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よくあるTL小説  作者: かなりあ
3章:who's nightmare
30/31

2-3

 やり返す?

 わざわざ同じレベルに身を落とすのはちょっと…。すごく子供じみてるというか。


「やり返すと言っても、ギルバート様が嫌がることではないのよ」


 私の渋面に先輩も気づいたのか、注釈のように付け足す。


「嫌がることをやり返すのは角が立つから、無理難題を言えばいいの。それを交換条件にすれば、やりたくてもできなくなるでしょう?」

「なるほど」


 穏便な解決方法としてはいい気がする。


「うーん。させたいことかあ」


 顎に手を起き、ギルバートさんを思い浮かべながら首をひねる。


 うーん…、あ。


「なにか見つかった?」

「ギルバートさんの髪の毛触りたいです!」

「髪…??」


 アレッタ先輩は理解不能とでも言うように顔をしかめる。


 まあ無理でも難題でもないという自覚はあります。

 でも! だけど! ギルバートさんの髪は本当に美しいんですよ!!


「腰まであるあの美しい黒髪! 少し動くだけでしゃなりしゃなりと揺れるあの動き! もともと生まれ持った奇跡のような髪質と日々のお手入れの賜物なんです! 歩いたときと走ったときでは動き方は変わるし、ジャンプしたりするとそれはもう美しいんですよああいう髪は! ああ見たい! 風に煽られる姿も、首を傾げたときのたわみも何度だって見たい!」


 ああくそう! いつもセクハラされて寝落ちるのがルーティーンだからまともに髪を愛でられたこともないのよ!! 見たい!!


 はあはあと息を乱しながら早口でまくしたてる私に、アレッタ先輩は完全に気圧されている。しかし、私の方も髪のことだけは収められない情熱に簡単には止まれない。自称暴走トロッコです。


「見るだけじゃなくて触りたい! 櫛で何度も梳いて艶出ししたい! せんぱい知ってます!? 黒髪ってね、濃い色の服のほうが映えるんですよ! 艶の美しい髪でしか表現出来ないんですけどね、」

「ちょ、ちょっとストップ!」


 遂に先輩から静止がかかった。暴走トロッコ急停車である。





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