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「もったいない?」
料理番の人に注いでもらった食事をそれぞれ持ってちょうどいい席を探している時、先輩はやっとこちらを見たのだった。
食堂にいる人はまばらで、どこでもいいと言えばどこでもいいが、それは彼らの視線を気にしなければの話である。近寄って来ないかと警戒するような瞳は気持ちのいいものではなく、それはアレッタ先輩も同じようだ。できる限り他の人から離れられる場所を探してきょろきょろと頭を動かしていた先輩と視線がバッチリと合った。
さすがのアレッタ先輩も驚いたようだ。
「だって、それは身分という色眼鏡を通して見たアレッタ先輩でしょう? 本人はこんなにも真面目で優秀なのに、レッテル貼って遠ざけるなんて、もったいないです。」
「…よく、分からないわ」
とりあえず座りましょう、と角の方を目指して歩く。
半日後ろをついて回っただけだけど、アレッタ先輩の優秀さは目を瞠るものだった。
角の折り目まで美しいベッドシーツ。
塵埃1つない床。
この部屋の主はよくこのペンを使うから、一番取り出しやすいところに置くように、とくれた指示。
床に脱ぎ捨てられた服を拾う仕草まで優しく穏やかで。
それは全部、先輩の優しさと心遣いからくるものなのに。
「先輩、わたしは先輩のこと大好きですよ。だから、これからもお仕事、たくさん教えて下さいね!」
「〜っ! 別にあなたに好かれたって嬉しくないわ!」
「ぴぇっ! 手厳しい!」
その後はお互い、穏やかに話をしながらご飯をたべた。森に拓いた自給自足の畑で取れた野菜で作ったというコンソメスープの暖かさに、私達は幸せな気持ちになった。




