攻防戦へ
木に隠れながら、建物の様子を伺っていた。
周りには何もないようだな。感知魔法もないか。なんなんだここは?
建物の中
「おい、気がつかれてはいないな?」
「大丈夫だ、だが合流する手筈になっていたものから連絡が途絶えた」
「もしかして感づいた奴が出たんじぁないだろうな」
「それはわからないが、とにかくあのお方に報告が必要のようだ。急いで向かうぞ」
「そうだな」
コンコン、コンコン、…………テーブルが動き地下への階段が現れた。
5人は地下へ向かって降りていく。すぐにテーブルが元の場所へと戻った。
ーーーーーーーー
いなくなったぞ?辺りを警戒しながら建物に近づいた。
ガラス越しに覗く。
いない。どこへ行った?
辺りを見回し、魔法で探してはいるが見つからない。
くそ見失った。
「おい、何そんなに焦っているんだ」
「!?、驚かせるな。イブリース」
「悪いな、珍しくお前が慌てらのだからついな」
「お前は終わったのか?」
「ああ、変なのが捕まったがな」
「変だと?」
「マリー様からの伝言とちょっと違っていたな」
「何が違っていた?」
「魂が2個あるみたいなんだよ」
「そんな事ありえるのか?」
「聞いたことは無いが、実在したな」
「そうか、マリー様が後のことをしてくれるだろうよ」
「俺もそう思ってファティマに監視させている」
「それなら大丈夫そうだな」
「それよりお前は何に慌てていたんだ」
「そうだ、お前のせいで完全にわからなくなっただろうが」
「俺のせいにするな」
「今ここに5人いたんだがいなくなった、魔法で移動したのかとも思ったのだが違うようだし、歩いているならわかるし、とにかくいなかなった」
「それならキリウスにでも聞けばいいだろう?」
「あいつも探している頃だろうよ、建物の中に入るぞ」
「なら、俺が行く」
「それなら頼むぞ」
2人は中に入った
「何もないな」
「そうだな、テーブルと椅子後は棚ぐらいしかないな」
「魔法のたぐいもないし、隠れているとか?」
「それもないだろうよ、棚の後ろに何かあるとかか?」
「押してみるぞ」
ズズズズ………
「ないな、完全に見失った。反応もしていないしな」
「仕方がない、一度戻るとするか。そうだな」
ーーーーーーーー
川の向こう側
「ちょうどイブリース達が建物の中に入ったようだぞ」
「そう、無事に合流できたみたいだね」
「そのようだ」
…………!?
「どうしたの?」
「こっちに向かうみたいだぞ、手ぶらな所を見ると見失ったかもな。連絡を取ってみる」
「その方がいいね」
ーーーーーーーーーーー
「帰るぞ」
「おいちょっと待て」
「なんだ」
「キリウスからだぞ」
水玉が浮いていた。
「キリウス、どうした?」
「もしかして見失ったとかじぁないですか?」
「よくわかったな」
「やっぱり、そこの建物に地下に下る入り口があるんだ」
「ここにか?」
「そう」
「それが探したがそんなものはなかったぞ」
「特殊な方法で開くと言っていた」
「言っていた?」
「俺が捕らえた奴がな」
「それ信用していいのか?」
「やってみるだけやってみればいい。もし何か出ても倒せるだろ」
「確かに、やってみるよ」
「まず建物の中に入りテーブルがあっただろ」
「ああ」
「入口に入って左側から、机の角一箇所を3回コンコンコンとノックするように叩く、それを時計回りに残り三箇所を叩くと開くらしい」
「やってみる」
…、…、…、…、!?
ズズズス………
「こんな所にあったのか」
「開いたようだな、そこを下って最初の扉がアウンダーグランにつながっている。
その扉を通り越してさらに奥に行くと扉が見えてくる。そこから先が研究所になるそうだ」
「わかった、先に言っている」
「慌てるな、そこにもしかしたらマリー様も向かわれているようなのだ」
「何!?マリー様が来られるなら任務も完了するな」
「そうだな、とにかく向かってみる」
「気をつけろよ」
「わかっている」
エブァン達は1番の奥の扉に手をかけた。
「おい、気をつけろ向こう側て魔法の気配がある。防御魔法しっかりしておけよ」
「お前に言われなくても気がついているぞ、魔法これから使いまーすって言っているようなものだからな」
「これ、分からなかったら恥ずかしいぞ」
「今じぁ子供達でも、気がつくからな」
「あれには驚かされたよ」
「行く、いちにのさんで開けるぞ」
「いち」
「にの」
「さん」
バンと音と共に扉が開いた。
その瞬間魔法が確かにあったが攻撃魔法ではなかった。
マグマ付近だったようで中央にマグマの球体が浮かんでいたその球体から下に伸びている赤い物がマグマに伸びていた。
ここはなんなんだ?
