始まりの文面
私は空を飛び踊っていた
誰もが私を見て手を振ってくれる
この大地も空も私を歓迎してくれてる
陽気な音楽が流れていよいよみんなも出てきて
踊り出す。
楽しい、楽しい!
最高なひと時誰もが笑い、誰もが喜んでる。
でも
「明日」
誰かがそう呟いたのが聞こえた。
ゆっくり目を開ける私。
現実の私の部屋、私の机、目の前のスマホから陽気な音楽動画が流れて部屋中に響いてる。
時計は2時を回ってる。
夢…。
でもあの声は知ってるじゃないかと私の頭の中を回る
「明日…?」
あの言葉に引っ張られ明日なんの日か考えるとすぐに答えは出た。
「テスト日!」
夢の事はとうに忘れ明日という今日を迎える事に私は専念した。
チャイムが鳴る
ようやく終わった安堵と解放感を持って生徒達は帰宅準備をし始める。
帰宅準備を終え机に突っ伏している子に声を掛ける。
「如月〜?どうだった?」
如月茜はゆっくり顔を上げて疲れ眼でこちらを見る。
黒髪のロングヘアは何処かあのホラー映画を思い出させ少し怖いと感じる事もしばしばあるが根は良い子である。
「夏見ちゃん…」
震えた声、長い髪から覗く目で如月は答え始める。
「…うん」
この一週間私と如月は勉強を一緒にした。
私は良くやれた気がする。
果たして…
「…何とかなったと思う…」
と力が抜けながら如月は答えた。
「良かったじゃん!」
「夏見ちゃんのおかげだよ…最後日本史何とかなった」
「私も今日の国語の漢字、如月のおかげで何とかなった!」
赤点を回避。
それが今回、私と如月は目標に立てた。
結果はまだだけどお互いに称えた。
その後、私達は帰路に着き明日、如月が薦めるパフェに行こうという事になった。
楽しみに思いを馳せ家に着いたがふとポストを見ると
封筒やら雑紙等が入ってる。
私はそれを取り出してから家に入った。
「ただいま」
玄関に入ると母が鞄を玄関に積んでいた。
「あら、茜お帰り」
「これ何?」
雑紙を渡そうとしつつ私は聞いたが台所からヤカンが鳴ってるのが聞こえきた。
「あ、それ机に置いといて」
と母は慌てて台所に戻って行ってしまった。
まぁ別に後でもいいやと思いリビングに進むと
「お帰り」
父がいたいつもはまだ帰ってない時間なのに?
「あれ?もう帰って来てたの?」
しかも何やら荷物をまとめている
明日、二人揃ってキャンプにでも行くのだろうか?
「明日、じいちゃん家に行く用意が必要だろ?
いつも慌ててやってたから今回は早めに切り上げたんだ」
私は明日と言われて困った。
明日は如月と約束したのである。
「げ、明日だっけ?」
困ってる私を見て父は呆れて
「先週言ってたろ?なんか予定があるのか?」
「えーと…実は」
私は思わず目線を机に向けずに雑紙類を机に置こうとしたが机に置かれず全て床に落ちてしまった。
「まぁ別に明日来なくてもいいけどな、挨拶回りとかしないし何もないしな…」
私は父の話を聞きながら紙を拾ってると一つの封筒に目がいった。
宛名が私、夏見美夜とある。
「…でどうするんだ美夜?」
固まっていた私は父の方を振り向いた。
当然話は途中から聞いて無いので返答は即出来ず。
「えっと…如月にちょっと聞いてみる!」
私は部屋にバタバタとして一旦その場を離れた。
部屋に入った私は荷物を置いて勉強机で封筒の中身を確認する事にした。
裏には差出人等記載無し。
怪しいそれを恐る恐る開けた。
カッターの刃等、どうやら無いようで一枚の紙が入っていた。
この中身も怖い、恐る恐る開くとそこにはこう綴られていた。
「夏見美夜様
あの日から時が経ちましたね
明日の再会を楽しみにしております。
ダレカより。」
文字が連続で書かれてる文ではなくてよかったが文面が謎だらけだった。
あの日とはなんの事だろうか
それと
「ダレカ…?」
最後の誰かとは一体、私はまた固まってしまい
しばらく母が呼んでるのには気づかなかった。