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「今日という今日は許さねぇ! わたし、今日はもうあの部屋には戻りません!」
今朝もアレッタ先輩のモーニングコールで目を醒まし、お仕事着のエプロンドレスを着て、食堂で朝食を食べ始めた私達。その一言目は私の強い決意から始まったのだった。
そういえば、昨日朝食を食べれなかったのは、服を洗濯していて時間がなかったから。別に朝食がない文化という訳ではなかった。私のせいで食いはぐれたので、そこはちゃんと謝罪しました!
「一人はだめって言われてるでしょう」
「だって! 毎日毎日あんなこと…、あんなのされなきゃいけないなら、家出します!」
「家出って…」
“家出”という言葉に、思わず、と言ったようにぷっと吹き出したアレッタ先輩は、次の瞬間には真面目な表情へと変わる。
「そんなことして、どこ行くつもりなの?」
「それは…、」
この城を出れば、あるのは昼間でも鬱蒼とした森だけ。しかもどうやら森には魔獣が出るらしく、なんの抵抗力もない私は食われるしか選択肢がないらしい。
「とりあえず、お昼間はお仕事します」
「ええ」
「夜は…アレッタ先輩のお部屋に止めてください!」
「いやよ」
「そんなあ!」
最後の方を早口でまくし立て、ぱんっ! っと神頼みのように手を合わせてみたものの、すぱんと切り落とされてしまった。
「だいたい、森の中から無傷で拾ってもらって、部屋も一番いいところを使わせてもらってるのに、何がそんなに嫌なの?」
「それは…なんといいますか…」
毎夜セクハラを受けてることは言えないよなあ…。
「とにかく! 今夜は絶対戻りません!」
「まったく…」
アレッタ先輩は呆れ顔をしてるけど、これは譲るわけにはいかないのだ!
と、俄にゴーンと鐘の音が食堂に響いた。
この音をきっかけに、遠巻きに座っていた人たちがパラパラといなくなっていく。
「こんな鐘鳴ってましたっけ?」
「昨日は外だったから聞こえなかったんじゃない? 始業前の予鈴だから、早いとこ食べて行きましょう」
「はーい」