「おいこれ見ろよ」
大量のの骨が山積みにされていた。
「誰か来るぞ」
「お前らやっとけと言ってあっただろうが」
「すいません、今すぐにやります」
魔導師みたいなやつが下のものに命令し去っていった。
「今回は、多いいな」
「当たり前だろ。研究ボツにした奴らが多過ぎたんだよ」
「マグマを操ろうと試みたのはいいが自分達が犠牲になっていたら世話ないな」
「そうだな。とにかくだこの中に入れるぞ」
「そういえば、これその中に入れたらどうなるんですか?」
「お前新人だから知らないか」
「赤い球体の中にいるんだよ」
「何がですか?」
「マグマの火神がな」
「どういう事ですか?」
「昔、マグマがこの地下から上がってきたことがあったな、それを食い止めようと地下の民が立ち上がったんだ。その時に結界魔法を施しマグマを大量に閉じ込めて、事なきを得たのだが、ここで厄介な事に結界内に閉じ込めてしまったのが火神だ。この結界は、マグマや高熱を生み出すのを利用してエネルギーに変えるように作られた結界なんだ。その為、マグマから出たエネルギーを結界が吸収するように出来ている。火神が暴れても出ることができない。それがエネルギーとなって吸収されてしまうからだ」
「それと火神がどう結びつくのですか?」
「火神は消して捉えてはならない存在ここの都心の基礎を火神が作ったと言ったらどうする?」
「そんな」
「そう、火神はあの時、我々に忠告しに来ただけだったことがわかったが後の祭りだった」
「忠告?」
「そう、マグマが大量に噴出するからなんとかしろとね」
「火神でも操れないのか?マグマの噴出は?」
「あれは、神でも無理な事だそうだ」
「火神と話せるのか?」
「火神と話せるのはこれを含めて数名だ。火神に認めてもらったもの以外話せない」
「それとこの骨が何の関係に?」
「火神は、ここで捧げ物をこのマグマに入れろと言ってきた。その捧げものはなんでもいいわけではない。骨だそうだ」
「またそんなものどうするんでしょか」
「さあな、骨は、忘れられた場所にいっぱいあるだろう。だからそれを取りに行っていた奴がもどってきたんだろうよ」
「なるほど、それとボツになった奴らの骨も一緒ってわけですね」
「わかったらさっさとやるぞ、はい」
骨をマグマの中に入れはじめた。
(おい、あれ火神ではないか?)
(そうみたいだな、囚われているようだ)
(助けた方が)
(待って、あいつら、なにかしはじめたぞ)
(骨をマグマに入れはじめたぞ)
(それが終わったら助かるぞ)
(だから待てと言っているだろ)
(さっきからどうしたんだ)
(ここにマリー様が向かわれているのであれば、来てからでも遅くはないだろ)
(俺達ならあれぐらい解除出来るだろ)
(わかっている、何か起きた時に対処できないだろ)
(出来るだろ)
(なら、聞くが。マグマ球体の中のエネルギーが巨大過ぎで全てを飲み込むほどだとしたらお前は対処できるんだな)
(なんだと!?)
(中をよく見てみろ、お前ならそれがどの位かぐらいはわかるだろが)
(…………!?ふざけてないか)
(だからさっきから言っているだろ。マリー様が来てからでも遅くないと。マリー様ならなんとかなさってくれるだろうが、俺らにあの強大なエネルギーは無理だ)
(わかったよ)
(あれが外に出た途端俺たちは消えるからな)
(あいつら終わって去っていくようだぞ)
(そうみたいだな、いなくなったら近づくぞ)
(わかった)
「よし、これで終わりだな」
「それにしても多かったですね」
「終わったんだからもどるぞ」
「はい」
下に教えていた奴が歩き出し、その後をついて歩き出した。
それはほんの一瞬先に歩いた奴が振り向いた時だった。
ドン!?
「お前、よくも……………ギャー」
「あーあ、足滑らして落ちなったよ、なんてね。あなたが悪い。いつもいつも上から目線で僕に指図するから。あの世でしっかり反省してくださいね。はっはははは」
「皆んな、大変だ。先輩が足を滑らせてマグマに落ちたー」
そう叫びながら走り去っていった。
(俺でも、あれはしないぞ。やるなら自分の手でやるぞ)
(お前はそうだろうな)
(お前はやらないのか?)
