復興
3人は地下を出て空を飛んでいる
「マリー様、宿しは特別なんですか?」
「ええ、宿しには属性があるのよ、今配下になっているのが緑の属性を持つアイシェ、闇の属性を持つカミラ今回土の属性を持つペタル。そもそも人間が属性を持つことはあり得ないから特別よ」
「ですが、人間も属性魔法を使いますよね?」
「あれは魔法に属性を組み込んで放っているだけ、人間の体が属性を持つ事はないの、悪魔や魔物とはそもそも体の作りが違うから仕方がないのよ」
「人間はどうやって魔法陣を描いているんですか」
「それは魔力を集めて集まった所で魔法陣を描き、魔力を注ぎ込んで発動するのよ」
「人間は弱いくせに頑張るんだな」
「ストラスそれは違うわよ、弱いから頑張るのよ」
「そう言う者なんですね」
「宿しは後何人いるんですか?」
「後3人で全てが揃う予定よ」
「予定とは?」
「追加されるかもしれないって事よ」
「追加するんですか」
「もちろん、まだ探している水晶がいるからそれが見つかればね」
「宿しとはよくわかりません、属性を持つのはわかりますがそれと水晶が関係しているのもわかります。詳しくわかりませんよ」
「そうね、魂と水晶が融合するのよ、融合すると水晶そのものの形は残らずに消えて属性だけが残るの。属性と魂が融合する事で人間は属性を持つことが出来るって事ね」
「それなら俺でもわかりました」
「俺はわからないぞ、なんで魂と融合なんて出来るんだ?」
「分かりやすく言うと、魂のエネルギーと属性のエネルギーを混ぜたって事よ。エネルギー自体操るのが難しいんだけどね」
「それが出来るって事ですか」
「そうなるわ」
「マリー様は凄いです」
「よくみんなから言われるのよね」
「そろそろ、ウォンの上空です」
「本当だわ、来たついでにウーゴに逢いに行かなくちゃ」
「ウーゴとは?」
「ウォンの王よ」
「王と知り合いとは凄いですね」
「すごくないわよ、ウーゴは私の配下になりたがっていたのを止めさせて王になってもらったんだから」
「ですがマリー様の配下でもよかったのではないですか?」
「ダメよ、ちゃんと自分の居場所を履き違えてはいけない。一個人の意見だけでウォンを野放しにできないでしょう。ウーゴにはここをしっかりとまとめていってもらわないとね」
「マリー様も大変なんですね」
「アリーも元王だから知っているとは思うけど、納めるのがどれだけ大変な事か」
「それは嫌と言うほど分かりますよ」
「ストラスは居るだけ従う感じかしら?」
「俺の場合は従うしか選択肢がないんだ」
「自分の意見は?」
「あるが、意見を述べて殺されることの方が多いい。それ故に従うしか選択肢がなくなっている」
「使い魔って意見が言えなくて嫌にならないの?」
「嫌になる前に嫌と思わない方が強い。それが当たり前と認識しているせいかもしれません」
「使い魔は使い魔なりに大変なのね」
「マリー様ほどでは無いかと」
「そうなのよね。中々前に進まないし、変な輩は出てくるわ、木を倒そうとする奴はいるわでてんてこ舞いよ」
「お疲れ様です。マリー様」
「ありがとう、この辺で降りましょう」
「は!」
「御意」
ストラスとアリーは降下を始めた
「マリー様下に大勢の人が集まりだしていますがどうされますか?」
「うそ!」
下を覗くマリー
「ひー、ふー、みー、よー、いつ、むー、なな、やー、とお。結構いるわね、げ!また増えた」
「一体どうしたのかしら?」
「我々にはさっぱり」
「そうよね、私もよ。下に降りればわかるでしょ」
「ではこのまま降りてもよろしいでしょうか?」
「そうして」
「御意」
ストラスとアリーは降り立った
「お前は誰だ」
「ここをウーゴ様の領土とわかってて来たのか」
「何しに来た」
口々からヤジが飛ぶ
「あれ?ウーゴまだ私の顔みんなに教えていないのかしら?」
「ウーゴ様を呼び捨てにするなどあってはならない」
「そうだ、ウーゴ様と呼べ」
「ちゃんとウーゴが王である事を認めて、したっているのね。やはり、学民だけあるわ」
「マリー様、よろしいのですか?」
「なにが?」
「こんな罵声をはいていても」
「なにを言っているのよ。ちゃんと王を立てて警戒を怠っていない証拠じぁない。こんな嬉しい事はないわ。それにあんなに荒れ果てていた街は元に戻りつつあるんですもの。きっと美味しい食べ物屋さんもできているんじぁないかしら。楽しみ」
