07 買い物
07
昨日もらった銀貨5枚と合わせて現在の所持金は銀貨7枚と銅貨62枚。これで目標のものは概ね買い揃えることができるだろう。
買い物リスト
・寝具一式
・台所用品(フライパン、鍋、おたま、フライ返し、木べら、包丁、まな板、食器、スプーンとフォーク、コップ、水桶)
・生活用品(桶、石鹸、洗濯板、タオル)
・衣服
昨日の午後に下見しておいた宿屋のあった通りの裏側の道に行く。真ん中の大きな通りに垂直になるように5本の道が交差している。大通りの先には金持ちと貴族が行く学園がある。学園に近くなるに連れ店の値段が高くなる。もちろん底辺に近い俺は学園とは反対の門よりの通りで買い物をしていく。大通りは始業の9の鐘が鳴ってすぐなのにも関わらず両脇にずらりと並ぶ店に人が並んでいる。屋台の美味しそうな匂いが食べたはずのお腹を刺激する。マルコも心なしかそわそわしているTHE可愛い。ふらふらしながらギルドに到着。
「おはようございます。荷車を借りに来ました。」
「はい、おはようございます。ギルドマスターから聞いてますから案内しますね。」
昨日と同じく受付にいたお姉さんに声をかけ、昨日ギルドマスターから貸してもらうことになった荷車を取りに来た。
「あ、そう言えば無事ゴミ処理場で働かせてもらうことになりました。」
「ギルドマスターから聞いてますよ。おめでとうございます。一緒に頑張りましょうね。」
「はい!」
倉庫で貸してもらうと俺はそのまま店に直行した。まず最初に行くのは布団屋だ。少し埃っぽい店内に50ぐらいの親父が奥にポツンといる。
「おはようございます。昨日言った通り朝一に来ましたよ!」
「いらっしゃい。1人用の寝具一式だね。待っててねぇ、今持ってくるからねぇ。」
そう言って布団屋の親父が店の奥に行って布団を持ってきた。大きさがあっているのを確認して銀貨2枚と銅50枚払い荷車にドーンと乗せた。このフカフカがぺちゃんこになると思うと起き上がる気になれない。ポンポンとスライムが背中で跳ねる。はいはい、起きますよー。でもちょっとだけ待って。気を取り直して荷車を引いていく。マルコが自ら布団の次は金物屋だ。そこでフライパンと鍋とおたまとフライ返しとフォークと包丁を買った。ちょっとまけてもらって銀貨2枚と銅貨85枚。その後木から作ったものをメインに売っている店に行き手頃なものをたくさん買う。全部生活に必要なものだけどこれだけの量のものを買っていると金持ちになったみたいだ。領主にあったことのある父さんが「金持っているほうが大変みたいだ。金は多すぎても少なすぎてもダメなんだよ、普通が一番だ。」と酒を飲むたびに行っていた。荷車を引いて午前中最後の店に着く。
「いらっしゃいませ。何をお探しでしょうか?」
「えっと、シャツ5枚とズボン3枚と靴下3足とパンツ5枚とタオル3枚とベルト1本ください。」
「はいはい、出来合いのものですよね?ちょっと待ってくださいねー。」
貴族や羽振りのいい商人はわざわざ家に針子を呼んで特注のものを作らせるらしい。もちろん俺にはそんな金はないので大中小の大きさに分かれた出来合いのものである。
「お客様は中サイズでよろしいでしょうか?」
「あ、はい。大丈夫です。」
「それでは確認お願いします。シャツ5枚とズボン3枚と靴下3足。パンツ5枚とタオル3枚とベルト1本でよろしいでしょうか?」
「はい、間違いないです。」
「それではお会計は銀貨1枚と銅貨52枚でございます。はい、ちょうどいただきました。ありがとうございましたー、またお越しくださいね。」
これで、必要なものは食料品以外全部買った。店を出た頃には13の鐘を過ぎていたのでできればそのままお昼ご飯と行きたいところだ。どこかスープの売っている屋台を探そう。昼頃にはその手の店は増えているはずだ。腹を満たすために大通りへ向かう。
「あ、この香りは・・・」
懐かしい香りが鼻につく。家でよく嗅いだポトフの匂い。よく、母さんが俺たちに「これぐらいは作れるようにしろ」って口酸っぱく言ってたんだよな。
「すいませーん、ポトフ1つください。」
「はい、ポトフね。」
妙な高揚感を感じながら荷車に腰掛けてポトフを食べる。もちろんマルコにも分ける。
「この料理な、俺の母さんがよく作ってくれたんだ。俺も作れると思うから今度作ってやるからな。」
マルコがプルプルと震えてなんかキラキラした感じで見られてる気がする。これは、失敗できない流れだな。ようくこの味を覚えておこう・・・。
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「はい、それではギルドカードの確認しますので提示お願いします。」
「あ、はい。」
ギルドの裏手に戻って宿舎に入る手続きをする。初めての街暮らしにドキドキする。俺の人生の第一歩がここから始まるんだ!