(やるさ。俺の場合は、マリー様次第だな)
(お前の意思はないのか?)
(あるに決まっているだろ。ただ俺の怒りのスイッチがマリー様なだけだ)
(なんだそれ)
(お前にはわからんよ)
(言ってろ)
(戻ってきたぞ、今度は多いいな)
「ここから落ちたのです。僕が呼び止めたせいで振り向いた瞬間に落ちたのです」
「ここか、たしかに昔からここは足を滑らし落ちたものが多い。策を作ってもすぐにマグマが来て燃やしてしまうからだ。あいつも災難だったな」
「うぅぅぅ、俺が、呼ばなければ」
「お前のせいではない、あいつが運がなかっただけだ」
「とにかくここにいてもしょうがない。一度戻るぞ」
「うぅぅぅ………くそー」
その場から離れていき、いなくなった。
(いなくなったな)
(そうだな)
「それにしても、嘘がうまいな、さすがは人間と言ったところか」
「そうだな、俺たちには、嘘すらも許さらないというのに、ある意味羨ましいな」
「嘘をついてもいい事がないし、それにもし我々が嘘をつくぐらいならしない方がマシだと思うようにしているのがいるからな」
「そうだな、嘘をついて死なせてくれればいいが、そうさせてもらえないのは応えるぞ」
「見ていたのだから、痛いほどお前の気持はわかる」
「話はそれぐらいで、あいつに近づくぞ」
「そうだったな」
「聞こえるか?」
「ほー、珍し奴がいるな」
「久しぶりだな火神」
「エブァンも元気そうで何よりだ、それで何か用か?」
「ああ、お前なんでこんな所に閉じこもっていたんだ?」
「捕まった時に、出られただろ?」
「たしかに出られたさ、でもそれをしなかった理由があるんだよ」
「それを聞きたい」
「元々マグマが噴火しないようにしていたのだがある日制御が難しくなったんだ」
「なんだって」
「そこであいつらが結界を張るのが見て飛び込んだ。そこであいつらと取引をした、骨をここに入れろってな」
「なぜ骨なんだ」
「骨には魔力がかなり含まれている、それを使って制御出来ないかを考えて実行した、結果制御は出来たが俺自身が外に出ることができなくなったんだ。出ればマグマの制御ができなくなり、地下は全てマグマに埋め尽くされ地上に出ればこの世界はおしまいだからな。だからここにいないと行けなくなった。これでわかっただろ?俺がここから出ない理由が」
「そういう事だったんだな」
「それ、もしかしたらマリー様ならなんとかしてくれるんじぁないか?」
「何?そんな事できるやつがいるのか?」
「奴ではない、マリー様だ、口の聞き方は気をつけてほしいな」
「そうか、あったことがないからな悪かったよ」
「気をつけてくれればいい」
「聞きたいことがある。ここに女の子がここにいたか?」
「いや、来ていないぞ」
「そうか、後でまた来る。友達がこんな所で閉じこもっているなんて俺は嫌だからな」
「待っているよ、どうせここから出られないからな」
「ああ、ちょっとここの研究所の中に探し物をしないといけないからな」
「何を探す?」
「説明が長いからな。簡単に言うとだ、特定の追跡魔法がある物か者に集まるようになっている。それを捕まえるのが今回の目的だったんだが、お前も連れて帰るのが追加したな」
「諦めてないんだな」
「当たり前だ」
「その探すの俺のマグマと同調したら探しやすいか?」
「できるのか?マグマに同調する前に俺が死にそうだぞ」
「それはない、俺が指定した物や者は、死なないようにできるし触れることもできる」
「そんなことができるのか?」
「できるよ、一応火神だからな」
「それは有難い、頼めるか?」
「当たり前だ、唯一の友達が頼みに答えないで誰の頼みを聞けばいい?」
「そう言ってくれると嬉しいよ」
「任せろ、ここのマグマのツタをつかめ」
「これか?」
「そうだ、掴んだな。そうしたらそれにお前の魔法を流し込めば探せる」
「悪いが魔法が俺のではない。マリー様の刻印なんだが」
「わかった、それを少しだけ流せ」
「わかった」
エブァンは少しだけ起動し止めた。
「これでいいか?」
「いいぞ、魔法を登録したから普通に使えるぞ」
「助かる、起動させるぞ」
「いつでもいいぞ」
エバァンは刻印を起動させた
「俺にも見えるぞ、なんだこの数は?」
「驚くのもわかるが、探すのが先決なんだ」
