はーい」

「いよいよですね」


 イチゴを鍋に投入。少量の塩、水を加える。


 イチゴのいい匂いがする。


 赤いイチゴの色がおいしそう。


「「(ごくり)」」


 二人とも我慢できないという顔をして、見てくる。

 まだ早い、もうちょっとだ。


「完成!」

「「わーい」」


 いつの間にかパンを用意している。

 ナイフで切ってあげる。


 そして薄切りにしたパンにイチゴジャムを塗って、一口。


「「おいしー」」

「お、うまいじゃん」


 なかなか。ほどよい甘さ。ちょっとの酸味がまた美味しさを引き立てる。

 このバランスが素晴らしい。

 あと匂い。イチゴのいい匂いがいっぱいだ。


 やっぱりジャムと言えばイチゴ。イチゴと言えばジャムなのだ。


 俺は二人がまだ食べたそうにしているのを尻目に、次のイチゴジャムの作成に掛かる。


 そうしてイチゴジャム第一弾が完成した。


 ビン詰めもしてドリドン雑貨店に向かった。


「ドリドンのおっちゃん、おっちゃん」

「お、なんだエド」

「イチゴ、ジャム」

「お? 確かにそろそろそんな時期だが、子供のおやつだったろ」

「そうなんだけど、川岸のほうは採らないから」

「なるほど。それでいくつだ?」

「20、ですね」

「味見は?」

「あるよ」


 俺は味見用のイチゴジャムを渡す。


 さっそく売り物の黒パンを薄切りにすると、奥さんを呼び出した。

 パンにジャムを塗る。


 食べる。


「美味しいわ」

「美味いな」


 ドリドンの奥さんもおじさんも、味には満足のようだ。


「問題は値段だな。ブドウよりも俺は好きだ」

「私もそうかもしれないわ」

「6,000ダリル、手取り5,000ダリルでいいか?」


「いいよ」


 俺は二つ返事をする。ブドウと同じだった。

 もっと高くても売れるだろうけど、素人の砂糖なしの値段としては、これぐらいが限界かもしれない。


「では、販売よろしくお願いします」

「おお、まかせろ」


 ドリドンさんと腕を突き出すポーズで、お互いの健闘を称えて別れた。


 さてどうなるかな、イチゴジャム第一弾。

 そう、これは第一弾なのだ。

 まだ収穫前期で、もう1回か2回は作れる。お金は倍ドンだ。


 もちろん、ラニアにもひとビン渡した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