フレイム家
母がフレイム家から出ていくとき陰ながらお見送りさせてもらった
多分何も世話はかけていないと思うが産んでくれた事には感謝した方がいいと思ったから
マーサが私が産まれた日の事を話してくれる事があるのだ
そして出産がどんなに大変でどんなに苦しいのかも話してくれる
貴族の事はよく分からないが今の生活はいいと感じている
何と比べているとかではないがマーサが母としてと考えるととてもしっくりと感じる
「アニー様お時間ですよ」
「はい」
今日から本邸で勉強をすることになった
昼食の後なので掃除や洗濯の時もそわそわして落ちつかなかった
事の発端は母のアナスタシアが私の養育を放棄したのでダイアナ様からの提案で長男のジークワルト様11歳と長女のアナーニア様8歳の勉強会に参加することになったと聞いている
他にも次男のジムニー様4歳もいらっしゃるがまだ早いので参加されないようだ
客室で行われているそうなのでマーサに案内してもらい中へ入る
中には誰もいなくて少し安心した
マーサは別邸へ帰って行ってしまった
不安なので側にいて欲しかったが仕事があるから仕方ない
先ずは長男のジークワルト様がいらっしゃったのでご挨拶させてもらいお付きの方にも挨拶をする
「よろしくおねがいいたします」
お付きの方が眉を潜めるのが見えた
(あなんか失敗したっぽい…)
焦ったのを気づかれたのかジークワルト様がクスクスと笑いながら
「なにも心配しなくていいよ ロードがごめんね」
はっとしたようにロード様が
「失礼しました」
「こちらこそもうしわけありません ぶさほうがありましたらおしえていただけるとたすかります」
二人で顔を合わせた後にジークワルト様が
「ごめんね 想像していた子と違って驚いただけだのよ」
想像していたってどんなの想像してたのかな…まあいいか
「そそうがなかったのならよかったです なにかあればおしえていただけるとたすかります」
「分かったよ なロード」
「はい その時はお伝えさせて頂きます」
「よろしくおねがいいたします」
扉がドンと開き女の子が飛び出してきた
「ちょっとなに和んでんのよ」
この子がアナーニア様か
向きを変えカテーシーをして
「アニーともうします ほんじつよりよろしくおねがいいたします」
「ふーん親が親なら子も子ね 媚びるのが上手ね アナスタシア様に出戻り教わったのかしら」
(ん?アナスタシア様に教わる何を?
あっ媚びるのがって事ね…
この前呼ばれた時しか会った記憶はないのだけれど…)
言葉に詰まっていると思ったのかジークワルト様が
「ニーナ小さい子に意地悪するものではないよ」
アナーニア様は泣き出し慰め出したジークワルト様をポカポカと叩き出す
「なによ 本当の事ではないですか お母様がどれだけ嫌な思いをされたと思っているのですか」
「わかっているよ でもアナスタシア様とアニーは違うだろう」
「でも 納得出来ませんわ こいつにお父様を取ったのよ」
ジークワルト様が優しく背中を擦ってあやしているが全然泣き止む気配はない
どうやら私の知らないところでなにか思う事があったのだろう
呆然と見つめてしまった
(あっとなにか言わないと…別に正直に言ってもいいよね うん)
意を決して言葉を出す
「あの母がもうしわけありません わたしはおとうさまをうばってません ほんとうです
だってわたしがおとうさまとおかあさまにおあいしたのはいちどだけです
おぼえているかいすうなのでせいかくではないとおもいますが…」
「そんな事あるわけないでしょ どうせ嘘よ だってあんたが産まれてからジムニーが産まれるまでお父様には私達お会いしてないもの 赤子のときのことなんて覚えてなくて当然よ」
余計に怒らせてしまったみたい
取り敢えず謝ってここを収めた方が良さそう
「ごめんなさい…でもほんとうおあいしたきおくがないのですが」
身体に引っ張られてるのかなぜが涙が溢れて来た
慌てて袖で涙を拭く
悔しくて拳を握り締めた
