マーサの苦悩
アナスタシア様と離縁されてやっと教育していただけると思いアニー様を案内して安堵していたところすぐに旦那様というかダイアナ様に呼び出される事になった
急いで駆けつけると旦那様にダイアナ様後は二人のお子様方も集まっていらっしゃる
アナーニア様は目の周りを赤くされていらっしゃる
「忙しい所をすまんな」
「いいえ 何か御座いましたか もしかしてアニー様が何か粗相でも」
慌てて聞くとジークワルト様が
「いや違う こちらのニーナがいけないんだ」
「なによ 私は本当のことを言っただけよ」
「そうかもしれないけど でもアニーがニーナになにかしたかい」
強い口調で聞かれるとアナーニア様は口篭られる
しかし目は納得出来ずに燻っているように見える
横のアナーニア様と同じ様な感情を持っているであろうダイアナ様がコホンと咳払いをして
「貴方に聞きたい事がありますの」
「はい 何でございますか」
「アニーは誰が世話をしていたのかしら」
「勿論私がお世話をさせて頂いておりました まだアニー様が動けない時期は今は結婚して辞職したサリーやアンナとメリーに手伝って頂きました」
「それだけですの」
不快な顔を隠すことなくこちらを見るので正直に話をさせて頂く
アナスタシア様は生後3日間だけ授乳をしていただいたこと
それからは一度もアニー様を訪ねる事が無かったこと
勿論アナスタシア様の侍女や専属メイドがお世話の手伝いは無かったこと
流石に1人では乳児のお世話は出来ないので旦那様に許可を頂きサリー達と交互にお世話させて頂いいたこと
サリー達が辞職してからは再三旦那様にもアナスタシア様にも要請したにも関わらず誰もこちらには来ては頂けないのでアニー様を連れて仕事をしていたことを全て話させて頂いたが納得出来ないのかダイアナ様は続けられる
「それでは今別邸には誰が務めて居ますの 今の話では貴方しか居ない事になりますわね」
「そうです 私とアニー様だけです お恥ずかしい話しですが見ての通り私も年ですからね どうしても身体が動かない時も御座います そういう時もアニー様が変わりに仕事を受け負って頂いております 本当に有り難い事です」
話ししていくうちに旦那様達は唖然とした表情を見せる
「どういう事だ アナスタシアは何をしていたんだ マーサも何故相談に来ない」
はぁと溜め息をつき
「ですから私は何度もお願いさせて頂きました
それを無視されたのは旦那様です それに口頭だけではなく書面としても何度も要請させて頂いております ダイアナ様も何度か目を通された事があるのでは?」
覚えがあるようで表情が少しだけ動く
「それに旦那様にはアナスタシア様を怒る権利は無い存じます
お産まれになった日に抱かれた時と先日の呼び出しと2度しかお会いして頂けておりませんもの」
怒っていたのが成りを潜め子どもの頃の様な顔をして
「それは仕方ないではないか」
「仕方なくはないでしょう アナスタシア様の所には入り浸っていたではありませんか それでアニー様はどんな思いをされたとお思いですか」
言いたい事をぶつけると
「ちょっと貴方フレイム家の当主に余りに失礼ではなくて」
「ええそうかも知れませんが しかし他に誰が旦那様の間違いを指摘出来る者がありますか
この現状で誰が出来るのでしょうか
ダイアナ様がきちんと指摘して間違いを正して頂けるのならこちらからお願いしたいぐらいで御座います
私は先代のフレイム当主ジャイム様からフレイム家を守る様にとその為にはどんな発言もお許し頂けると契約魔法まで使用して頂きました事はご存知ですか?
知らないのでしたらどうぞ旦那様からお聞き下さい
それでは今日あった事を詳しくお教え下さいませ」
何も話さないアナーニア様はではなくジークワルト様から全てをお聞きすることが出来た
なんと勘違いで頬を叩かれ押し倒されたなんて後で冷やして酷い様ならポーションを飲んで頂くことを心に決めた
何故暴力を振るったのか詳しく聞くも理由も浅はかで改善もして頂けそうもない
本当にダイアナ様のご友人だわね
常々進言しているのだが旦那様はとてつもなく考えが浅いのだ
だからしっかりと手綱を握れる器量のあるダイアナ様を嫁に迎えることを先手を打って決められた先代は英断とは思っていた
しかし結果を見れば先代亡き後を任されたダイアナ様のアナスタシア様への対応はどう見ても悪手でしかない
アナスタシア様は後先も何も考えない方だからこそなのだが…
アナスタシア様は嫌がらせばかりで凄いものだったがダイアナ様もそれを躱すのではなく反撃を選んで仕舞った
しかも同じ土俵で
夫婦は似るのかしらね
最悪なのは食事に毒を混ぜるなんてね…
1番の被害者はアニー様だと私は思っている
この環境では私以外誰も信用出来ない違いないのだから
それよりアニー様のお勉強はどうしょうかしらね
勉強会に参加しないのはダイアナ様のプライドに触りアニー様が今より生活しにくくなるのは困るのよね
でもあのシルビア様では何も教えてはくれないだろうから…
「そうだわ 私が教えて差し上げればいいのよ
カルタとトランプどこに仕舞ったかしら 文字の早見表も作った事は覚えてる
でも今の仕事量では勉強の時間が取れない
どうしましょう 掃除と洗濯は別邸に誰かを入れなきゃ無理だからなし
まぁ他の仕事は全部旦那様に丸投げしてしまいしょう
サリー達が戻って来てくれないかしら」
❝誤字報告ありがとうございます!❞
感謝ですm(__)m