宿し1
帯を眺めながらお茶を飲んでいるのだけど、
「動きが止まったよ。ここでなにかあったのかな?」
「見てきましょうか?その辺りならすぐにわかりますけど」
「どうしよう。もう一杯お茶飲んでからにする」
ずっと動きっぱなしだし休みたかったのもある
急ぎではないしいいよね
次のお茶が入る
ゆっくり飲み干す
やっぱり動かないわね
「ストラス、元の大きさに戻って」
「は!」
「イージェス、一緒に乗るわよ」
「俺もですか」
「マリー様いいが、イージェスを乗せるのは嫌ですよ」
「ストラスいやなの?」
「はい!」
「それなら2人でここに残ってて、私一人で行ってくるわ、そういう事だから アリーもうすこしここで待って」
「わかりました」
「マリー様お待ち下さい」
「今度はなに?」
「いえ、嫌ですがマリー様が連れて行くというのであれば乗せて下さい」
「嫌なのでしょう?」
「マリー様がいいと言えばそれでいいのです」
「大丈夫です」
「それならイージェス行くわよ」
「本当にいいのか」
「いいと言っている。俺が悪かった」
俺も1人の時が長かったからわがままになっていたな。マリー様の機嫌を損ねるほど俺は愚かではない
「わかった」
マリーとイージェスがストラスの背に乗る
「アリーは私の後について来て」
「は!」
上空に上がり宿しの元へ向かう
死んではいないのはわかるけど動かない
「マリー様、その鍵どうするんですか?」
「後で異空間にしまって置くわ」
「なんの鍵でしょうね」
「そうね、さっきの扉は入り口ではなくて出口だったのはわかったしね。まだ行く所あるから」
「別の所で使う可能性があるかもって事ですね」
「その可能性があると私は思っているわ」
「それなら、楽しみですね。なにが起きるか」
「イージェスよくわかっているじぁない」
最近マリー様と過ごしているせいでなんとなくそうではないかと思っていたがやはりな。俺だったら間違いなく嫌な予感しかしないのだが、マリー様にとっては楽しみなんだよな。
「そうだろうと思いましたよ」
「楽しみがあるのはいいことです」
「ストラスもわかってくれて嬉しいわ」
「いいですね、俺もそこに加わりたいですよ」
「あら、アリーは魔物の王でしょ。ここを離れるのは無理でしょうが」
「そうなんですが俺も一緒に行きたいですよ」
「そうね、考えて置くわね」
「本当ですか」
「いい方法があるかね。でも期待はしないでよ」
「それでもマリー様が考えてくれるのであれば」
いや、そんなに目を輝かせなくても
「そんなに行きたいの?」
「はい!」
「真剣に考えといてあげるから、もうしばらくここをお願いよ。せめて魔物の王にふさわしい奴が居ないといけないのだから」
「マリー様、それなら居ますよ」
「いるの?」
「はい」
「それならそいつに合わないとね」
「よろしくお願いします」
「到着したわよ、ストラスここで下ろして」
「わかりました」
ゆっくり下降し降りた
宿しが木に寄りかかり寝ているように見えた
近づいて譲って起こす事にした
「マリー様、俺が行きます」
「お願い」
別にそんなに心配しなくても寝ているだけだと思うけど
あ!お腹蹴ったよ
「イージェス、蹴らないで起こさないの?」
「何かするかもしれませんよ」
「そうかな?」
「マリー様ちゃんと警戒した方がいいです」
しているだけど
「そうです」
「イージェスの言い分はわかるな」
3人に言われては私がなにもしていないみたいでしょ
「もーでも蹴るのはどうかと思うわよ。他の方法にしてよ」
「わかりました」
なんで頭わしづかみなのよ
「イージェス、私がやる」
イージェスを払いのけてマリーが起こす
