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04 洞窟と決意

04


大きなスライムの前で立っていること数分。


俺をここまで連れてきて来れたスライムが案内するようにミョーンミョーンと移動し始めた。


もしかしてスライム同士でお話ししていたんだろうか。それはそれはでかわいい。




しかし、この洞窟は奥に行くにつれて涼しくなっている。


スライムのほとんどは水でできていると聞く。スライムの効果なのだろうか?


ああ、なんだそういうことか。


少し濡れた地面に納得する。


スライム効果じゃなくて普通に地下から水が染み込んできて水が溜まっているところがあるということか。


水があるところまで連れてきてくれるということはある程度歓迎されてるのかもな。




「ん?どうした?」




スライムが何かを欲しがるように伸びている。




「アポウが欲しいのか?違うのか・・・。服ではない、とすると水筒?」




もしかしてと思い水筒を渡すとスライムは受け取った。


スライムって水筒知ってるんだ・・・。もしかして使い方も知ってる?



そう思っていると横に伸びて器用に水筒の栓を外した。


おおっ凄いな。もしかしたらこのスライムは天才なのかも知れない!(注:そんなことはない)



スライムは水辺に行くとそのまま湖にはいりプカプカと浮いている。


そして沈み水筒の中に水を入れた。



やっぱり天才だ!

浮かび上がって蓋をした!




完璧☆ぱーふぇくと!




偉い!





「よーしよしよし、お前は凄いスライムだなー。」





スライムを撫でるとそれに応えるようにプルプルと揺れる。ひとしきり撫でた後スライムがまたミョーンと移動し始めた。着いて行くと何もないところに着いた。




「ここは?」




スライムが俺に向かってタイアタックをしてきた。そのまま尻餅をつくとスライムがキラキラした様子で俺を見つめる。




「ここで休んでけってことか?」




上下に揺れる。


まだ日が沈んでいないが俺を労ってくれているんだろう。やっぱりこのスライムはいいやつだ。さっきの大きいスライムに俺をここにおいてもいいか聞いていたんだな。





「ありがとな。甘えて休んで行くことにするよ。」





久しぶりの屋根のある空間からか食に困ることがないからか俺はそのまま寝てしまった。








目が覚めると胸のところにスライムがいた。






スライムを起こさないように軋む体をゆっくりと起こした。


薄暗い洞窟の中ではいまが夜か朝かもわからない。とりあえず洞窟の外に出よう。


朝だったら出発する、夜だったらアポウを食べて寝る。もしスライムが起きても驚かないようにナップザックを置いて空気の流れに沿って洞窟の出口を目指した。



洞窟の中は平べったいスライムで埋め尽くされている。スライムは眠っているときは平べったくなると聞いたことがある。こうデロンとなっているということは今は夜なのだろうか。あ、大きいのもデロンとしている。隙間発見!通れてよかったー。






「なんだ、まだ夜なのかよ。」






太陽が出る気配が一向にないほど完璧な夜だった。良かったような残念なような気持ちで俺は洞窟に潜っていった。








##########









からだの上をスライムがコロコロと動く振動で目が覚めた。母さんにも見習わせたいとっても優しい起こし方だ。フライパンと木べらで起こすのはやっぱり野蛮だったんだ。




「おはようスライム。」




石を食べているスライムと一緒に水筒の水を飲みつつアポウを食べる。


アポウの残りは2つ。ここを出たらまずはアポウの木のところに行こう。これじゃあ、街まで行けない。



もうこのスライムともお別れか・・・。1日しか一緒にいなかったけど俺はこいつを親友だと思ってる。スライムはどうかわからないけどな。







「なあ、お前でよければ俺と一緒に街で暮らさないか?街で仕事を探しに行くようなダメなやつだし裕福な暮らしはさせてやれないけどさ。」







まるでプロポーズみたいだ。なんか意識すると照れてくる。


スライムは少し縦に伸びてブルンブルン揺れる。これは良いっていうことなのかな?





「俺に着いてきてくれるの?」





大きく上下する。




そして俺は思い出した。



フタノリ兄さんが話していた“スライム伝説”を。




強くなることが幸せとは限らないが俺がこいつにできることはそれしか思い浮かばなかった。



「俺がお前を世界一のスライムにして見せるからな!」


予約投稿


補足

トリノが村でうまくいかなかったのは、全部他人に言われてやってたからです。今回、はじめて自分で何かをしたいと思い行動をしました。

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