「何をしている」
開いたままの扉から大きな身体のが男の人と女の人が入ってた来た
泣き叫ぶアナーニアと慰めるジークワルトを見て私は女の人に頬を叩かれ最後に身体を押された
バンと衝撃で腰をつく
思わず手で頬を押さえ見上げるとより威圧してくる女の人
慌ててジークワルトとロードが状況の説明をするが謝罪を受けることはなかった
その後勉強会は無しになり最後に入ってた来た男の人から文字と数字の教本とノートとペンを渡された
先生だと気づき慌てて挨拶をする
先程と同じ挨拶だが先生は挨拶を返してくれた
先生の名前はクロード·ローブラック先生だそうだ
女の人も先生でシルビア·フロレンスさんと言う名前らしい
「頬と身体はどうだ」
「ああいたいですけどだいじょうぶです」
「無理をすることはないぞ」
「へいきです」
少し目が厳しくなり
「もしかして叩かれるのに慣れているのか?」
誤解されてしまった
やばい 誤解を解かないと
「いいえ 叩かれたのも押されたのもはじめてです」
「本当か」
「はい」
じっと顔を見られる
「ほんとうです」
「嘘はついてなさそうだ しかしどうするかな 俺は魔法担当なんだよな…まぁこのまま終わるのは後味が悪いし魔力操作やってみるか?」
「いいんですか よろしくおねがいします」
それから魔力を感じる事を練習し始める事になった
なかなか魔力を感じるのが難しくて手間取る
「初めてなら時間がかかるもんだ ここだ臍のあたりに魔力が溜まってる それを感じるのが1番最初に覚える事だ」
それからコツをちょこちょこ教えてくれる
真剣に聞いて実践?出来てるか分からないけどマメ知識もちょこちょこ教えてくれる
体で魔力を作るのは心臓近くの魔蔵
作るだけじゃなく外からも取り込めるらしい
頭とお尻に取り込める魔蔵があるらしい
作るのも取り込むのもおヘソの溜め込む臓器が大きくなる必要があるらしい
それを魔力操作で循環させたり外に出したり逆に外から奥集める練習を日々継続していく事が強くなる秘訣らしい
「あっなんか温かくなってきました 先生」
「ん じゃ手を出してみろ」
右手を出すと左手もだ言われた
先生と両手を繋ぐと
「今から魔力を循環させるから」
「はい」
先生の手から左手が温かいものが流れる
「えっ あ左手から右手に流れてます先生」
「正解だ これを自分の体で循環させるんだ」
「えっとどうやってですか」
「ん あっそっかアニーはまだ基礎の勉強してなかったな」
腰につけたポーチを漁り本を取り出す
「これだ ええっとこの図を見てみろ」
人がいて丸い大きな浮き輪をつけてるみたいな図?
「最終的にこういう感じって事だ 初めは体表面に留める様にするっていうか自分の魔力が出て行かない様に保持してくんだな」
「はい 頑張ります」
それからも色々な話を聞かせてくれた
強く言われたのは成長期の貴族の子どもは魔力過多症になりやすいのでそうなる前に魔石に魔力を移す練習をした方がいいらしいので小さな魔石をもらった
それと魔法基礎の本もらった
「いただいていいんですか」
「大丈夫だ フレイム家に請求しとくよ アニーにこんな話するの可笑しいんだがな もしかしたらアニーにきちんと教える事が出来るか分からないからな」
「ああはい なんとなくわかりました すみません なんかいろいろありがとうございます」
「なんだお前 本当に6歳か?」
「はい ろくさいです」
「こんな環境なら仕方ないか」
うんうんと頷きながら納得してしまった
最後に計算の問題集と教本と紙とペンを入れる手提げをプレゼントしてくれた
文字は書いて覚えるしかない事と計算はまずは数字を覚えて問題集の説明でなんとか覚えれるようにと気を回してくれた
「シルビアが教えてくれなくても諦めるなよ 話をだけでも聞いて自分で覚えるんだぞ 俺も時間があえば出来るだけ教えるから まぁ隠れてかも知れんけどな」
「ありがとうございます よろしくおねがいします」
そこで解散となった