「ちょっと起きなさいよ、大丈夫?」
木からズルリと左に倒れた
「マリー様」
「ええ、わかっているわ」
木に血が大量に流れていた、死んだ?クビに手を当てて確認をする、ホッと肩を撫で下ろす
「死んではいないけど、このままだと死ぬわね」
パチンと手を叩く
「マリー様なにを?」
「回復魔法と保護魔法をかけたの。そのうち目を覚ますわよ。当分は無理だとは思うけどね。キリウス聞こえるでしょう?」
「はい、なにがありました?」
水の姿のキリウスが現れる
「今からそっちに宿しを送り込むから回復させておいて」
「わかりました」
姿を消し水の球体へと戻る
扉を奴の上に展開して、そのまま保護魔法を施した奴を扉の中に送り込んだ
ーーーーーーー
「エブァン、聞こえるか?」
「どうした?」
「今マリー様から連絡が入って宿しの回復をしろと言われた」
「わかった、それならあの扉の中のはずだ」
「あの扉?」
「忘れたか、マリー様の後ろにある扉の中だ」
「あそこか、なんの扉かと思ってはいたが」
「あそこは異空間だ、1つ目の扉なんだがそこにゲレガイがあるはずだ、中に入って宿しの回復に当たらせろ」
「わかった」
キリウスがゲレガイの元に行くと既に宿しが到着していた
「キリウスか、こいつはなんだ?」
「マリー様がこいつの回復をしておいて欲しいと送り込んできたんだ」
「それで俺もエブァンも手が離せない、急きょ呼び出されて今対応しているが戻らないといけない。だから悪いがこいつを回復してほしい」
「マリー様がそう言ったんだな?」
「そうだ、それにここになにかを送り込んだり来たりする事が出来るのはマリー様に考えられないからな」
「それもそうだな。わかった、任せておけ」
「それと多分だが、この結果保護魔法が施されているはずだから、お前の保護魔法に切り替えて回復もしてくれ」
「注文の多いい奴だな」
「そのままだとマリー様の魔力がどんどん奪われるがいいのであればそのまま回復してくれ」
「キリウス、お前わかってて言っているだろう」
「わかったか」
「わかる。仕方ないやっておく」
「助かる、俺も戻る」
キリウスが姿を消し、ゲレガイが作業に取り掛かった
ーーーーーーー
「ふふふ」
マリー様がお怒りになっているな
「ふふふ、イージェス、ストラス、アリー探すわよ」
怖いその一言、恐怖が体に伝わってきたからだ
「3人もどうしたの?」
「い、いえ!あのですね」
「そのー」
恐怖で言葉が出てこない3人
「ど、、、どうやって探せば?」
「それもそうね」
恐怖を漂わせ、笑うマリー
「待ってて」
魔法陣を発動、それもどれだけ大きいのかわからない程に
「いたわよ、すぐに連れてきてよ。場所は、、、」
「「「は!」」」
即座に行動に移す
「覚悟する事ね、私の宿しを痛めつけたんですもの」
ふふふふふ
マリーを止める奴が居ない為に自分が今恐怖を漂わせている事に気がついていないマリー
早く来ないかしら
「こいつだな」
上空に3人の姿
「こいつらしかいないからな」
「どうやって捕まえる」
「半殺しにしたらまずいよな」
「それは、こっちがまずい事になる」
「それなら、俺が2人わしづかみにするのはどうだ?」
「それだと気絶するだろうが」
「俺が結果を張る、そしたらお前がわしづかみすればいいんではないか?」
「それなら」
「残りはどうする?」
「残りは俺が結果を作ってマグマの中に引きずり込んでやる」
「よし、それで行くぞ。同時にやらないと反撃を食らうからな」
「わかっている」
「イージェスが地面に降り立った瞬間を作戦開始とする」
「行くぞ」
アリーの声でイージェスが地面に降り立った
ドーン!
