解雇
『急で申し訳ないが、うちを辞めてもらいたい・・・』
「は・・・?」
大学を卒業してすぐ入った会社から解雇された。解雇理由はとんでもなく下らなくて・・・
「待ってください!俺、何かやりました?」
『いや・・・君は問題ないんだ・・・よく働いてくれた・・・その・・・だな・・・理由が・・・』
「理由は?何なんですか!?」
『その・・・会長の孫が来月から中途で入ってくるんだが、なんだ・・・君の卒業した大学がだな・・・』
「俺の母校ですか?それが何か?」
『そこがだな・・・お孫さんが落ちた所でな・・・それで・・・』
「・・・は?まさかですけど、それを知った会長が孫を悲しませたくないからって理由じゃないですよね?」
『・・・・・・・・・』
上司の表情でそれが解雇理由だと理解した。
有り得ない。経営者としてとんでもなく有り得ない理由でこの会社のトップは1人の社会的立場を
終わらせようとしている。
『しかしだな!退職金は通常より上乗せして支払われるらしいから!それに、うちよりは規模は小さいが
別の職場も紹介してくれるらしいから!』
上司がフォローのつもりかベラベラと話してるのを聞き流しつつ、俺は自分が思っていたよりも冷たい声でこう告げた。
「短い間でしたがお世話になりました」