「人の話を聞いているのか?」
「でも、顔を知らないのは悲しいかな」
「では俺が」
「こら、アリーやめなさい。ってストラスもよ」
「ですが」
「そうですよ。マリー様を知らないなんて」
「マリー様だと」
「嘘をつくな、マリー様の名前を語った偽物だな」
「それは本当か?」
「間違いない、マリー様にはこんな輩を連れて歩く事なんてない。エブァン様やイブリース様、それにキリウス様がいつも側にいらっしゃったと聞いている」
「あら、エブァン、イブリース、キリウスを知っているの?」
「何を言っている、エブァン様は建築の流れを構成された方、イブリース様は素材の管理の仕方を教えてくれた方、キリウスは護衛の仕業を教えてくれた方だ。俺たちの恩人なんだぞ」
「ふふふ、本当にいい方向に進んでいるわ」
「私ウーゴに逢いに来たのよ。ついでに美味しい食べ物屋さんあったら食べていきたいわ」
「それはよろしいですね」
「そうでしょ。そろそろお昼時だし丁度いいわよね」
「聞いているのか?」
「え?」
「え!ではない、ここを通すわけにはいかないと言っているんだ」
「今聞いたわよ」
「帰れ」
「お前達には用がないんだ、怪我をしたくなければ帰れ」
流石に面倒くさくなってきたよ、何かいい方法ないかしら
「お前達、こんな所で油を売ってないで警備に戻れ」
「ラジット様、それがですね。マリー様の名を語る偽物がいまして」
「なんだと」
ラジットが警備隊を分けて前に出る
「!?も、申し訳ありません」
私の足元に跪き首を下げた
「ラジット様?」
「お前達、何が偽物だ。どこを見て偽物と言ったんだ。このお方こそアンダーマリー様だぞ、頭を下げろ」
「そ、そんな」
「うそだろ」
「早くしろ」
一斉に頭を下げる
「マリー様、大変失礼いたしました。どう償えばよろしいでしょうか?」
「ラジット、大げさなのよ。そんなのどうでもいいから、ウーゴに合わせてよ」
「ですが、失礼の数々を働いておとがめがないのは」
「悪い事をしたとラジットは思うの?」
「はい」
「ラジット、本当にそう思うのね」
「えっとですね」
「ちゃんといいなさい」
「いえ、悪い事ではないかと思います。警備隊で必要なのは害を及ぼすかどうかを見極めるのが警備隊です。怪しいと思ったのであれば、それが真実かどうかを見極めるのも大事かと」
「なんだ、ちゃんと解っているじぁないの。ならこの子達がとった行動は悪くはないと思うわよ。逆に褒めてあげるべき事よ」
「軽率でした」
「ラジットまた1つ学んだわね」
「はい、マリー様ありがとうございます」
「いいのよお礼なんて、それよりウーゴの所よ」
「はい、あのー1ついいですか?」
「なに?」
「後ろにいる2人は?」
「ラジット紹介するわね、こっちが魔物のアリー、こっちが私の使い魔、ペットでストラスよ」
「えっとマリー様の配下って事でよろしいですか」
「そうよ」
「出来ればこの大きさだとみんなが怖がってしまうので街に入らないです」
「それなら大丈夫よ、2人とも」
「「は!」」
アリーは人間の姿にストラスは肩乗りサイズのフクロウに姿を変えた
「これなら入れるでしょ?」
「それでしたら大丈夫です」
「よかった、行くわよ」
「ではご案内致します」
「ラジットついでに復興具合も見たいわ」
「わかりました、城に行く前に案内します」
「お願い」
4人はウォンに入っていった
「マリー様、復興とは?」
「ウォンが悲惨な事態に見舞われて建物なんかは見るもの無残な姿をしていたのよ。家とは呼べないようなものまであったのよ」
「それにマリー様が関わってのですね」
「そう、それでウーゴを王にの仕上げて、私の配下達にここの復興を手伝わせたのよ。だから配下6人はここでは英雄みたいな扱いになっているみたいな」
「その通りです。彼らのお陰で作業がはかどり、復興の流れを作り出してくれましたからね」
「ラジットだって頑張っているじぁない」
「そんな事はありませんよ」
「そうそう、ラジット貴方が探していた水の輝き見つけてきたわよ」
「え!あれ本当にあったんでか?」
「あったわよ、見る?」
「ぜひ‼︎」
ラジットの前に異空間から出した巨大な水の輝きを出した