一瞬で5人を捕らえた
「よし、これでいいな」
「戻るぞ」
「ああ」
3人はマリーの元へ急行した。待たせれば待たせた分だけ恐怖が濃くなり近寄れなくなりそうだったからだ
「マリー様」
くっ!また一段と、、、
3人が地面に降り立ったが崩れ倒れこむ
「どうしたの?もしかしてやられたの?」
心配するように顔をのぞかせている
「い、いえ!申し上げにくいのですが」
「だからどうしたのよ」
「マリー様の恐怖があまりにも濃くて」
「え!」
体を見ると
「あら!」
もやのようなものが体からダダ漏れしていた
急いで体の中にしまい込む
「3人ともごめんね。私気がつかなくて。また、エブァンに怒られちゃうわ」
「エブァンに怒られるんですか?」
身体が楽になり体を起こした3人
「そうなのよ、この前は殺しそうになっていたから当たり前なのよ」
「恐怖でですか?」
「ええ、今の恐怖も少ししか出してないから、全部出したら、だいたい10倍って思ってくれればいいわね。死にかけていた時でも4倍ぐらいだったから、全部出したら生きている人いないわよ」
「だからもし、この先私が恐怖を出し始めていたらすぐに教えて欲しいのよね。これが私気がつかないから困っているのよ」
「そうなんですね」
「ええ、3人とも宜しくね」
敵にならなくてよかった
3人はそう思ったのだった
「それで、こいつらが?」
「いえ、それの他にこいつらもです」
地面から結果に捕らえられた3人を出す
「これで全部?」
「はい、他には見当たらなかったです」
魔法陣で探してみたが見当たらなかった
「そうね、それだけね」
マリーは魔法陣を解除して5人に向き直る
「お前は誰だ?」
「俺たちをどうする気だ」
「なにを言っているの?貴方達がここにいた者を殺そうとしたのでしょう?」
「ここにいた?どこにいるんだ?」
「私が助けたわよ」
「なにを余計な」
「バカ!」
「余計だったかしら?」
「クソが、お前のせいだぞ」
「悪い」
「もういい」
「そいつが俺たちを殺そうとしたからだ。だから俺たちもそれを反撃したまでだ」
「ダメよ嘘は」
「嘘ではない」
「そうだ」
「なぜ、背後にのみにギズが多いのかしらね」
「そんなの後ろから!?」
「後ろからなに?」
「攻撃したんだよ」
「そうでしょ、もし殺そうとしたのであれば前にも傷があってもおかしくないのに後ろだけっておかしいでしょ」
「依頼されたんだよ。そいつを始末しろとね。それで報酬も貰った。恨みはないが俺たち達も生活があるから仕方なかったんだよ」
「こいつの言う通りだが、もしその依頼をしなければ俺たちもやられる対象だ」
「ねぇ、気がついていないみたいだから教えてあげるけど、その印どこで?」
「はぁ?どこにそんなものが」
「そうだぞ」
「疑うなら、貴方達の右手の甲に少しだけ魔力を注いでみるといいわよ」
「そんなものがあるわけがないんだ」
「やってみればわかるわよ」
5人は魔力を手の甲に注ぐと印が浮かび上がった
「なんなんだ」
「お前もか」
「俺にもだ」
「私も」
「私にも」
「ほらね、だからその印をどこで?」
「いつの間につけたんだ?」
「ねぇ、あの時じぁ」
「別れ際の時か」
「そうよ、あの時よ」
「殺した奴にも?」
「だからね。死んでないわよ。それに死んだフリにしてあるから平気、私が破壊しておいたし」
「破壊だと」
「ええ、したわよ」
「そんな事出来るわけがない、この印は、、、クソが、あいつ騙しやがって」
「印の意味を理解しているのね。その印は貴方達のアジトに戻ると発動するようになっていて、一瞬で跡形もなく全てを破壊するのよね」
「知っている」
「言われなくたって」
「絶対許さん」
「なにかいい方法はないか?」
「そうね」
「1つ提案があるけど聞かない?」
「どうする?」
「聞くだけ聞く。それからでも遅くはないからな」
「聞かなかったら、私が貴方達に恐怖をプレゼントしてあげるわ。ちゃんとあの子の仕返ししてあげないと可愛そうですもの」
「はぁ?」
「それだと聞かないといけない事になるだろう」
「わかっているなら、話が早いわね」
「聞いても聞かなくてもお前はやるんだろ」
「もちろん」
「それなら聞く方がマシだ」
「貴方達の印私が破壊してあげるわ、代わりに貴方達は私の配下になるの?いいと思わない?」
「マリー様、よろしいのですか?」
「そうですこんな輩を配下に加えるなど」
「俺も反対です。裏切りでもしたら」
「どの口がそんな事言っているのかしら?目の前にいる人は学民だと知っててそんな口を聞いていると言うことよね?」
3人に睨みを聞かせた
「いえ、そう言うわけでは」
「はい、学民だったのですね」
「申し訳ありません」
跪き首を下げた
「いいのよ、わかってくれれば」
「そう言う事だから、どうする」
「どうするもそれしか選択しはないんだよな」
「あるわよ、半殺しにしてチャラにしてあげるわ。もちろん殺したりはしないかどね」
「お前らよかったな。絶大なる優しさに感謝しろ」
「なにが優しさだ」
「どこも優しくないだろうが」
「そうか?俺達からしたらすごく優しいぞ」
「そうだぞ、間違いなく殺すな」
「そうだな」
「こら、3人とも怖がらせてどうするのよ」
「すいません」
「マリー様の寛大さを伝えたくて」
「俺もそうです」
「配下になる条件に1つ付け加えてあげる、騙した奴を半殺しにしてあげると言ったら?」
「出来るわけがない事ばかりお前は言うな」
こいつらいい加減、殺したくなるぞ。マリー様をお前と呼ぶなど、いや待てよ。まだ配下ではないから我慢だな。逆に殺される可能性の方が強いか
「それなら手を出してみて、両手ね」
「出すわけがないだろう」
なんかめんどになってるよ。
ドン!