「それでは案内しますね。宿舎はギルドの隣に隣接しているこの建物です。30部屋あって一部屋に1人入居することが可能です。あと、トイレが付いています。家具が付いていますが壊したり改造しなければ自由に使ってもらって大丈夫です。それでは説明は以上です。お部屋は204号室です。鍵渡しますね。それではよろしくお願いします。」
「は、はい!」
ギルドの隣にある大きな蔦の生えた屋敷に着く。見た目はお化けの出そうなボロ屋敷で鬱蒼と周りに生えた雑草が他とは違い明らかに手入れがされてないことがわかる。人が4人横並びができそうな大きな両扉を開けると真ん中が天井まで突き抜けてて両端に部屋がずらりと並んでいる。突き当たりの階段まで荷車を押していく。そこから荷物を地道に運んでいく。他の人たちは仕事中だからかガランとしていて荷物を入れるのにはやりやすいけど外の雰囲気と相待って誰も住んでないように感じる。他の人もちゃんと住んでいるよね!?階段を上がって204号室へ向かう。木製の飾りっ気のない扉を開くとテーブルと椅子が2脚、一口の魔石コンロと棚とベッドがあった。大きくはないけど今の俺には十分だった。2の刻ぐらいかけて自分の部屋を作った。作るといってもそんなこだわりとかないつまらない部屋だ。
「よぉし、早速食料買ってご飯を作るぞ!」
ポテート、キャロット、オネオンの安い野菜の代表格を一袋ずつ買った。買い過ぎかなって思ったけど折角荷車あるんだしたくさん買うことにした。そこに鶏の肉と塩一袋、黒パンを1つ。これで2日は買い物に行かなくて済む。
家に帰って肉と野菜をを一口サイズに切る。野菜を水の入れた鍋にどっさり入れる。そして魔石コンロに火をつける。そして、フライパンの方には塩をふった肉を入れて焼いていく。両面に焼き目のついた肉をフライパンの中身丸ごと直接鍋にぶち込む。そして野菜が柔らかくなるまで煮込む。その間に黒パンを薄く切っておく。
「マルコ、もう少し待ってろよ。」
ポヨンポヨン♪
よしよし、かわいいかわいい。野菜が柔らかくなったからお皿に盛って完成!
野菜、肉が入っている万能食ポトフ。マルコに綺麗にしてもらったテーブルの上にポトフとパンを置いていく。もちろん、二人分☆
「ほら、出来たよー。いただきます。」
プルルン
はじめてのポトフは思ってたより薄くてパンと合わせるにはちょっと足りない感じだ。ちらりとマルコを見る。マルコは美味しそうに食べてくれている。まあ、それならいっか。次は鍋の方にも塩を入れよう。
ストック予約投稿最後
ポトフは簡単だから好きです