表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ひとりぼっちの私

作者: めい

いつも一人でいるあなたに届けます

昔から私は一人でいることが多く、人と群れることが苦手だった。

今の職場でも仲の良い人は一人もいなくて、いつも一人だ。

一人でいるのが気楽で、誰にも気を使わないでいられるのが快適だった。


だからあの人が気さくに話しかけてくれた時は正直戸惑った。

私より10コも下の後輩で、いつも笑顔で周りには常に人が賑わってるような、私とは正反対の男の子。


その日は会社の飲み会で、私はいつものように一人でいた。

すると突然あの人が私の隣に座ってきた。

予想外の出来事にどんな会話をしたのか全く覚えていなくて、覚えてるのは帰り道が心配だからとタクシーで家まで送ってくれたこと。

帰り際に「今日は楽しかったです」と笑顔で言ってくれたこと。


それだけのことなのに、あの日からずっとあの人が頭から離れないでいる。

会社でも目で追ってしまい、目が合うと恥ずかしくて反らしてしまう。

あの人は相変わらず周りに人が賑わっていて、いつも楽しそうに笑っている。

胸がギュっと締め付けられるように痛くなった。


そんなある日、残業をして少し会社を出るのが遅くなり、外へ出るともう真っ暗になっていた。

ふと前を見ると、目の前にあの人が立っていた。

いつものように人懐っこい笑顔で私に手を振って近付いてきて、その笑顔を見た途端、私も自然と笑顔になった。


あの人は私をご飯に誘ってくれた。

予想外の展開に、私は動揺を隠せずにいた。

でもあの人の前だと自然と素でいられて、可愛い自分になれた。

仕事やプライベートの話、学生の時の話、色んな話をして、気付けばもう夜も遅くなっていた。

「そろそろ帰ろっか」と私が切り出した時、あの人の表情は突然曇った。

「先輩、実は僕…」とあの人は話し始めた。




あれから何時間経っただろう。

私は公園のベンチに座り、途方にくれていた。

大粒の涙で顔がぐちゃぐちゃになって、その場から動けずにいた。


「実は僕、結婚するんです」

その台詞が頭の中をぐるぐる駆け巡っていた。

私を食事に誘ったのは、私にいつも笑っていてほしいから。

いつも一人でいるから、気になってた。

もっと周りのみんなと仲良くしたら楽しいのに。

そんな内容だったと思う。


10コも下の後輩に心配されちゃった。

一人で勝手に舞い上がってバカみたい…

そう思ったと同時に、あの人のことを好きになってる自分に気付いた。


いや、本当はずっと前から気付いてたけど、恥ずかしくて気付かないふりをしていた。


1ヶ月後、あの人は結婚した。

相手は同じ職場の同期の可愛い女の子。

みんなに祝福されて、2人の幸せそうな笑顔が私の胸を苦しくさせた。


それから私はあの人に言われたように、なるべく笑顔でいることを心掛けた。

最初は不自然だったけど、だんだんと自然に笑顔でいられるようになった。

そして、私の周りにも少しずつ人が集まってくるようになって、私はひとりぼっちじゃなくなっていた。


あの人が私を変えてくれた。


ありがとう、そしてさようなら

あの時の私。

いかがでしたか?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