「お前!」
1人が気絶した、誰もがマリーが動いた事に気がつかなかったが倒れた奴の前にマリーが立っていた。
「この手の印と同じように左手につけます、右手の印を破壊します。ちゃんとみてよ」
奴はなにをしているんだ
「いくわよ」
人差し指指で印に触ると綺麗になくなった
「ほらね、ちゃんと破壊できたでしょ?」
左手の印を右手に移す
頭に手を立てて回復魔法を施すと目を覚ます
「それでどうするの?」
「やってくれ」
「それは私の配下になるでいいのかしら?」
「それでいい」
「ちょっと、それでいいの?」
「なら聞くが、殺されるのがわかってて買えると言えるのか?」
「嘘かもしれないじぁない?」
「もし本当だったら、殺されましたで済まされるのか?」
「それは」
「俺たちはこの印を知っているし、施して来たからわかる」
「それでも生きたいと思うか、思わないかだ。俺は家族がいるから生きたいと思う、配下にらるだけでいいのであればそうするだけだ」
「私だって」
「ほかのはどうだ?」
「俺もだ」
「私も」
「俺も」
「それなら決まりだな」
「これから宜しく頼む」
「わかった、みんな手を出して」
印に触れていくだけで印は破壊された
「本当に消えた」
「お前は気絶していたからな、俺たちはこの目で一度見せてもらっている」
「そうなの?」
「ああ、これで家族を呼んでもいいのか?」
「もちろんよ。これから一緒行く?」
「マリー様流石にそれは足手まといに」
「何かいった?」
「おい、やめろ。マリー様の決定事項だ」
「そうだったな」
「いいのか?」
「構わない、マリー様が連れて行くと言ったからには連れて行く」
「マリー様に感謝しろ」
「悪いな」
「同等思うなよ。間違いなくお前らは俺たちより弱いんだからな」
「マリー様が寛大の心の持ち主だから生きているんだからな」
「そうだったな」
「話はそれくらいにして?」
「アリー、いいのがいるじぁない」
「ちょっと連れてくるわよ」
ドン!
「まって、」
「遅い、もう行かれたぞ」
「少しすると戻ってくるさ
ドン!
「えぇーっと、戻りましたね」
「だから言っただろ」
「こいつよ、こいつが魔物の王にすればいいのよ。アリーの次に強いわよ」
「たしかにそいつをマリー様と合わせるとつもりでしたが、伸びていますね」
「うん、ちょっと殴ったら伸びちゃった、へへへぇ!」
「いや、そんな可愛く言われても困ります」
「これでは王になれないですよ」
「そこまで考えてなかった」
「マリー様はお茶目ですね」
「ストラスありがとう。どうしようこれ?」
「回復魔法で行けませんか?」
「やってみる」
回復魔法を施すが目を覚まさない
「どうしよう、伸びちゃったからな」
「俺が」
「イージェスお願い」
特定の場所を叩く
「ゔぅ!」
「イージェスありがとう、これで王にできるわね」
「はい」
王にする為の準備を始めた




