03 ママスライム視点
03
スライムに着いて行くこと少し。
家一軒分の大きさの岩に着いた。もちろん街ではない。
大きな穴が空いていて下に続いているみたいだ。
スライムは迷うことなく中に入っている。
もちろん俺も中に入る。
道をすれ違うのはスライムだけ。
スライムの巣なのか?
しかし、これだけ多くのスライムにあっても命の恩人のスライムはすぐにわかる。これが愛なのだろうか?いいや、あのスライムが他のスライムより可愛すぎるだけだ。 うん。
多くのスライムの間をすり抜けているととっても大きなスライムがいた。
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ママスライム視点
あれは5日前のこと。森にいる我が子が慌てた様子で巣にやってきたの。
『ママ、大変よ!私の森の近くの村のおバカが荒野に行っちゃたの。あの子絶対生きて帰ってこれないわ。目印の多い森の中ですら迷うのに!こっちに来るまで会わなかったしやっぱり迷っているのよ!探すのを手伝ってちょうだい!!』
『あらあら、それは大変ね。村ってことは人間よね?分かったわ愛しい子。みんなでその子を探しましょう。』
ここにいる愛しい我が子たちに私の声が聞こえるように広範囲テレパシーを展開させるわ。
『聞こえているかしら愛しい我が子たち。愛しい森の子のお友だちが荒野で迷子になっちゃたみたいなの。みんなで手分けして探してくれるかしら?』
『『『『『いいよー』』』』』
『ありがとう、きょうだい!』
愛しい森の子が嬉しそうに揺れているわ。ふふふ、私も嬉しいわ。荒野はとっても広いの。森や草原の方が珍しいのよ。人間の足で行ける距離なんてたかが知れてるわ。すぐに見つかるでしょう。
あれから結構経ったわ。まだ見つからないみたい。愛しい森の子はとっても心配みたい。あらあら、泣いちゃって。
『大丈夫よ可愛い子。ここにいる半分の子が探しに行ってくれたわ。絶対見つけてくれるわ。』
『・・・ありがとうママ』
あら?迷子を探しに行って来れた子からテレパシーが来たわ。
『ママー聞こえる?迷子の人間見つけたよー。アポウの木のところで寝ているよー。起こした方がいいかな?』
『聞こえているわよ。起こさなくても大丈夫よ。朝になるまで待ってあげてちょうだい。できるかしら?』
『うん、できるよー!』
『うふふ、ありがとう。じゃあお願いね。』
『やった!あの子見つかったのね。もう、心配かけるんだからー。』
あらあら、嬉しそうにしちゃって。それにしてもアポウの木のところとは随分迷っていたみたいね。
人間の街と全然方向が違うじゃない。森の我が子が心配するのも納得するわねー。
次の日のお昼ごろにお友だちと愛しい子が戻ってきてくれたわ。お友達も元気そうだしよかったわー。
『ママーただいま!迷子の人間連れてきたよ。あのね、この人間とってもいいやつなんだよ。ここでお世話してもいいかな?』
『ダメよ。スライムは人間の中でも生きることができるけど人間はスライムの中で生きることができないの。今日はゆっくりしてもらって明日になったら近くの街まで送り届けなさい。』
『えー。でも人間と一緒にいたいよーぼくがお世話しなきゃこいつ死んじゃうよー。』
『お友達が好きになったのね、愛しい我が子。それならこの人間についていき人の中であなたが生きていけばいいわ。森の子とあなたが好きになる子ですもの、きっとテイマーのスキルがあるのね。人間から名前を貰えば死が二人を分かつまで一緒にいられるわよ。』
『人間から名前を貰えばずっと一緒にいられるってこと?』
『ええ、そうよ愛しい子。でも、その前にお友達は喉が乾いてると思うの。洞窟の奥にある水のお部屋まで連れて行ってあげなさい。』
『喉が乾いたら辛いもんね!わかったよ。』
我が子が伸びながら移動してるわ。
あれでお友達を案内しているのかしら?可愛いわねー。お友達が着いて行く前にお辞儀してきたわ。
スライムにそんなことするなんてとっても優しい子なのね。良い子そうでよかったわ。愛しい子を安心して任せられるもの。
さて、お友だちが寝るところを考えなくちゃ。
予約投稿
・ママスライム・・・スライムが100年生きて進化した姿。子スライムを作ることができる。大きい。