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「せんぱい! 今日はくっついて寝ましょう!」
「ちょっと! 許可してないわそんなこと!」
狭いのをいいことにベッドの中で先輩をぎゅうぎゅうとハグをしていると、コンコン、とドアをノックする音が聞こえた。
和気あいあいとした雰囲気が一変、途端に室内はしんと静まり返った。
しかし、騙されないとばかりにもう一度ノックの音響く。
「…見てくるわ」
アレッタ先輩の声色には緊張が含まれている。表情からも察するに、訪問されることににあまりいい思い出がないのかもしれない。
「どなたでしょうか」
「俺だ」
その声にびくりと肩を震わせたのは私だった。ギルバートさんが連れ戻しに来た…! ベッドから下りることもできず、布団の中で動けなくなってしまう。
しかしアレッタ先輩はあくまでも落ち着いた様子で応対する。
「こんな夜更けにどうされましたか」
「サクラが戻ってこないんだ。ここには来てないか?」
「来てますよ」
えっ、嘘、先輩。わたし、戻されちゃうの?
しかし私の不安をよそに、アレッタ先輩は足を踏み入れようとするギルバートさんを諌めた。
「ギルバート様。私ももう淑女の歳ですよ。このような時間に訪問なさるのは如何なものかと。」
「いやしかし、サクラがいると先程…。」
「残念ですが、今夜は私が預かります。ギルバート様には申し訳ありませんが、本日は1人でお過ごしください。」
「え、なん…」
ばたん。
ギルバートさんが言葉を紡ぐ暇も与えず、アレッタ先輩は扉を閉めた。
「アレッタせんぱい…!」
先輩の心意気に、私は口元に両手を重ね合わせ、恍惚と見つめた。私の中で先輩の株が急上昇! いや、もともと最高値だからストップ高かな? ストップ高です!
「あんなに取り乱してるところ、私は見たことない」
「え?」
「それだけあなたが大事なのよ」
穏やかな足取りでゆっくり戻ってきたアレッタ先輩は、ベッドの縁に腰を下ろすと、宥めるように言葉を紡いだ。
「許してあげたら?」
「でも…」
「何に怒ってるのか分からないけど、そんなに嫌なら止めてもらえばいいじゃない。」
「止めて、って言っても止めてくれないんですもん。」
「そうねぇ…」
先輩は顎に手を当て、ふむ、と考え込む。
「あなたも同じようにやり返せばいいんだわ。」