「これよ」
「こんなにでかいんですか」
「それがね、私のだけでかいのよ」
「マリー様だけ?」
「そうなの、他の人も持っていたのだけど手のひらサイズなのよ。それが私のだけがこんなにでかくて」
「俺の背丈ほどありますよ」
「だいたい185センチくらいかな。普段は持ち運べないからしまってあるのよ」
「確かにこの大きさでは持ち運べないですね」
異空間へしまった
「本当だとは思いもよりませんでした」
「でもこれでキリウスやラジットが嘘つきにはならなくなったんだしよかったわね」
「もしかしてわざわざ俺たち兄弟の為に探してくださったのですか?」
「そうなんだけど、興味もあったのよね」
「興味でもそれでも見つけてくださってありがとうございます」
「ラジットあげららないのが残念なのよね」
「いえ、俺は兄さんが嘘つきではない事を証明したかっただけで水の輝きが欲しかったわけではないので」
「それならいいけど」
「マリー様到着しました、ここが家々が並ぶ地区になります」
ほとんど元どおりになっている
「元に戻っているわね」
「まだ少し残っていますが、家は一番最初に取り掛かりましたから」
「そうよね、だって住むとなければいけないものね」
「はい、それでは次ですね」
大きめの建物が並ぶ地区へと向かう
「ここはなんの場所なの?」
「ここは建物を建設をする為の管理や倉庫、食材などの管理倉庫、武器などの管理倉庫が立ち並んでいます」
「だから大きいのね」
「はい、ここは今まで魔法の研究施設などがあったのですが、ウーゴ様がそんなの要らないと申されまして、代わりに倉庫が立ち並ぶようになりました」
「要らない訳ではないのにね」
「ウーゴ様に私もそう申し上げたのですが、そんな研究をしているから争いの種になるんだと申され作ってはいませんが魔法の図書館を作られました」
「なにそれ!」
「ウーゴ様は新たな魔法か発見すればそれを研究するのではなく、本の中にその知識を貯めておけばいいとそうすることによってそれを自分で学ぶ事が出来て研究施設を作るよりも効率よく自分の物に出来るのではないかと言っておりました」
「それだと、教える立場が必要になるわね」
「その通りです。それを教える立場が仕事となり、また本が増えていく、増えれば教える立場も増える。利害関係が成り立つのではないかとも言っていました」
「やっぱり私の見込んだ事はあるわね」
「次の所はそういう所ってことよね」
「はい」
教える為の建物へ移動する
「ここがそうなの?」
「ここでは教える立場、即ち誰でもが教える立場になれるということなんです。仕組みは自分の持ってスキルを教える代わりにお金を払うというもので、本に記載するのは義務としておりその中から、自分の好きなスキルを教われるんです、そのスキルを持つものとここが繋がっており、連絡が行けば教えにここに来てくれる仕組みになっています」
「でもスキルが流失するんではないの?」
「それも考えておりまして、ここでの使用した場合思い刑罰となるようになっています。また、他の都市から来たとしてもここを利用する事は出来ません。ここはあくまでもウォン内に住む人のみで使用可能となっています。騙してここには入らないようにもなっています」
「どうやって?」
「ここにはあちらこちらに魔法陣が敷き詰められていて普通のものがここを通る事はまずあり得ません、何かしらの魔法陣が発動してしまうからです。試しにやってみて下さい」
「私やりたい」
「「ダメです」」
「即答しないでよ、アリー、ストラス」
「なんでよ、アトラクションみたいで面白そうなのに」
「マリー様が入ったら魔法陣全て破壊しますよね」
「しないわよ」
「建物破壊しますよね」
「だからしないってば」
「それなら、マリー様が見たこともない魔法陣が現れたら研究して作り変えますよね」
「それはあるかも」
「だからダメなんですよ」
「わかったわよ、全て避けれはいいのでしょう」
「それならいいですが」
「そうですよ、魔法陣破壊、建物破壊、魔法陣の書き換えもダメですからね」
「あのーお二人様、避けられずに反応すると思うのですが」
「ラジットと申したか?」
「はい」
「マリー様を侮ってもらっては困る。避け間違いなく中に入るからな」
