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ご飯を食べ終えて、食器類を片付けた私達の目の前には、一杯の水の入ったコップが置かれている。
そう! 待ちに待った魔法お試しの時間です!
はじめの一歩にはやっぱり、実際に見たものがいいんじゃないかと言うことで、この水を浮かせてみるのが今回の試験です!
コップもプラスチック的な素材でできているらしく、最悪割れても片付けで怪我しないだろうという配慮もばっちりである。
「呪文は『我、水虬に畏み申す。我が求めに応じ、力を貸し与えたまへ』よ。唱えたら自分のやりたいことを具体的に思い浮かべるの。『今回は水を浮かせる』ね」
「はいっ!」
よしっ、とうきうきしながらコップに手をかざし、呪文をとなえる。
「我、水虬に畏み申す。我が求めに応じ、力を貸し与えたまへ」
そして、水を浮かせるイメージを…!
「ぬぬぬぬぬ…」
「……」
浮かべ浮かべ〜!
「ぬぬぬ…」
「……。」
浮か…
「ねぇ遊んでるの?」
「いえ本気! 本気です!」
必死の形相すぎて、顔のパーツが中心に寄ってたわ。
仰々しく手をかざし、酸っぱい顔をしているのを真正面で見れば、確かに先輩にはおどけてるように見えるかもしれない。
水はこれっぽっちも動かないしね!
「浮かすのが難しいなら、波立たせるとかは?」
「なるほど! やってみます!」
波立たせる…波立たせる…!
「ぬー!」
「微動だにしないわね」
「ぬん…」
やはり神様の加護のないよそ者はだめか…。
「まあ仕方ないわ。そろそろ仕事に戻りましょう。」
「はい…。」
がっくりと肩を落とし、私はコップを返却口に返して先輩と仕事へと戻った。