「わかった、後で説明してくれるだろ」
「見つかったらな」
しばらく探すと
「おい、あれじぁないか?」
「あれだ。見つかったぞイブリース」
「よかったな、では向かうぞ」
「火神、後でいくらでも説明するから、後でな」
「わかった、行ってこい。そうだエブァン」
「どうした?」
「これをお前にやる、もしもの時に使え」
「なんだこの棒は?」
「それに魔力を流せばわかる」
「わかった、ありがたく使わせてもらう」
2人は、左奥に向かって走っていった。
「忙しない奴らだな」
「ここの中だな、そうだ」
中に入ると
「お前は誰だ」
「名乗るわけないだろ、お前達を捕らえるためにやってきた」
「無理だな、ここをどこだと思っている」
「火神が司る聖なる場所だぞ」
「そうか。それなら大丈夫そうだな。火神は俺の友達だからな。ちゃんと許可もらっている」
「バカな、火神が話すわけないだろう。火神は認めたものでなければ話す事が出来ないのだぞ」
「認めているか話しただけだ」
「部外者が簡単に話せるか」
「面倒だな、大人しく捕まっていろ」
「捕まるわけないだろが」
急に攻撃魔法を繰り出してきた。
「そんなの効かないぞ」
「これでどうだ」
「悪あがきはよせ」
クソ、奥の手を出してやる
イブリースに向かって放たれた魔法がイブリースに当たる
「お前、これをどこで………」
イブリースがその場に倒れ込んだ
「おい、油断しすぎだぞ」
「あれは……危険だぞ……はぁー」
「手を出せ」
イブリースが手を出した
エブァンは手を握り回復の魔力を流し込んだ
「悪い、少し楽になった」
「何がやばいんだ、あれは魂そのものを破壊する魔法だ。少しでも触れたらそうなる、慌てて魂に結界を張ったから良かったものの、それをしなかったら砕けていたところだ」
「それがわかれば、対応は簡単だな」
「俺は闇に戻って回復させてくる」
「そうしてくれ、お前がいなくなっらこっちが殺される」
「わかっている。あとは頼んだぞ。あれには気をつけておけよ」
「食らった奴がよく言うよ、減らず口が言えるなら大丈夫だな」
「ああ、少しの間頼む」
「任せておけ」
イブリースは闇へと姿を絡ませた。
さらに打ってきたが交わしたが、交わした足元にも設置されておりそれを踏んだ瞬間移動した。
危なかった。あれをもろに食う所だったぞ
なんとかしないといけないが、それは後だな。
まずは捕らえるのが先だな。
移動速度を上げるとするか。
エブァンの足首にはツタが巻きついていた。見た目は靴下ぽく見えるのだが実はこの世界で最も重いとされているツタが巻き付いていた。
それを外して、足首を回しながらつま先をトントンと地面を優しく叩いた。
それでも地面がへこむほどの威力を持っていた。
「悪いがこれで終わりにさせてもらうぞ」
「無理だな、お前は俺らには近づかない」
「そうか?なら、試してみ…る…な」
言い終わる前に結界を張る。それと同時にあたりの魔法が起動して不発に終わっているのが見えた。
エブァンは高速で結界を貼り、さっき立っていた場所に戻っていたのだがあまりにも早すぎて、動いているようには見えなかった。
「なんだ、そんなものか。お前たちは、そこから出られないぞ」
「何を言ってる」
「お前ら、周りをよく見てみろ」
「!?、いつの間に貼ったんだ?」
「今だよ、お前らが近寄らないと言っていたから試すと言っただろ、だから試しただけだ」
「ふざけるな、いんちきが通用すると思うなよ」
「そう思うなら試せばいい」
5人が暴れ出したいが、意味を成さなかった。破るどころか触れただけで魔力が吸収されるは、魔法が効かないはでどうにもならなくなっていた。
「だから言っただろうが、無意味だと」
「何をしたんだ?答えろ」
「強気だね、答えるわけないだろ」
「ただで済むと思うなよ、あの方がお前らを許さないからな」
「あの方とは誰だ?」
「ずっと言ってろ」
それから無言になった
火神からもらったのを使うまでもなかったか。
時を同じくしてマリーは地下にいた。
この地下にはいないようね。後はさらに奥に降る場所があるはずなのだけどどこかしら?
地下の奥に降る場所を探さないとね。
マリーは地下を探す為に魔法を展開したのだった。