「アリー様、そんなまさか」
「様はいらん、アリーでいい」
「そうはいきません。マリー様の配下の方なのですからちゃんと呼ばせて下さい」
「なんかむず痒くなるな」
「いいじぁないか」
「ストラス様も一緒ですから」
「俺もか」
「アリーが言っているむず痒くなるとはこの事なのだな」
「そうだ、自分の配下ならまだしも人間に言われ慣れていないせいかなんとも言えんな」
「その意見には賛成だ」
「初めて意見があったな」
「そう言えば」
「私いくわよ」
「ちょっとマリー様待ってく」
「おい!もう行ったぞ」
「あの顔見たか?」
「ああ、あれはワクワクで仕方がない顔だったな」
「あの顔のマリー様は止められん」
「怒りのマリー様よりもしかしたらタチが悪いかもしれんな」
「そうだな」
魔法陣の密集地へ入っていった
ふふふ、反応する前に行けばいいのよね。触れれば反応するわけだから触れなければいいのよね。発想の逆転で触れて伝達するのを即座に解除すれば歩いていけるわね
ものすごいスピードで触れては解除を繰り返しながら歩いていく、目にはただ歩いているようにしか見えてはいない
「どうなっているんだ?なんで歩いているにも関わらず反応がしないんだ」
「ラジット、多分だが解除しながら歩いているのではないか?」
「アリー、俺もそれは考えた。だがそれをする為にはどれだけのスピードが必要かわかって言っているんだよな」
「わかっている、それでも多分それが正しいと考えたんだ」
「確かに魔法陣の破壊はしていないし、書き換えも行なってはいない、建物も破壊されてはいないだとすれば解除しながら行くか、触れないで行くかの二択になる訳だ。触れないで行くには一歩で向こう側に行かなければならん、だからと言って浮遊魔法だと感知されるだろうな、そもそもここを魔法を使わずに進むのは無理だ天井には感知魔法が施されているのが見えているからな」
「そうすると魔法を使わずに一歩で行くのは無理な訳だ。更に俺たちが課した、破壊ダメと書き換えもダメとなると答えがそれしか見当たらないんだよな」
「アリー様やストラス様が言うのは分かるが、目を疑いたくなるぞ」
「みんな渡れたよ。面白かった、特にあれ!」
指差す先に特殊な魔法陣があったがあれをよく見つけたものだった
「マリー様一度こちらへ戻って来てください」
「わかったわ」
「ただいま」
!? そよ風が吹いた
風?
「え!」
3人の背後にたつマリー
「どうしたの?」
振り向く3人
「あそこからどうやって」
「歩いてだよ」
「またご冗談を」
「本当なんだってば、みんなの目の前に来る予定が勢いがあって通り過ぎちゃったけどね」
「歩くスピードではありませんよね」
「そうかも、そう言えば昔エブァンに言われた事があるな、私に追いつける人を見てみたいと」
「エブァン様より早いんですか?」
「いや、私の配下で一番早いのはクオンね、その次がエブァンよ」
「クオンとやらでなければマリー様に追いつけないと言うことになるな」
「言いにくいんだけど、クオンより早いわよ。私」
「クオンとやらがどれ程早いかは知らんがマリー様の配下6人でも追いつかないとなるとよっぽどと言うことになるな」
「ストラス、お前も早い方だろうが」
「バカを言うな、マリー様の方が早かったよ。今で魔法なしで素手で捕まえられた事なんてないんだぞ、それをいとも簡単に抱きつかれて捕まえたわけだ、魔法陣を使用して捕まったことは一度あるがそれ以来捕まった事はないからな。あの時もスピードに乗って駆け抜けるつもりだったのに」
これいつ終わるのかしら?次行きたいんだけど、言わないと止まらないやつだよね。
興味を失ったマリーは
「その辺で話終わりにして次行こうよ」
「マリー様飽きていますよね」
「わかった、それなら行こう」
歩き出すマリーを追っていく2人
「待ってくださいよ」
それに続くラジットだった
街の中心部に当たる道に来る
「ここが中央通りになります」
「ここ、最初に来た時と何も変わっていないね」
「はい、ここだけは全て忠実に再現しました」
「いいわね」
「それじゃ、城に行きましょう」
「お店は見ないのですか?」
「それは後ね」
「後ですか」
「そう、まずはウーゴの顔見ないとね」
3人は城へと向かうのだった




