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13 祭り1日目

13


研究の新しい目標も決まりモンスターの調達が大変なこと以外は順調に進んでいき季節は秋になった。


ここ学園都市にある学園では学園祭という年に一度の祭りが行われる。それに合わせて学園都市全体でも祭りを行なう。学園祭のために貴族が集まるのにかこつけて学園都市でもパーッと祭りをして金を落としてもらおうというのが目的らしい。

2日間に行われる祭りではゴミ処理場はフル活動。活動しなければすぐにゴミ箱がいっぱいになってしまうらしい。というわけで、祭りの期間は1日おきの交代でゴミ処理場を監視する。もちろん書類確認は無しだ。


初めての大規模な祭りに心を浮かせながら見守った1日目。食堂のおばちゃんに可愛らしい黄色の花冠をもらいかなり恥ずかしいけど着けながら監視をしていた。祭りはどこもそうなのか華やかにするのが決まりのようでゴミを捨てにくる人も花のネックレスや冠をつけていた。お昼休みはマルコと一緒に街をぶらり。


街はとても賑わっていて普段なら馬車も多く通っているはずの道は人で埋め尽くされ上には三角の色鮮やかな布がぶら下げられあちらこちらでお腹を刺激する美味しそうな匂いがしていた。


「すごい人の数だなー。離れないように髪の毛にしっかり掴まっているよ。」


グッと下に体重をかけ答えてくれる。可愛く頭のいい子だ。どうすればいいかちゃんとわかっている。やっぱり天才!


「さて、何を食べようかな。肉焼きもいいしソーセージの詰め合わせもいいし海鮮焼きもいいなあ。サンドイッチもいろいろあるし、スープだって色々。はてさて、ここで何を食べるのか迷う・・・」


悩んだ結果、肉とソーセージが一緒になっている盗賊焼きという面白い名前のものとクラムチャウダーという海鮮のミルク煮込みを買うことにした。

いそいそと人の少ないゴミ処理場の出入り口の前に向かっての花壇に座った。今日はここで食べることにした。マルコとご飯を挟んだ反対側に座り食べていく。


まずは山賊焼から。ソーセージ、豚肉の串焼きに厚切りベーコンが2つずつ乗った豪快な料理だ。では、まずは串焼きから。いろんな香辛料を使ったのが一口でわかる。だからと言って強烈なわけでもなく豚の脂が和

らげてくれている。素晴らしいコンビネーションだ。

肉を1つ食べたところで次はベーコンに移る。こちらも串刺しにされていて肉がたれないように二つ折りになって刺さっている。曲げるのがやっとというぐらいの厚さ。これはこれは期待が大だ。塩っけの中に確かな燻製の香り。これは丁寧に作られている。そして、焼きすぎていないのがいい。脂身を和らげるぐらい、肉を温めるぐらいの焼き加減。串焼きのしっかりとした網目とは違い軽くついた網目が店主のベーコンへの心遣いを感じさせる。最初から最後まで大事にされてきたベーコン。すっごく美味しい。上品のようで肉々しい厚さ。いいねえ。


ここでちょっと一休憩。クラムチャウダーを食べる。


マルコ用の取り分け皿をもらい既に分けてあり、マルコは豪快にバクバクと食べている。まるで山賊だ。マルコはかわいいけどその筋の才能があるのかもしれない。

クラムチャウダーの具は一口大に分けられていてかき混ぜてみるとわからないものがある。海鮮と言われれば赤い身の魚サアモンがよくうちの食卓に上がっていてそれしか食べたことがない。マグワースさんのところではなんだかんだ言っていつも肉だった。「学園の魚の管理は厳しい」と今までにないくらい真剣な顔で言われた。昔何かあったんだろう。つまり俺は海鮮初心者なのだ。

一口食べる。白いシンプルな見た目とは予想外の濃厚な美味しさ。少しドロっとしていたのはわかっていたが味わったことのない味だ。これが海、これが海鮮。見た目が赤く中は白いコロコロとしたものを食べる。肉より噛み切りやすくツルツルとしている。魚はどれもほろほろとしていてすぐに崩れてしまう。スープに味が溶けてしまっているのか味の違いはわからないが白い魚が多かった。魚は白い身が多いのか?


ふぅ。クラムチャウダーでほんわか温まったところで最後の肉ソーセージを食べる。ソーセージは白くいつも食べている茶色のものでもない。それでは上のソーセージから。茶色だらけの山賊焼にそびえ立つ白い教会だった。肉なのに爽やかでいてジューシー。肉汁は吸わなければいけないほど溢れてくる。これは、香辛料だ。串焼きのようなガッツリしたものを作るしか脳がないと思っていたけどこんな風に爽やかにすることもできるなんて!肉々しい中に肉でありながら休憩所となるこのソーセージに俺は敬意を表しよう。

その勢いで下にもあるソーセージに食らいついた。おおっ!これは騙された。上のものと同じかと思いながら全然違う。ピリッとした味はまるで興奮状態の鶏。口の中を程よい刺激で満たしてくれる。おそらく一種類の香辛料しか使っていないこのソーセージはシンプルだ。ベーコンといいソーセージといい物と人が溢れ返ったこの街に何か大切なことを教えてくれているようだ。







美味しかった!!!!





結局そのあと冷やかしでぶらぶらしてたけど、マルコの要望でスープ用の皿と平皿を買った。


「ははっ、にいちゃんのスライムは見る目があるなあ。この皿とこれをセットで?」


マルコが交渉をしている、だと!?

だれか、記録用紙持ってきてーーーーーーーーーー


「はあ、負けたよ。それなら銀一枚でどうだ!」


おお。銀2枚と銅50枚が銀1枚になった。マルコ恐るべし・・・。母さんでもそこまで粘らないなあ。



明日がどうなるかも知らずにひと時を楽しんだのだった。

ずっと書きたかったお祭り回です。

書いてて楽しいのはサブキャラクター視点とご飯を食べているところです。

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